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「嘘喰い」「少年のアビス」最近好きな漫画たち

嘘喰いと少年のアビス

※ネタバレがあります。


最近はまっている漫画、「嘘喰い」を全巻読みました。
こちらについては後で全巻感想を書こうと思っています。ストーリーもさることながら絵や演出・表現がとんでもなく良いので、画像を引用して紹介したいのでデジタルで読みましたが単行本を買うつもりです。あと嘘喰いの絵への「好き」は漫画の好きよりもアートへの好きに近いので、やっぱり紙でほしい! と思いました。
門倉さん一番しゅきぃ。でも貘さんもしゅきぃ……。主人公を好きになることってあんまりないので(好感は持つけど好きとか推しとかとは違う)、その私の法則を壊した貘さんすごいです。
貘さんは顔は男性的なんですが全体の雰囲気が中性的で、ぞっとするほど尖っているのに柔らかくて、それが何とも色っぽい。こんな色気の男性キャラそうそういない。
門倉さんは男っぷりがよくて普通に格好いい、うえ、後半は後半で作者様のきゃどくらさんラリらせたかったんだろうなという情熱が感じられて非常によかったです。

嘘喰いについてはまたいずれ詳しく書くとして……。

少年のアビスの玄が……玄が……

もう一つハマっているのが「少年のアビス」です。
閉鎖的な田舎の闇に包まれてどこへも行けずもがく少年少女たちの物語です。

主人公の令児は認知症の祖母と引きこもり暴力兄貴の世話をしながら、母を支えつづけないといけない。クソヤンキー(玄)に奴隷にされてタバコ買いのパシリを日々している。が、母はそんな玄の親がやっている土建屋(という体のヤクザ)に卒業後の自分を就職させようとしている。
逃げ場がなさすぎて都会から来たアイドル(ガチの)・ナギと心中しようとして失敗し……。
助けてくれた学校の先生とイケない関係になり、執着され抜け出せなくなり……。
太宰治系クズ小説家(似非森)に狙われている幼馴染(チャコ)も地元から出して東京に行かせてあげないといけない。でもチャコの親もクソヤンキーも先生もみんな邪魔してくる……。

そんな地獄絵図が、でもどこかにありそうな地獄絵図が広がる漫画です。

田舎町のド田舎過ぎない地方都市感がリアル。雪国の灰色じみた空で車道があって畑があってコンビニがあって集まるところと言えばガス〇、それなんて米g(自粛

(ここから70話までの感想)

どのキャラも好きなんだがとりあえず玄について語らせてくれ。
最初すごいクソヤンキーとして出てきたんだが、途中から「あら?」「あらら?」といい感じで闇が深くなっていく。

チャコと町を出る! と言ってる令児を脅してなだめて町にとどまらせて、お家帰ったら、タバコがたくさん……そう、このヤンキー、令児に買わせたタバコを吸わずにため込んでいたのである。それを触りながら、
「これで大丈夫」
……って、……って!
何が大丈夫なんだよおおお。病院行こうよおおお。
タバコが本当は好きじゃないんだろうってことと、こうでもしなくちゃ令児と接点が持てないってことと、令児の買ったタバコだからため込んでいるっていうのと……強面のヤンキーがこんなことしているからギャップにやられてしまいました。

玄の令児への「好き」は、友愛以上のものが乗っかっているだろうけど、それは令児ママへの気持ちがそのまま令児にかぶさってしまっているのではと思う。あとはその他諸々の重たい事実と一緒に執着になってしまった。玄がそれに気付いているかはともかく。

玄が令児とのつながりに選んだのが”タバコ”というのも、令児ママのタバコの吸い殻に重なっていそう(同じ銘柄だから意図的だと思う)。「初恋」であり「お母さん」でもあった令児ママ。
令児ママは全部お見通しな上で、ちょっと「女」と「大人(母親)」を見せながら玄を操る。玄もママのそういう魂胆には感づいてる。
自分の父と令児ママのヤリ部屋で、令児ママに煽られた後、1人で押し入れの中で丸まっている光景はこの世の地獄。(玄はまだ高校生です。その彼に父の性癖を暴露したり押し倒したり下着姿で引っ付いたりと、これは児童への性的虐待です)
吸いきれないタバコに囲まれて生活してるのとかも闇すぎて。

尊い(ザワッ

(児童虐待は尊くない!)

