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中西理のアイドル論考

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演劇ダンスなどを批評してきた中西理がアイドルについて考えてきたこと、ライブ参戦のレポートなどを掲載します。
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2022年6月の記事一覧

PARCO Production(ももクロミュージカル)「ドゥ・ユ・ワナ・ダンス?」@舞浜アンフィシアター

台「幕が上がる」は演劇作品としてほかの演劇作品と同じ土俵で比較しても評価に値する作品と言えたけれど、今回はミュージカルとして評価の対象とするのは難しいかもしれない。ただ、例えば中島みゆきの「夜会」のような演劇的な要素を取り入れたライブコンサートの新趣向としては可能性を感じる部分は多々あると感じた。  実はももクロの楽曲でジュークボックスミュージカルをやると聞いた時点で期待に冷水をかけることになりかねないので、その時点では書かなかったが、「ジュークボックスミュージカルというのは

浪江女子発組合「Monday 居残りライブin浪江」@浪江町地域スポーツセンター

浪江女子発組合のライブを初めて本拠地である浪江町で見ることが出来た。福島県JVillageで行われた「ももクロ春の一大事2022」の翌日とはいえ、平日昼間に1300人を超える観客を集めたのは快挙だと思う。 実は後方ブロックからの観劇であったため、メンバーの姿はほとんど見えなかったのだが、浪江メンバーの声は皆特徴的で愛来、萌花、あーりんら舞台が見えなくても誰が歌っているかが分かるのがいいと思う。 www.youtube.com 「いつかまた浪江の空を」は渋谷で聴いて以来だが

「有安杏果 サクライブ Acoustic Tour 2022」(1回目)@東京・大手町三井ホー

「有安杏果 サクライブ Acoustic Tour 2022」@東京・大手町三井ホールの1日目に出掛けた。有安杏果のライブの面白さの一丁目一番地は様々なアレンジにより楽曲のボテンシャルを最大限に引き出すことにある。「遠吠え」「Drive Drive」「TRAVEL FANTASISTA」のようなおなじみの楽曲がアレンジをまったく変えることでほとんど新しい曲のように再構築されるのは魅惑的な体験だった。Official髭男dism提供曲で軽快なロック調な「TRAVEL FANTA

『ももいろクローバーZ “祝典” ツアーファイナル』@武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナ

ももいろクローバーZ(ももクロ)の新アルバム「祝宴」の全国を回ってのアルバムツアーのファイナル(6月25日)を武蔵野の森総合スポーツプラザのメインアリーナで見た。2か月近くをかけて全国14都市で計17公演のももクロとしてはかなり大規模なツアーではあったが、個人的な事情で遠征が難しく、日本武道館での公演は抽選に外れチケットが取れなかったこともあり、このファイナルが初めてのライブ参戦となった。 アルバムツアーは以前にも「AMARANTHUS」「白金の夜明け」二枚アルバム同時発売の

アイドル感染拡大

アイドル評論誌「アイドル感染拡大」に掲載した論考「パフォーマンスとしてのももいろクローバーZ」をWeb公開。執筆したのは一昨年に日産スタジアムで開催された「桃神祭」の直後でももクロの祝祭的パフォーマンスについて、現代の演劇やコンテンポラリーダンスといった舞台芸術と対比することで論じている。 第1部「ダンスとしてのももクロ」 simokitazawa.hatenablog.com http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/10001228 第2

『ももクロ 桃神祭2016 〜鬼ヶ島〜 DAY1』@横浜・日産スタジアム

今年の「桃神祭」、ライブの中にはっきりと言葉で出てきたわけではないが、主題(裏主題)は死者の魂への鎮魂ではないかと思った。しかも、それは震災で亡くなった人へのそれではないだろうか。お盆という時期に開かれることもそうだが、ライブに参加したお祭りの 人に熊本も含めなぜ被災地のものが多いのか? 仙台市のすずめ踊りは鬼と無関係なのになぜ選ばれているのか。なぜ最初の曲があの曲なのか。「ニッポン笑顔百景」もやった。最後の曲が「灰とダイヤモンド」だったこと。ことさら主張はしないけど基調低音

ももクロライブでSMAPについて考えた『ももクロ 桃神祭2016 〜鬼ヶ島〜 DAY2』@横浜・日産スタジアム

ももクロライブ「桃神祭2016 〜鬼ヶ島〜」2日目参加。初日はサイドスタンドでメインステージとほぼ反対側の正面少しだけ上手よりだったが、この日はアリーナ中央Cブロック2列目。グラウンドのほぼど真ん中の位置だった。  初日のレポートに「主題(裏主題)は死者の魂への鎮魂。しかも、震災で亡くなった人へのそれではないだろうか」と書いたが、セトリに若干の入れ替えはあったものの、overture前の「回向(えこう)」のパフォーマンスからライブが始まるのはこの日も同じ。ほぼ同じ内容だが、初

