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一人ブルベ 600km

こんにちは
自転車が大好きなsilicate meltと申します。

ロングライドが大好きなワタクシ
ブルベにも興味があるのですが、開催地が遠く参加が難しいので、いつも一人で走っています。

仕事を休まず、土日のみで走れる
秋田発着のブルベがあればなぁ
なんて思っていたのですけれども、昨年、もりかわ氏のnoteで、秋田でブルベが開催されていたことを知りました。
2023SR達成!【アタック阿仁】BRM916埼玉200㎞
世の中には "遠征ブルベ" というものがあり、主に関東のクラブが秋田まで来てくれて、開催をすることがあるようです。

2024年はどうなのかと調べてみたところ、AJ群馬による600kmのブルベ
「BRM907群馬600  秋田→新潟」が開催されるとのこと(下記リンク)。
これは、是非とも参加したい!


ところが、スケジュールを見て考え込んでしまいました。
9月7日(土) 6:00スタート
秋田→新潟の片道だから、9月8日(日) のうちに秋田に戻るためには、600kmをおおむね35時間以内に完走し、新潟駅18時発の特急に乗らなければならない。しかし、いまの自分の脚力ではタイムリミットの40時間を切れるかどうかギリギリのところだろう。

新潟到着後に一泊し、仕事を休んで、月曜日に帰るなら参加可能だが、
ワタクシは単身赴任中の身
家族の住むおウチに帰るために、有給休暇はできるだけ取っておきたいのです(笑)。

そこで、最初の400kmまでは「BRM907群馬600  秋田→新潟」と同じルートを走り、その後に秋田まで帰ってくるコースを、7月13日から15日かけての三連休で走ってみることにしました。

このnoteは、そんな一人ブルベ600km、激闘の記録(笑)です。


1. 事前準備

< 走行ルート >

BRM907群馬600一人ブルベ600のルートを上図に示します。
秋田発で山形県の寒河江までは同じルート
一人ブルベは月山を超えて鶴岡に出て、日本海沿いに秋田まで帰ります。
今回は3連休だから新潟まで走ってから帰る時間もあるのですが、とくに認定とかされる訳でもないし、交通費を浮かすために(笑) 秋田発着としました。

最初の400kmまでは同じで、残りの200kmが変わります。
BRM907群馬600は690mの大峠トンネルを超えた後も、アップダウンが少しある。
一人ブルベ600は国道112号線旧道で920mの大越(峠)を超えた後はフラット
両者の難易度は同じくらいに見える。

ところがですね
この920mの山越えは想像を絶するとんでもない道だったのです。
これからこのnoteに書くのですけれどもね
本当に、絶対にブルベには組み込んではいけない

とんでもない酷道

だったのです(笑)

もちろん、このルートについては事前にいろいろと調べたのですよ。
しかし自転車で超えたことがある人は少ないようで、ブログなどのレポートはあまり見つかりませんでした。
昨年7月時点のGoogleストリートビュー(下図)を見ると、とても快適なサイクリングができそうに感じます。
ハイ、ワタクシはこれにまんまと騙されました(笑)

国道112号線旧道(六十里越街道)のGoogleストリートビュー(2023年7月)


というわけで、今回の全体ルートは上図のようになります。
距離608km。これをグロス15km/h以上で走って、40時間以内に完走するのが目標です。

今回、この600kmを宿泊無しのノンストップで走ります。
というのも、初日も二日目も夜間にかなりのアップダウンがあります。
私はヒルクライムが苦手なので、登りで遅れた分を下りで取り戻したいところなのですが、夜間の下りはスピードが出せないので、どうしてもグロス速度が低下してしまいます。
自分の脚力と今回のコースを勘案したところ、宿泊するような数時間の休憩タイムは捻出できないことがわかり、走り続けることにしました。


< ロードバイク >

自転車は LOOK 565
タイヤはコンチネンタル GP5000 25Cの新品に交換しました。
このタイヤはクリンチャーの定番でとても評判がよいので楽しみだ。


< ボトルとツールケースを背負ってみるテスト 

ボトルとツールケースはリュックの中に入れました。
最近パワーメータ試験をしたところ、荷物はロードバイクに取り付けるよりも背負った方が速く走れることが判明したのです(下記リンク)。

実はワタクシ、これが半信半疑だったのですが、同様な結果がサイスポ誌の試験でも報告されており、理論的な裏付けも得られたので、今回の一人ブルベの前半300kmで背負ってみるテストをしてみることにしました。
私の試験結果に基づくと、28km/hの走行時と同じパワーで、荷物(ボトルとツールケース)を背負った時には29km/hで走れるようになります。

