現実逃避癖と生きていく|エッセイ

両親は子供の前で激しい喧嘩をする人たちだった。兄弟からもストレスのはけ口にされた。
そんな幼少期だったので、早くに現実逃避癖を獲得した。

兄のお下がりの服を着て、兄と同じような本を読み、兄と一緒にゲームをした。
エアガンの的にされて痛くて怖くて走って逃げ回ったり、ジャイアントスイングで布団に投げられたり、漏らすまでくすぐられたり…

兄がいてよかったと思っているが、思い出はハードなものばかりだ。

現実逃避先、ゲームとの出会い

最古の思い出はスーファミのドラクエⅤだろうか、リセット等しようものなら、問答無用で全てのゲームデータが消し飛ぶ。兄からは触るなと言われてたのに何回消し飛ばしたか…。
消し飛ばし関係ならポケモンにも思い出がある。限定ミュウ入りのポケモンのデータを消して兄から病院送りにされたことがある。そんな怒らなくてもいいじゃんね。
ゼルダの伝説時のオカリナは兄がやってるのを後ろで見てた。今でも大好きなゲーム。ちょっとダークな雰囲気がいい。

兄のお下がりではなくはじめて自分のおこずかいで買ってクリアしたのは大神だ。
アマテラス大御神(狼)が筆しらべという神業を扱いながら世直しの旅をするゲーム。筆で描いたようなグラフィックと和風な音楽、世界観が素晴らしくて夢中になってクリアした。つい最近もHD版をトロコンしたが、色んなゲームと出会った今でもやっぱりいいゲームだと感じた。据え置き機での続編はもう出ないんだろうか…。

私がゲームにハマったのは、手軽に現実を忘れて没頭できるからだったと思う。もちろん逃げても何にもならないのだが、現実と向き合わない限り逃げ続けられるような気がしてた。
私が引きこもるようになった頃には、オープンワールドのゲームが出始めていて、MMO全盛期だった。
自分の好きな時に好きなところに行ける…引きこもってたからこそ、外に飢えてた。引きこもる前は家族や友人関係に悩んで、悩みを忘れるためにゲームに没頭していたが、この頃は「こんなはずじゃない」自分から逃げるためにゲームをしていたと思う。

その後色々な人の助力もあり、思ってたより人生は順調に進んだが、現実逃避癖だけは治らなかった。
もう今となっては何から逃げてるのかわからない。
さすがにもう大人なので生活を疎かにしてまでゲームすることはないけど、最低限の家事と育児だけしてゲームに没頭する時はある。

今も昔もそうやってたくさんのゲームと出会ってきて、いつの間にかゲームの思い出は私の人生の大部分を占めている。
現実逃避先でしかなかったゲームが、今では人生を彩る趣味だ。

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