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【連載短編】風吹ねいろの毎日は。#1

 風吹ねいろの毎日は忙しい。まずいつものように寝坊から始まるので、今日も家を出る時間まであと十五分しかない。多分とんでもない寝癖がついているんだろうなと寝起きの頭で絶望しながらベッドから洗面台へダッシュで直行すると、案の定鏡には仮面ライダーの敵みたいな見た目の私が映っていた。
 洗面台の横に置かれていたくしを取って適当に水で濡らし、肩までかかる髪を大急ぎで解いていく。ボサボサだからブチブチとくしに髪がひっかかって痛いけど、そんなことをいちいち気にしてたら絶対に間に合わない。なんとか寝癖がついてるかついてないかバレない(とねいろは思っているが周りにはバレている)程度になったら、鏡に映る私に向かってウィンクをしておいた。特に意味はない。

 ダイニングに行くと、テーブルの上にはいつもと変わらずふわふわのフレンチトーストとスクランブルエッグ、そして置き手紙がある。

「おはようねいろ、今日は早起きできたかな?冷蔵庫にねいろが好きなキウイ、切ってるからね お母さん」

 私は速攻で冷蔵庫の扉をオープン。ひやっひやのキウイを取り出す。そして椅子に座っていただきます。


 本当はフレンチトーストもスクランブルエッグもキウイもじっくり味わいたかったとこだけど、そんな余裕はないので一気に頬いっぱいに詰め込んだ。多分リスみたいになってる。

 もぐもぐしたまま食器をシンクに片付けたら、部屋に戻って制服に着替える。なんとか戦隊なんとかジャーが変身するときみたいな気持ちで私はスカートを履き、黄色い帽子を被る。そして背中にランドセルを背負って、準備完了。誰もいないけど一応いってきまーすと大声で言っといた。当然返事はない。
 玄関の鍵を閉めて、私は小学校への道を歩いた。
途中でなにか大事なことを忘れている気がしたけど、三毛猫のにゃー太郎(ねいろが勝手に名付けた。ちなみにメス。)にいつも通り会って全部忘れた。

風吹ねいろの毎日は、忙しい朝からはじまる。

                   つづく。




あとがき

 音楽みたいな小説、を僕なりにやってみようと思いこの連載を始めました。酸いも甘いも起きる風吹ねいろの毎日を、自由にお楽しみください♪

                     みざ


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