短編ホラー小説『あなた』 ~手配師~
前書き
記憶
《・・・ここは・・どこだろう・・・・・・》
あなたは、記憶が曖昧です。
仰向けで寝ていたあなたが、目が覚めてすぐ視界に入ってきたその先にはよくある一般的な蛍光灯が、長年の熱でほんのりと黄色く濁っている天井の景色が目に入り込んだ。少なくとも、自分が馴染んできた実家や自宅の天井風景ではないことだけは間違いない、と記憶があやふやなあなたでも確信はできた。
まだ朝ではないというのが、その黄ばんだ蛍光灯が点いていないのと周囲の仄暗さが物語る。
左右に目線