ボトル+ツールケースで1.2kg、リュック全体の重さは約2kg
背負うと、少しずっしり感があります。


< 地図 >

最近、Garmin Edgeのナビの調子が悪いので、ナビは使わず、地図のコピーを持って走ることにしました。
ソフトウエアアップデートをしてから調子が悪いみたいです。
先々週、200kmのロングトレーニングをしたのですが、途中でナビが誤作動してフリーズし、電源ボタンを含むすべてのボタンが一切反応しなくなりました。パソコンに接続してリセットできたのですが、走行ログも消えてしまいました。

600kmの途中でログが消えてしまったらとても悲しいので(笑)、今回はナビは最初から使わないことにしました。

地図はMappleをコピー機でA3用紙に140%拡大したものです。
それに曲がり角と距離を赤ペンで書き込みました。
昔は自転車にナビなんてありませんでしたからね。
ワタクシにとっては、むしろこっちの方が普通です。
念の為に、Googleストリートビューですべての曲がり角を事前にチェックをしておきました。


< 補給食 >

補給食は和菓子ミックス10個、ブラックサンダー4個、ライスバーガー1個(アルミホイルの中、冷蔵庫の在庫品を解凍)です。

7月13日(土)
この日は午前中は職場で仕事
帰宅してから昼食後に睡眠、17時に起きてシャワーを浴び、早めの晩飯(パスタ)を食べました。


2. 秋田→角館 (最初の夜)


7月13日(土) 18時12分
自宅を出発
40時間後の15日(月) 10時12分までに帰ってくることが目標です。

道の駅あきた港に寄ります。
ここはBRM907群馬600 の出発地点となります。
自分もブルベに参加している気分で出発です。


国道101号の船川水道を渡る橋の手前に、巨大なまはげ像があります。
男鹿半島に行くサイクリストが必ず写真を撮影するところですね。


入道崎だけど、真っ暗で何も映ってませんね(笑)
正面の灯台の灯りが回っていました。

21時39分,76km地点,男鹿半島先端の入道崎に到着
ここで最初の休憩をし、持ってきたライスバーガーを食べる。

入道崎を出発後、Garminに突然
バッテリー残量が少なくなりました
との警告が表示される。

あれぇ?
しっかり充電したハズなんだけどなぁ
やっぱり、このGarmin Edge 840はどこかオカシイのか?
とりあえず、スペアライトのOLIGHTを取り出してType-Cケーブルで接続し、走りながらGarminを充電をすることにした。
OLIGHTにはモバイルバッテリー機能があり、Garminを5回満タン充電することができます。

上は上小阿仁村のどこかで撮影した写真
この日の夜は霧が濃かったです。
気温は24℃程度で、とても走りやすい。




2時40分,159km地点,ファミリーマート阿仁前田店に到着

店の前に座ってパンとコーヒーで一服していると、
LEDライトを煌々と照らした一台のロードバイクがやってきた。

ブルベライダーだ!

私はそう直感した。

こんな時間帯にこんな山奥のコンビニに,ロードバイクでフラフラとやってくる変態は,ブルベライダー以外に考えられないのだ!

ワタクシ:こんばんわ〜、どちらまで?
ロードバイク氏: 龍飛まで。ブルベに出てるの。

私の予想通りだ。
しかし、私よりも明らかに年上の、どちらかというと親世代に近いオジサンであることに驚いてしまった。

ワタクシ:どちらから?
ブルベライダー氏: 木曜夜に埼玉を出て、龍飛まで行って、青森がゴール。
ワタクシ:それだと1000kmですね。
ブルベライダー氏: そう、1000km

ひとしきり話をしたあと、聞いてみた。
ワタクシ:失礼ですが、おいくつですか?
ブルベライダー氏: 気になる?
ワタクシ:そりゃぁ、気になりますよぉ(笑)
ブルベライダー氏: 72歳、ブルベは60から始めたんだけどね。

72歳で1000km!


「前に75歳でブルベに出ている人に会ったことがあるよ」
と謙遜しておられたが、凄いとしか言いようがない

ロードバイクのリヤホイールをしきりに気にしている。

ワタクシ:どうかしたんですか?
ブルベライダー氏: きのう、土砂降りの雨の中を走り続けたら、ハブの中に水が入ってしまったみたいで、調子が悪いんだ。
ブルベライダー氏: 大館って自転車店ある?
ワタクシ:専門店が1軒ありますけど、ここから30kmちょっとだから、まだ開店前ですね。
ブルベライダー氏: そうかぁ、弘前で探すかなぁ

なんて言いながら、疲れた様子もなく、余裕綽々な感じであった。


流石、ベテランブルベライダーのスタイルは本格的である。

お前、ブルベ舐めてんのか?
と叱責されそうなワタクシとは大違いだ。
しかし、私も軽装で走っているけれども、ベテランブルベライダー氏の装備も1000kmの割には意外とコンパクトなことに驚いてしまった。

ベテランブルベライダー氏は寝ないで走ってきたため、先頭近くにいるが、他の参加者は手前の角館あたりで宿泊しているらしい。

ブルベライダー氏: これから南下するなら、何人かとすれ違うと思うよ

と教えてくれた。

国道105号線を南下する。
教えてくれたとおり、ブルベライダーと思われる数人とすれ違った。
自転車のLEDライトは車と違って特徴的だから、遠くからでもわかるのだ。

すれ違いざま、暗くて顔は見えなかったけれども、

この人たちみんな、1000kmにチャレンジしているんだ!

