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よく買い物をするスーパーで品出しするおばさんの見た、ちょっとした怪異

何年も前の話です。

人がたくさん集まると何かしら怪異を体験する人も混ざっているもんで、数年前に(もう10年くらいたつかも)スーパーで品出しバイトが一緒だった、当時60代だったおばちゃんたちと雑談していた時の話。

そのおばちゃんはチーズ売り場で冷蔵ケース棚の最下段に特売の切れてるチーズを品出ししていた。

しゃがんで、自分の左側にセットしてある箱から棚に陳列補充していると、右の脇から覗いた向こう側に、縁にフリルのついた白い靴下で、ローヒールで甲に花の飾りが付いているピンクベージュっぽい色の靴を履いた女性の足がこちらを向いて立っているのが見えたそう。

お客様が買い物をするのに自分の位置が邪魔をしていると思い、

「いらっしゃいませ、どうぞ・・・」

と、振り返ると誰もいなかった。



という、お話。

すると、別のおばちゃんが「そういえば不思議だなと思ったんだけどまあいっかって流しちゃったんだけど・・・」

そのスーパーは大型で、商品の陳列棚は中央の通路を挟んで40列以上ある。おばちゃんたちの品出しバイトは早朝の5時半から稼働している。二十四時間営業なので、ほとんど居ないとはいえ5時台でも数人のお客様はいる。

ある時そのおばちゃんの話は、品出しするために食品が乗った在庫のカートラックを引いて店内を移動していると、服装は変哲無い感じなのにサングラス(日の出前で店内です)に黒いマスク(だいぶコロナ前です)に黒い布を頭から被り首や顔を隠し、さらに防空頭巾のような形の黒っぽい布?をかぶっている状態の、痩せて背が低い女性が声をかけてきたそうだ。

「すみません匿って欲しいのです私は今アメリカとロシアに追われていて・・・」

たまにこういったお客様がいるのは知っていたし、バイトの従業員はお買い物関係の申し出ではないお客様の対応はせずにその時の店内責任者の上長に交代という決まりがあったので、それに従おうと

「お客様、こちらへ・・・」と、いったん、椅子のあるサービスカウンター付近のスペースへお連れしたそうです。

その位置からはガラス壁越しに駐輪場が見えています。

椅子に座ってもらい、振り返ってサービスカウンターの中にいた上長を呼び、事情を話して振り返ると、その黒い女性はガラスの向こう、つまり店外にこちらを向いて立っています。

「あれ?」

上長は「どこにいるの?そのお客様は?」と、

その黒い女性の方に目配せすると、ふっと立ち去ってゆくところでした。

「ああ。。あのお客様。よく来るんだよね。なんか連合軍から狙われてるから助けてとか、そういうこといってなかった?そういうお客様なのよ」

「そうですか・・・・」

「だから今度またきたら、教えてね。対応はするからね」上長はそういうと仕事に戻っていった。

そんなことよりも今そこに座ってたのに、2分としないうちに出口の扉もないガラスの向こうにいたことが不思議で、どう考えてもあの位置に移動するには自分と上長のいるサービスカウンターの脇を通らなければならず、また大型スーパーなので深夜早朝は三つある出入り口のうちの二つは閉めてしまうので、唯一の一つの出入り口までは距離があるので、時間的にも歩いたり走ったりして移動するには無理がある・・・と思うんだけど

「忙しかったからまあいいやってなっちゃった」



という、お話。



次は私自身の話です。

同じスーパーです。建物の2階に従業員の休憩室がありました。私は勤務時間より少し早く建物入りして、この休憩室でコーヒーを飲んでから仕事に入るのですが、ある日いつものようにそうしていました。

狭い休憩室です。

休憩室内に、ガラス壁で囲ったタバコルームがあり、休憩室自体は会議テーブルが6つ、入って奥に縦に3、手前に3並んでおり、角テーブルごとに4つ椅子が設置されています。入り口にたてば、死角はなく自ずと部屋全体が見渡せます。

休憩室に入ると、出入り口のところに照明と空調のスイッチがあります。『最後の人は消すこと』という張り紙とともに『TV忘れないで』等

その時間は大体誰もいないので、入って照明と空調をつけて奥の真ん中のテーブルで椅子にかけてコーヒーを飲んでいました。

するとお肉屋さんの従業員が入ってきて、挨拶なしで喫煙ルームへ入って行きました。しばらくすると、喫煙ルームから出てきて、照明と空調を消して出て行きました。

私は立ち上がって、照明と空調をつけました。

またしばらくすると、テナントの中華屋さんの店長さんが入ってきて、喫煙ルームへ入って行きました。一瞬なので挨拶もタイミングなく。

しばらくすると中華屋店長さんは喫煙ルームから出てきて、休憩室出入り口を挟んで喫煙ルームの向かいにある流し台で手を洗って、照明と空調を消して出て行きました。

『最後の人は消して』



大柄な中華屋店長が長い階段をトントンと降りていく音を聞きながら薄暗い休憩室でぽつん・・・・急いで休憩室から出て長い階段を降り、最初に会った白衣の従業員に

「ねえ今あなた、私のこと見えてる???」と聞いてしまいました・・・・・



という話よ。。

まあ最後のは階段・・怪談でもなんでもないですけど、ちょっと焦ったのは事実。相手からわたしが見えていない??この発想ってやっぱ怪異が身近だから思うんでしょうかね。

サッポロビール工場跡地に建つ商業施設での不思議なお話でした。(まだいくつもあるので機会があったら書きます)


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