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コロナのための笑い話 田舎の福祉施設の引っ越しの掃除中に現れた外国人廃品回収者について

 私の勤める地域活動支援センターが引っ越しをした。翻訳をしながら週2日勤ているその職場は、田舎にある非営利の福祉施設である。地域活動支援センターというのは精神疾病者の働く練習をする場なのだが、住所を移転し就労継続支援B型になる。少し、働くことに重点がシフトするかっこうだ。

 職場自慢を少しすると、福祉の施設はたいてい都会にある。利用者が集まりやすいのだ。しかし、そうすると田舎に住んでいる利用者さんはかなり遠くまで通わなくてはならない。精神疾病を抱えるなか、住み慣れた近場に通った方が断然いい。その職場はローカル性を大切にし、農福連携や地域からの依頼を受けて経営されている。職員もそこに共感する人が集まってきている。

 いやはや、引越しというのはエネルギーがいる。スタッフは5人だけなので(そのうち2人が非常勤だ)、利用者さんへの気配りをしながら、引越しを終えるのは疲れる。

 話の本題に入ろう。倉庫の整理をして、いるもの、いらないものを仕分けして、さてゴミを捨てなくてはならない、という段になった。いるものは軽トラに積んで、さて運ぼうと。その時、どこからともなく大型トラックが通り、その屑鉄を回収したいという。ごみ収集をしてリサイクルしたり、売ったりするのだろう。渡りに船だ、いや、ゴミに回収業者だ。

 アジア系の夫婦は片言の英語で一生懸命話してくれる。「これ、もってて、いい?」。私たちはニヤニヤしながら、しめた! と想いゴミを持っていってもらった。なんというベストタイミングなんだろう。私たちもなぜか、やや、かたこと日本語になりながら、出たゴミがあっという間に消えるのを感動を持って喜んでいた。夫婦たちは、ありがと、ありがと、じゃあね、と言いながら、大型トラックに乗って、どこかへ走っていった。外国人、本当にありがとう。

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