と思うと胸が熱くなった。

帰宅してから調べたところ、下記のブルベだったようだ。



午前4時頃、次第に明るくなってきた。



最近2週間の秋田県の熊出没マップ(7月15日現在)

うっかりしていたのだが、
今回、このコースを走る上で "ツキノワグマ" の存在をすっかり忘れていた。
上図は、最近2週間の熊出没地点のマップである。
昨年までは、県が年間を通じての熊出没マップをネットに公開していたのだが、出没回数が多すぎるため、今年から「2週間の累積マップ」に変わったのだ。

私はいま、上図の青ルートの国道を南下しながら大覚野峠に向かっている。
累積マップを見ると、大覚野峠周辺は熊の報告が無いから安心できそうですよね。

でも、ちがうの

このあたりは伝統的なクマの狩猟文化が残る阿仁マタギの里
クマが居るのが当たり前で日常茶飯事のことだから、

目撃しても誰もいちいち報告なんかしないだけなの (笑)



国道105号、この交差点を左折すると「くまくま園」である。
くま専門の動物園で、我が家も家族で2度ほど行ったことがある。

6時19分,189km地点,大覚野峠(だいがくのとうげ、518m)を通過
とりあえず、ヒルクライム中にクマに出会わなくて良かった。

この先の道でダウンヒル中、道路脇の駐車場にロードバイクを寝かせて、地べたの上で寝ている人を見かけた。
おそらく、1000kmブルベの参加者だろう
もしもサイクリングロードにそんな人がいたら、異常事態なので声をかけるが、ロングライド中ならワタクシもたまにやるし、問題ないだろう
ってことでスルーした(ただし、この場所でこのタイプの休息をするのは、クマ的には危険なのだが… )。


角館の武家屋敷通り

7時31分,232km地点,角館を通過


7時53分,237km地点,すき家で朝食&休憩



3. 角館→寒河江 (二日目の日中)


大曲から湯沢にかけては、地元民しか使わない、地味な県道をつなぎながら南下する。ここはワタクシのロングのトレーニングコースでもある。

このルートを考えたAJ群馬の方は流石ですね。
メインの国道13号と比べて5kmほど短縮でき、山形への近道となるのだ。

11時6分,288km地点,グランマート湯沢店にて昼食&休憩
ここまで、グロス17km/h
まずまずのペース

ここはワタクシが県南に来ると必ず寄る休憩スポット
コンビニに比べて品数が豊富で安く、広いイートインコーナーがあり、冷水機もあるので水の補給もできるのだ。
ここで焼きうどん、フィッシュバーガー、アイスを食べる。
補給食用に大福餅とドーナツを買った。
休憩中にGarminをOLIGHTで充電しておく。
40分ほど休憩をしてから出発。


気温は32℃
途中でバテて、道の駅おがちに避難
ベンチに横になり、仮眠をとったところ、気がついたら1時間以上も休んでしまっていた。
グロスは15.5km/hまで低下している。
今夜の峠越えは難儀することが予想されるから、平地でグロス速度を上げておかないとまずい

14時2分,315km地点,秋田-山形県境の雄勝トンネルを通過


小雨の降る中、店舗前で弁当を食べる

15時29分,346km地点、新庄に到着
雄勝トンネルからのダウンヒルでスピードアップし、グロスは16.3km/hまで回復
この先は寒河江までコンビニや食事のできる店がほとんど無いので、ほか弁で弁当を買い、食べておくことにした。

このあたりから雨が降ってきた。

雨の中、最上川沿いに県道30号を南下する。
天気予報から二日目の午後は「曇り」と見込んでいたのだが…

県道36号、堀内橋
この橋を渡ってすぐに左折し、県道30号に入る。

県道30号にいくつかあるピークのうちのひとつ。


国道347号線を寒河江に向かう
結局、この日の午後はずっと雨だった。
絶景的な景色もなく、ただ淡々と走るだけ。
大雨でないだけマシか

走りながら、今夜の峠越えのことを考える。
おそらく雨の中のヒルクライムとダウンヒルになるだろう。
夏だからと思って、防寒具は持ってきていない。
道が細い上に、枝道も多くて迷いやすいようだ。
大丈夫だろうか。