卓球教室で先生に「父親とあの母親とりあってる」と煽られてキレたのは、ちょっと図星だったからだろうな。すごいな。ナギもだし先生もだし、大人からみたらいろんなことがお見通しなのかもな。
ただし現実には”何も”ない。肝心なものはすべておあずけされてる。初恋を汚すだけ汚してそのくせ何もくれないのが令児ママ。
卓球場でのバトルは面白かったw ローキックを華麗にかわす芝ちゃん先生さすがは元トップアスリート。
一千万円で令児を買おうとする先生に「そんなことさせるか!!」と怒る玄。
「あの母親がそう言ってるの?」
「俺が言ってんだよ!」
格好いいぞ玄。負けるな玄。令児を心配する気持ちは本物なんだよな。
ヤンキーの玄がこれだけ頑張っても芝ちゃん先生のほうが上手。この町では子供はどんなに頑張っても大人に勝てない。
玄が令児ママの指示で動いているのまで見抜かれているんだもんな。日々子供に接してきた教師の観察眼は伊達じゃない。

親友への心配。に加えて、絶対に手に入りようのない(だって彼が好きだった彼女は幻想だった)令児ママへの初恋。だから力が弱くて支配できる令児に”執着”が向いているのだとすれば、純愛だけどすっごくエゴイスティック。玄パパが令児ママを力ずくで手に入れている(ママの場合はそれすら利用するしたたかさがあるが)ように、同じことを令児にしてしまっている。でも心は手に入らない。心を伝えることもできない。辛い。切ない。

この期に及んで全然響いていない返事と顔しかしてくれない。令児は本当にひどい男だよ。

令児を友愛以上の好き、になったのは、中学に入って避けられ始めてだろうか。
令児ママが父の愛人になって初恋は壊された。そして令児も自分から離れて行こうとする。「離れて行こうとする」がトリガーで思い切り執着に代わり、恋に近いものになってしまったのではないだろうか。

玄の望みは「令児に生きて欲しい」「一緒に町でずっと暮らしてほしい」。でもそれを口で伝えることはしたくない。令児に何かを求めたくないから。求めたら令児は従ってしまうから。それでいて不満は溜まっていくから殴る蹴るになるという、悲しいくらいに典型的なDV男……。登場人物の中で令児のことを一番考えているはずなのに。

令くんには生きて欲しいな、私のゼロは死んじゃったから……。

この漫画を読んでいると「桐嶋、部活やめるってよ」の主題歌(陽はまた昇る)聴きたくなる。
選択肢のない子供の閉鎖的なキツさ。
令児ナギ生きろチャコ幸せになれ玄もう頑張るな。
(どうやって?)

大人たちも何とかなってほしい……ってこれもう呪われた町やないか。呪いを解かないと村人が幸せになれない的な何か。情死ヶ淵の呪いか。

令児ママが令児にれいじってつけるの、野添くん(似非森)がやっぱり好きで未練があったんだろうなあと思う。令児に執着するのも半分は野添への執着に感じる。態度では圧倒して見せているが、心の深いところでは相当に野添に執着していそう。
この部分に恐ろしい令児ママの、わずかながらの人間的な部分を感じる。蕾だったころの少女のママの想い……。

クソヤンキー玄の不良というより背伸びした高二病感あるファッションセンス、嫌いじゃないぞ。がんばって形から入ってるんだよね、がんばってるよね。田舎の王様も大変だよ。

令児がチャコの原稿を「捨てろ! あいつに二度と会うなー!!」って暴れて捨てさせようとするところ好き。令くんも感情あるんだな……というのと、チャコのこと本心で想っているんだなと。ナギを取り上げられたからもあるだろうけど。それだけの激情には思えない。なんかすっごい青春を感じた。
盛り上がっているところに「誰の許可とって町から出てこうとしてるんだ」と絡みだす玄……可愛いよ玄。

チャコの「だって女は自分だけは汚れたくないっていうもっと汚い気持ちがあるんですよ?」は名言。

太宰治系クズ男として出てきたのに、令児ママに精神破壊されてて、緊張でコーヒー吐いちゃう似非森もだんだん可愛くなってくる。
魔王(令児ママ)を討伐するために東京で修行して帰ってきた勇者ポジション。

まだ完結していない漫画なのでアレですが、完結したら改めて感想文をまとめようと思います。

ちょっと追記。
読み返したら、一回目に出てきたファミレスはガストなのに、二回目はジョイフルなのが芸が細かくて笑いました。
ガストは玄がいる! と思ってジョイフルに来たら、ジョイフルにも玄がいたよ!!
これだから田舎のファミレスはよお!!!!

