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陸上自衛隊の東富士演習場は茅葺き屋根の聖地だった/駐屯地モニター活動の記録

■前回の記事

■はじめまして

初めての方は,初めまして,そうでない方はまた会いましたね。

富士駐屯地(富士学校)の駐屯地モニターをしているてってけ氏です. (https://twitter.com/sima__tetteke)

前回の記事では,見学した富士駐屯地見学についてレポートしました.

駐屯地見学の際の体験喫食中に富士学校の副校長から興味深い話をお聞きしましたので書き記しておこうと思います.

■東富士演習場は茅葺き屋根の聖地だった

東富士演習場を実際に見たり,写真で目にしたりした人はお気づきかもしれませんが,その多くが草地になっています.

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特に秋になって遠目から演習場を窺うと金色に輝く敷地が浮かび上がります.

この金色に輝いている植物の大部分がススキらしいです.

このススキこそが,茅葺き屋根の材料となる茅で世界遺産の白川郷をはじめとする全国に出荷されているそうです.

刈り取って出荷するのは地域の住民の方々だそうですが,誰もが勝手に演習場に立ち入れるわけではありません.

自衛隊側は、演習場の地権者などに対して演習場に立ち入るための許可証を発行し立ち入り日を設けているそうです.

このように東富士演習場は,地域産業や茅葺き屋根という日本の伝統を支える重要な土地となっています.

以前,京都に住んでいた自分としては,京都のかやぶきの里として知られる美山町にも出荷されているのか気になりますね.

■野焼きが豊な土地を育む

毎年,春ごろに東富士演習場では,火災予防や害虫駆除を目的として,民間人や陸上自衛隊,消防,警察が協力して野焼きが実施されるそうです.

野焼きによって,地面に落ちた灰が天然の良い肥料になるらしく,山菜がよく育つ大地に生まれ変わるのだそうです.

野焼きといえば,自分は奈良の若草山の野焼きを思い出します.

若草山の野焼きで約33ヘクタール程度焼くそうなのですが,東富士演習場の野焼きでは約2700ヘクタール焼くそうで(↓のリンク参照),規模感の違いに驚きです.

■レンジャー御用達の山菜群生地 通称 《畑》

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富士学校では,レンジャー隊員の育成訓練も実施しており,日本唯一の幹部レンジャーを教育する場所でもあります.

レンジャー隊員の訓練といって思い浮かぶのが,山や森の中に籠もって数日間行進したり,仮想の敵拠点を破壊して駐屯地に戻ってくる訓練です.

この訓練をするにあたって事前にルート選定のために,人員が派遣されるそうです.

そして,この土地を知り尽くした自衛官の方々は山菜がよく採れる場所を把握しているそうで,帰ってくる頃には山菜をたくさん採取して戻ってくるとかこないとか...

この山菜がよく採れる場所を《畑》と呼んでいるそうです.

もちろん,隊員の山菜採取には大きな意味があります

レンジャー教育の中では「生存自活」と呼ばれる課目があり,食料の手に入らない状況では野生の植物が食べられるか否かを判断するのも重要なスキルの1つとなっています.

つまり,訓練ルート中の山菜の存在は「生存自活」の訓練に最適な場所である証ですね.

■まとめ

今まで知る機会がなかった東富士演習場にまつわるお話を聞けて,とても勉強になりました!





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