アイドル感染拡大

TEAM SHACHI「OVER THE HORIZON ~はちゃめちゃ!パシフィコ!~」@パシフィコ横浜 国立大ホール

ブラス民(ブラス隊)、バンド民(特別編成のバンド)を背後に背負った完全体のTEAMSHACHIのライブを生で見るのは初めてとなったが、「再び武道館へ」の思いを爆発させた圧巻のライブだった。 TEAM SHACHIはチームしゃちほこ時代には黄色担当の伊藤千由李が推しであったこともあり、ももクロの次に(あるいはももクロのチケット倍率が高くはずれ続けていた時にはももクロ以上に)現場にライブ参戦していたグループだった。2013年の大阪遠征からはじまり、幕張メッセ、2度の日本武道館、目

ももクロ一座特別公演@明治座レビュー

 本広克行監督とももいろクローバーZによる3本目の舞台作品。平田オリザ作による現代口語演劇「幕が上がる」からももクロ楽曲を使ってのジュースボックスミュージカル「DYWD」と続いて、今回は明治座での座長芝居というこれまでとは全く異なるフォーマットに落とし込みどんな舞台を見せてくれるのかが、今回の注目であった。  私はももクロのことを音楽や演劇、バラエティーなどのジャンルを横断するような総合エンターテインメントプロジェクトと考えている。その中のひとつのジャンルが演劇なのだが、それ

AMEFURASSHI (アメフラっシ) 2nd Tour〈Drop Tour 2022〉@KANDA SQUARE HALL

AMEFURASSHIとたこ虹 AMEFURASSHI(アメフラっシ)のアルバムツアー〈Drop Tour 2022〉のファイナルに参戦。まだ会場は小さいけれど新曲もそろって、ここからどのような展開を見せてくれるかが本当に楽しみな公演だった。ももクロの次に応援していたたこやきレインボー(たこ虹)がコロナ禍による停滞などもあって、グループ解散に追い込まれた。 AMEFURASSHIはここからがスタートでまだまだこれから。今回のライブで歌やダンスでアイドル界トップクラスの実力が

AMEFURASSHI 2nd Tour〈Drop Tour 2022〉@Spotify O-WEST

第一部、第二部ともに一部の楽曲が差し替えられていたほかはほぼ同じ構成。新曲5曲のうちこの日披露されたのは「Blue」「Drama」の2曲。いずれもアイドルグループというよりはダンス&ボーカルグループとして成熟した魅力を感じさせる楽曲で、日本のアイドルグループでは存在しなかったレベルのパフォーマンスに思えた*1。コロナ禍のもとで困難ではあるが、このレベルなら日本でアイドルファン層に訴えるよりも、香港、中国、東南アジアなどアジア圏にまず進出、逆輸入のような形をとった方が早道かもし

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「ももクロ 春の一大事2022 ~笑顔のチカラ つなげるオモイ in 楢葉・広野・浪江 三町合同大会~」1日目@福島Jヴィレッジ

ももいろクローバーZ(ももクロ)は4月23、24日に福島・Jヴィレッジでライブイベント「ももクロ 春の一大事2022 ~笑顔のチカラ つなげるオモイ in 楢葉・広野・浪江 三町合同大会~」を開催した。ももクロの春ライブは「春の一大事」と題して、各地方の地方自治体と提携し、共同開催する今の形を取るようになってこれが4回目。埼玉県富士見市、滋賀県東近江市、富山県黒部市と続き、今回は 楢葉・広野・浪江 三町合同大会として開催されたが当初2020年の東京五輪を前に復興のシンボルこめ

「ももクロ 春の一大事2022 ~笑顔のチカラ つなげるオモイ in 楢葉・広野・浪江 三町合同大会~」2日目@Jヴィレッジ

ももクロ 春の一大事2022 ~笑顔のチカラ つなげるオモイ in 楢葉・広野・浪江 三町合同大会~」2日目。晴天でこの季節には珍しいほど日が照り付け、暑かった初日とは打って変わってライブ冒頭から若干の小雨がぱらつく天候状態。雨が本降りになることも懸念されたが、ラストの曲がちょうど因縁の「Link Link」で小雨がぱらついてきたのもの本降りにはならず曇天はかえって身体に優しく、絶好のライブ日和となった二日目であった。 この日のセットリストはともに田中将大登場曲の「何時だって