腕をつかまず裾をつかむの、チャコには暴力的な気持ちがないのが伝わっていいな半分、本気出さない範囲でちょっとびびらせてやろーっていう悪質なからかいっぽくていやだな半分。

このときの玄の気持ちが気になる。あ、チャコだーって気持ちなのか。チャコがいるってことは令児がいる? って気持ちなのか、ナギが出ていくのが見えてチャコを止めて話を聞こうと思ったのか……。

一応チャコと玄の間で会話は成立するんだな。
玄もチャコには普通に接してくれるし(キレると小学時代の恩を持ち出すけど)、笑いかけてすらくれる。後々、チャコの親に「チャコは東京に行かせてやれ」って言っているし、普通に幼馴染としての気持ちがあるんだな。この町で数少ない普通だったころの自分を知っている相手だもんな。ある意味唯一ヤンキーとかそのほかのしがらみなく関われる相手。

そういえば令児ママもチャコには何もしない。普通に接している。もしかしたらチャコは、令児にとってだけでなく、玄や令児ママにとっても歪みの外にいる、壊れる前の存在として関われる相手なのかもしれない。

主人公もだしナギもチャコも玄も幸せになってほしいな。
チャコと主人公は町を出て幸せになってほしい。それが一番いいと思う。と思う反面、やっぱりダブルヒロインから片方選んではいけないのか!?
玄も町を出なさい。お父さんも令児ママも令児もいないところに行って、大人になって、令児と新たに友情を築きなさい。
意外とチャコと玄というのもアリな気がする。

しかしナギはどう幸せになったらいいのか……似非森と向き合うのか、しかしママンを救おうと思ったらママンと似非森で引っ付いた方がイイ気もする。
でも読んでいるとナギはきっと似非森が好きなんだよね。だったら似非森はやっぱりナギと向き合うべきだろう。ママンと似非森は一度ちゃんと向き合って、決別して。それからナギと似非森で本当の夫婦になる。それしかないやろ。

あ、じゃあ主人公は……?
先生を引き取りましょうか!!(ドドーン)

ラストまで読んだら改めてここに戻ってこよう。

少年のアビスのナギちゃんに泣く

玄のことを中心に書いたけど、作中で一番グッときたのはナギの「わかった」。泣きそうになった。

ずっと読んでいると、主人公含めて登場人物のナギへの接し方がめちゃくちゃ自己中なんだよな。誰もナギのこと本気で思っていない。思っていたら言えないようなこと、やれないようなことを無自覚にできてしまう。

こんなん死にたくなるわそりゃ。

たぶんいつも笑顔で話を聞いてくれて何でも受け入れそうに見えちゃうからこういう扱いされるんだろう。

その他細かいところを順番に


津山三十人殺し! つかみはオッケー!

「町出られん俺 かわいそう とか思ってたん? 本当に可哀想なのはお前のせいでこんなことになってるお前の母ちゃんだから! ざんねーん!!
と言わんばかりの玄。

チャコにキスされたときの「ごめん」「なんで謝るの」「だって俺 汚いし」が切ない。令児が男の子だとしてもいろんな女と関係できてラッキー、とは決してならない。ナギには夫を隠されてたし先生には性的搾取されるし。

”お互いのファーストキス”、あああ……。

チャコへの令くんへの思っていたことも、リアルだけど悲しいな。「可愛そうな幼馴染、でも東京に行けば疎遠になる存在」
でも令児の行動で好きになったんだ。令児は空っぽなんかじゃない。

先生とやった後も、名前で呼ぼうとしたり、ちゃんと誠意を持った関係を持とうと令児は最初していたんだよな。それを拒否しておいて、後から執着し始める先生。でも人間ってそういうものだよね。最初はこれでいい、って思っていても、どんどんどんどん欲深くなっていく。
誠意を拒絶されて、令児は傷ついたと思う。そこからまた空っぽが増えていく。

