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読書記録①「メタ思考」

 先日本屋に行って本を大量に購入した。
 金額にして25000円相当。プラスAmazonでも13000円相当購入したので、まあ、すごいことになっているわけだが。
 本を買うとき、なんとなく類似したジャンルの本を買うようにしている。というか、気付いたらそうなっていた。小説ばかり買う日もあるし、専門書ばかり買う日もある。今回は小説と、珍しく自己啓発的な本もいくつか購入してみた。
 基本的に自己啓発の類はあまり得意では無いのだが、どうしてもタイトルが頭から離れず25000円の一部となった。
 それがこちら。

メタ思考 「頭のいい人」の思考法を身につける(澤円、大和書房)

 何故気になったかと言えば、帯の一文。「すべてを俯瞰で考える。」というコピーが記載されていた。
 俯瞰視点。私の得意な事柄じゃないか?
 私の場合俯瞰視点はもう癖みたいなものなのだが、これが一体何の役に立つというのだろうか。そんな思いでこちらを購入した。

別の視点を取り入れる



 景気が不安定だったり、一人一人が働き方と自身の生活とのよりよい付き合い方を模索していたりする現代社会。そんな時代の中で、一つ所に留まり、一つの価値観しか知らないまま生きていくのは辛く苦しい。故に、今の生活の一歩外に歩み出て、別の視点を探っていこう。
 最初から最後まで外の視点=メタ思考を手に入れる必要性と具体的方法についてが書かれている。確かにものごとを一つの面から見ないのは視野が狭くなる原因になるし、視野が狭ければそれだけ選択肢も狭まる。先行きが不透明な中で選択肢の狭い生き方をするのは、言うまでもなく険しい道のりになってくるだろう。
 外の視点を手に入れると言っても、今すぐ会社を辞めて転職しようとかそういう話ではなく、ボランティアやワークショップ、副業、趣味の活動などなど、そういう普段の生活とは関係のない場所に身を投じ、そこでの考え方を手に入れようということだ。そうして他の場所にも身を置いてみることで、こちらが駄目でもあちらがある、といったようにリスクの分散も出来る。
 個人的には考え方を身に付けるだけなら今いる環境の外に出ていかなくてもある程度は可能ではないかと思うが、実際に環境を変えてみる方が別の視点を得られやすくなるということなのだろうと解釈をした。

別の視点=メタ視点を持つことの利点


 先にも軽く触れたが、今とは別の視点を持つことにより得られる利点も、本書で挙げられている。
 リスクヘッジも出来るし、今いる会社や人間関係に固執しなくて済む。要は今よりもずっと生きやすくなる。
 たとえば、仕事で大きなミスをした場合。「会社に居る自分」という視点しか持っていないとすると、当然自分の人生においての会社の比重が増す。そんな中ミスをしたとなれば、ミスそのものもだが居場所を失うかもしれないといった余計な心配事にも頭を悩ませることになる。自分の価値すら疑問に思い始めるかもしれない。
 もし会社以外でも活動していれば、会社でのミスをそこまで深刻に受け止めることは無くなるだろう。こちらが駄目でもこちらがある、といった風に自分を励ますことも出来る。
 たとえば、人間関係について。嫌味や悪口にしか聞こえないことを言われても、他にコミュニティがあるのであれば悪口を言ってきた相手についてそこまで深く落ち込むことは減るだろう。或いは、別のコミュニティで似たような言葉を言いそうになり、そこで初めてその人の真意に気付くなんてこともあるかもしれない。
 とにかく多角的に物事を見ることは、仕事だけでなく人生のあらゆる場面において役に立つ、と著者は語る。個人的には合間合間に挟まる「そんなの出来ないよ」に対するアンサーが強い言葉を遣っている訳ではないのに有無を言わさぬ力のある正論ばかりで、小気味よくて面白かったので是非一度目を通していただきたい。

私の感想


 正直なところ、現在私は自由な職場で働いている。勿論規定は色々あるけれど、出る必要も無いのに出なきゃいけない会議も無いし、人間関係もたまにイラっとすることがあっても概ね良好だ。物凄く憂鬱な朝もあるが、仕事において楽しいと思える部分も存在する。
 この本では働き方に悩む人に向けての話も結構な割合込められていて、私には直接的には関係の無い部分もあった。勿論、広く捉えれば今の環境にも応用できる箇所はあるのだが。
 故に働き方よりも生き方を楽にするという観点で本書を読んでいた。そんな中私が気に入ったのは、「自分の長所は自分で決めて良い」「短所も大抵の場合、見方を変えればただの改善点」という部分だ。
 正直な話、私には何一つとして長所が無いと思っている。長所と短所を挙げろと言われて短所の欄はすぐ一杯になったのに長所の欄は何一つとして埋まらず、渋々思ってもいないことを書いた記憶がある。
「長所と短所は表裏一体」と言うが、そんなん嘘だろうと思って生きている。短所は短所でしかなく、長所には見えない。ずっとそう考えてきたが、ようやく腑に落ちた。
 知らず知らずのうちに短所は改善すべき部分だと思っていたから、改善しなきゃいけないのに長所ってどういうことだ? と混乱していたのだなということに気付けた。私のこの考え方もちょっとおかしいかもしれないが、あくまで私目線、私の短所の場合だ。他の人の短所は長所たりえると思っているし、愛すべき点とすら思える。自分のことは適用外というだけで。
 長所が無いというのも、自分でそう思い込んでいただけのことだった。人間誰にでも取り柄があるという言葉を私にも当て嵌まるとするならそれはそうだろうと思われるかもしれないが、長所なんて無いという思い込みもまた、私にとっては当たり前だったのだ。
 この本はそういう知らず知らずの内に抱えている思い込みに気付かせてくれる。思い込みは視野を狭くする。常に広い視点、広い視野を持っていたい私にとって、思い込みはおおいなる脅威だ。意図して排除していきたいのだが、やはり自分一人の力では中々に難しいものがある。
 先程、外の視点を得るために新しい場所に飛び込んでみるのがいいと記述した。私はこの外の視点を得るための行為に、読書を追加してもいいんじゃないかと思う。小説にしろビジネス書にしろ何にしろ、別の人生を追体験出来る貴重な瞬間だ。しかも場所を選ばない。実際の体験には劣る部分もあるだろうが、思索を巡らせて新たな視点を探るのは私の性に合っているし、それも中々に面白いと思っている。
 ……別に、新たな人間関係を構築するのが嫌だとか、見知らぬ人の輪の中に飛び込む勇気が無いからとか、そういう訳ではない。という、見え透いた言い訳も一応残しておこう。とにもかくにも、人それぞれいろんな方法で今より外の視点を手に入れて、色んな悩みを軽減しよう。これに尽きる。
 本書に対する私の解釈は以上だ。貴方はどんな解釈をするだろうか? 是非、手に取って読んでみて欲しい。


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