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Gift Music プロジェクトに寄せて① 〜 「贈与論」からはじまった音楽プロジェクト

はじめまして。SILKROAD JAPANの大塚惇平です。このたび、noteを始めてみました。ほんとうは、SILKROAD JAPANのストーリーについて最初は書き始めたかったのですが、ひとまず、近々に迫っている私たちのプロジェクト「Gift Music」プロジェクトについて、その思いを綴ってみたいと思います。

【12/6 14:00~LIVE配信】Gift Music Special Talk & Concert : 東から西へ辿るシルクロードの響き~伝統という”ギフト”を巡って~

最近、「贈与」「シェア」のことばを見聞きする機会がありませんでしょうか。決して明るいとは言えない世相の中で、年齢や立場を超えてさまざまな人たちが「贈与」「シェア」の言葉や行動を、それぞれの希望と意思と祈りを乗せて発信・具体化されているように思います。

私たちの「贈与論」との最初の出会いは、ルイス・ハイド氏による、「ギフト エロスの交易」という一冊の本でした。
https://www.h-up.com/books/isbn978-4-588-49020-0.html

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内田樹さんの贈与論も昔から有名です。

こういった贈与論によると、「贈与」は「何か良きものを受け取ってしまった」そして「この良きものに対し私は返礼(パス)しなければならない」と感じた個人からスタートします。「恩送り」という言葉も、このことを表しているのだと思います。

上記の記事で内田樹さんも論じているように、才能のことを英語ではgiftと言います。そもそも、才能自体が天からの贈り物であり、それは、占有したり、退蔵してはいけないという遂行的なメッセージを含んでいる、と言います。ルイスさんも、芸術そのものが「ギフト」としての性質を持つものである、としています。

そういうギフト的な感性・考えの元に、音楽をこの社会に巡らしていく、そういった活動こそ、コロナ禍のこの状況下で、音楽に携わるものとしてすべきことなのではないかと感じ、その考えに共感した映像・音響・制作のスタッフたちと共に、始めたのがGift Musicプロジェクトでした。

最初のGift Musicプロジェクトはお寺から始まりました。お寺という場所は、「贈与」的な感性をもともと豊かに保持してきた場所です。「伝統」は先人からの贈与であり、「祈り」という行為も見返りを求めることなく誰かや世の中の安寧を願う行為です。「お布施」も、元々は自らの執着を離れ、純粋な贈与を行うための「修行」でした。

特に、このプロジェクトが始まった4、5月のコロナ禍の状況下、世の中に最も必要とされる「安心」を、お寺という場所から「祈り」と「音」と共に少しでも届けることができないかと試みることは、とても意味を持つことなのではないかと私たちは考え、8月までに6回にわたって、LIVE配信を中心とした発信を行ってきました。ぜひ、ダイジェスト版のYou Tube動画をご覧になってください。

12月6日の第7回目のGift Musicでは、今回、お寺を離れ、御茶ノ水のワテラスコモンホールから、音楽・文芸批評家の小沼純一さんを迎え、この「贈与」の考えから、「伝統」を新たに捉え直すことに取り組みます。出演のアーティストからはきっととても興味深いお話が伺えると思います。ぜひ、ご覧いただけましたら嬉しいです。

次回は、「贈与」と「伝統」について、少し書いてみたいと思います。

SILKROAD JAPAN 大塚惇平 http://ohtsukajumpei.com/


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