「…そんなことないってわかったやろ」
ここの令児、めっちゃくちゃ素敵。これはチャコじゃなくても惚れるわ。
このころの令児はダウナーでたしかに色気がある。
本来はチャコとの青春には必要のない陰りだけれど。
この後どんどん心が枯れていきもう色気も何もなく完全に死んでしまったような状態に。

「俺はチャコを守る 似非森がこの町にいる間はナギさんと死ねない」
格好よすぎる。
このころの令児のチャコへのふるまいはめっちゃ男前なんだがなあ。
でも、こういうことを遠慮なくナギに言うのはちょっと残酷だよ。
ナギが静かに受け入れてくれているから何でも話してしまうんだろうけど、そういう扱いが彼女を死にたくさせているんじゃないだろうか。

読み返してると似非森のナギへの態度に腹が立ってくる。
母親の介護の手伝いをしてくれって言われて、やる気になって勉強までしていたのに、実際は死んでいていないとか……。
彼女、自分の意志がないような扱いだけど、そんなこと全然ないと思う。こんな扱いしていたら空っぽにもなりたくなる。傷つくもん。もう傷つきたくなかったら空っぽになるしかない。

父がいなくなって5年という記述が。12歳で殺したのか。もっと小さい時かと思った。

それにしても玄のナギへのムーヴ。
服を脱がされながらなおも令児について探られるナギの気持ちにもなってください。
挙句の果てには「あいつは俺のもんなんだわ」と宣告。行為をやめて帰っていく。そりゃ「令児くん愛されてるじゃない」とも言いたくなるわ。

令児ママによる玄の折檻編。きょわい(´;ω;`)

詳細は前述(少年のアビスの玄が……の項)
令児ママに”チャコ”と町を出ようとしてた、とは言わずただ「町を出ようとしてた」だけ言うのは、チャコを守ろうとしたのかもしれない。こんなこと言ったら大変なことになるから。
ナギには敵意があるから平気で存在をバラしてる。心理がわかりやすい。

「青江ナギっていう特に売れてもねーアイドル。令児はこいつのファンらしい」
「チャコが……」
「なんかいろいろ書いた紙」
「あいつ小説家になりたいとか昔言ってたからそっち系じゃねーの」
玄くん、ぺらぺらしゃべるね……。
やっぱり令児ママの前だと素直な子供になってしまうんだな。

もしかしたら玄の中の令児ママは、今でも本気で、「親父に関係を強いられている可哀想なおばちゃん」「俺が助けて守らないといけない」となっているのかもしれない。
令児ママは客観的に観たらめちゃくちゃ怖い人になっているが……玄視点だと、自分の殺人のせいで親父に支配されている状態なわけで。父との関係の話を生々しく出すのも、「あんたのせいでこうなってるのわかってるわよねー?」という圧力。言うこと聞くしかないよね……。本当は、彼女に仕向けられただけなのに。
普通なら他人の母親の言うことをここまで聞く必要ない。聞くのはやっぱり何らかの情が残っているからだろう。

クソヤンキーにパシリにされていると思ったら、クソヤンキーはマッマのパシリだったでござる。つらたん。

玄にしているのは虐待どころか殺人教唆なのだが、はっきりしたことは言わずに仕向けるところが、まるで北九州殺人事件の犯人みたいで恐ろしい。

令児と令児ママの心中未遂。
玄、令児と令児ママを守るために人生をささげたのに、2人で死のうとされたなんてどんな気分だろう。
令児がナギとの心中を失敗した時は令児にめっちゃ怒っていたけど、今回はそんな感じじゃない。普通なら令児ママに怒りが向きそうだけど、それがないということは、初恋はママでも激情の対象は令児に移っているんだな。

玄の行動にはいろいろツッコミ入れながら来たけれど……

「お前が好きだ」

ここまで直球で、本気で告白されたら、何も言えない。茶化すなんてできない。
無茶苦茶本気だもん。
漫画であってもとてもじゃないがネタにできない。
そんな心境にさせるこの作品は本当にすごい。

似非森の目的。
違うかもしれないけど、思ったこと。
読み返していて似非森の意図が見えてきた。チャコにちょっかいかけることで、令児が誰かと心中するのを防いでいる。
ナギと出会わせるために令児が使い走りさせられているコンビニで働かせ、チャコにちょっかいかけて令児の心中を防いで……。
実は全部似非森の意図で物語が動いているのかも。そう思うとすげー怖い。珈琲吐いちゃうヘタレに見えてた似非森が一気に怖くなった。
誘ったときにチャコがノッてきていたらどうしたんだろう。適当な言い訳してそのまま帰したのだろうか。

令児ママの仕込みVS似非森の仕込みというわけか!!

2人の初邂逅、自転車ちりんちりーんからの

「夕子ちゃーん 久しぶりー」
「……ええ? 野添くん?」

この取り繕いよう。大人こわい。
特に予備情報なく野添に遭遇して瞬時にこのとぼけた反応が取れるママンは強キャラ。
この予想がどうなるか? 先を読んだらまた戻ってこよう。

(71話以降の感想)

なんやかんやイラっと来てチャコを押し倒しちゃう玄。
また真顔で女の子を押し倒しながら令くんのこと考えるムーヴとるの?

玄はかなり可哀想な奴なのに暴力と暴行(未遂)という最悪な形でしか感情を表現できないのが辛い。
暴力・暴行・殺害・恐喝、とことごとくDQNムーヴなのが悲しい。ある意味リアル。DQNの生態を見せられているみたい。DQNは嫌いなのに……。
まあ玄はまだ10代だから。これで20代だったら漫画のキャラでもちょっとごめんなさいってなる。(現実だと10代でもアウトですよ)

そしてそれを上回る令児とチャコの世界。

玄の「どけっ!」「なにごっこだこれは!!」ってのが真っ当な反応過ぎて面白い。(似非森浩作ごっこだよっ)

まず令児をボコして戦闘不能にし、チャコに襲い掛かるという最悪のことをしているのに、全然恐ろしさもなくむしろ残りの二人の方がゾッとする雰囲気で、またもアウェイにされた玄が哀れになってくる。
橋の上に続いて、また、仲間外れ……(´;ω;`)
どれほど無茶苦茶をやっても最終的にはヘタレて可哀想な感じになるのが趣深くて良いんだなあ。

似非森はわかりやすく太宰モチーフ(というか似非森が太宰気取っているというべきか)だけど、実際に太宰っぽいのは令児なんだよね。誰の事も見捨てられないまま誰の事も不幸にしていく。
あるいは太宰の小説の登場人物系。流れて流れて葉蔵みたい。
太宰はその性に命まで賭してしまったけれど、令児はどうなるのか……。

チャコは全然、玄を恐れていないし、あっさり許して逃亡資金も分け与える。
チャコの立場で観れば昔好きだった相手で変わらない良い部分も観ていて、俺の女になれという告白めいた言葉とセットだから、相手はヤンキーだし、ちょっと強引に迫られちゃった、という感じかもしれない。(自分を本当に好きとは思っていないだろうけど)
まさか玄が「令児は俺の……」とか思っているなんてわからないだろう。

金と一緒にベッドに残される玄くん……でも結局一緒について行っちゃう。
大人たちの闇が手遅れすぎて、幼馴染三人のわちゃわちゃにはニッコリしてしまうようになってしまった。
10代の闇は初々しい。


私が読んだ感じの令児の今の好意(恋愛や親愛)は

ナギ≧チャコ>玄≧ママ≧兄≧似非森≧先生>ばあちゃん
って感じだと思うが、ここでチャコと玄に差が出てしまっているのが、悲しいなあ。まあ玄の自業自得ではあるのだが。

魔物(マッマ)に支配された村を出て王都・東京へ向かう三人。どうなるのか。

というところまで読了。
また読み進めたらきちんとした感想の記事を書きます。

追記
記事内であまり触れませんでしたが、この作品を面白くしている重要な要素に芝ちゃん先生の存在があります。彼女のはっちゃけた行動があるからこんな重たい話でもすごく面白く読めています。
彼女がもう少し落ち着いたキャラだったら、暗すぎて途中で読むのが苦しくなったかもしれません。

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