19時42分,403km地点、寒河江に到着
ファミリーマートで晩飯&休憩
イートインコーナーが無いので、駐車場でカップ麺を食べる。
この時点でのグロスは15.8km/h


4. 寒河江→鶴岡 (二日目の夜)


ここから先は秋田に帰る「オリジナルルート」である。

寒河江を出発してすぐ、急に眠くなってきた。
国道112号線沿いのマックスバリューに入って、イートインコーナーの椅子にこしかけて目をつむる。
店内はエアコンが効きすぎていて寒いが、眠さに耐えられない。
40分ほど休憩をした後、出発。

21時59分,428km地点、旧道入り口に到着

国道112号線を20kmほど登ってきた。
自動車であれば、このまま直進して高規格道路の「月山道路」でトンネルをくぐって、鶴岡まではすぐである。
しかし、自転車は通れないので、右折し国道112号線の旧道に入り、27kmほどの距離を山越えしなければなりません。


雨に打たれながら、インナーローで淡々とヒルクライムをする。
標高920mの最高地点をグロス15km/h以上でクリアできれば、40時間以内での完走が見えてくるはずだ。

温泉街のある途中までは2車線で、道路灯もポツポツとあるのだが、温泉街を過ぎると1車線となり、真っ暗闇になった。

写真をとってみたが、キャットアイのLEDライトで道を照らしても、何も映っていなかった。一応、走行中は舗装路面は見えています。


暗闇の中を登り始めてから、およそ1時間後
それは突然やってきた。

ん??
なんか、明るくなって、看板が立っているぞ!

工事中
この先、通行止め

湯殿山方面へは通り抜けできません


125cc以下のバイク・自転車・歩行者は通行できません



マジか!

この瞬間、私の頭の中は真っ白になった。

ヒルクライムは苦手だってのに,
真っ暗闇の山道を,雨の中ズブ濡れになりながら、
標高740mまで登ったところで突然「通行止め」って,

どんな罰ゲームだよ!


通れないならせめて

旧道の入り口に看板くらい立てておいてくれよ (泣)





迂回ルートは無い。
私の一人ブルベは終わった。
ここまでなんとか頑張って走ってきたけれども、
残念ながらここでDNFだ

つーか,輪行袋持ってきてねーぞ
どーすんだよ,オイ!

(↑  自己責任(笑))


もう疲労困憊
とりあえず、寒河江まで戻ってどこかに泊まって、
明日、200km自走するか、レンタカーでも借りるかして
秋田に帰ることにしよう。

主催者にDNFの連絡をする。

ワタクシ:なんか、ルートが工事中で通行止めになっているので、ここで終わりますね。
主催者(もう一人の自分): そうですか、残念ですね。
ワタクシ:  この先、どうすればいいですかね?
主催者(もう一人の自分): とくにサポートはありませんので、自力で帰ってきてください。
ワタクシ:  ハイ、わかりました。
主催者(もう一人の自分): ただですね。念のために本当に通れないのかどうか、確かめてみてはどうですか? 
秋田-新潟528kmの時のようなことがあるかもしれないじゃないですか。
ワタクシ: それもそうですね。そうしてみます。

昨年、新潟まで走った時に、深夜に走行中、予定していたルートが現地で「全面通行止め」となっている状況に遭遇し、バリケードで塞がれていたのだが、実際には工事なんて何もしておらず、普通に通れてしまったことがあったのだ。


ここまで走ってきて、こんな形で終わってしまうのは残念だ。
どうやら橋梁工事らしいが、せめて「どんな風に通れなくなっているのか」を見ておこう。

自転車を担いでバリケードを超えた。
この先の道は、確かにところどころ道路工事をしていて、砂利道となっている区間が何ヶ所かにあった。
バリケードのあった場所から2kmほど登ったところで、再び看板が立っていた。ここが橋梁工事の現場らしい。

あれ?

歩行者通路(→)
バイク・自転車は(一台づつ)必ず降りて渡ってください。

の看板あり。
仮設の橋がかかっており、歩行者、自転車、バイクは通れるようになっていたのだ。

なんだよ!

通れるじゃねーかよ

通れるなら通れるって、看板出しといてくれよ (怒)


でも、通れて良かった〜

仮設の橋を写真に撮ってみたが、あまりよく見えないですね
なお、現在位置をストリートビューで見たのが下記です。この橋の補修工事をしていたようです。

ヨカッたー
これで通過できる。
大丈夫だ!


って思いますよね。
ワタクシもそう思ったんですね
このときは

ところが、標高920mのピーク地点を超えてから、しばらくダウンヒルをして、反対側の通行止めバリケードを超えたところで、新たなバリケードが…

今度は

この先自然災害のため

車両通行止め


の看板

実はこの地点から「月山道路」へのエスケープルートがあり、自動車ならそちらに行けるのですが、月山道路は自転車は走れません。

しかし、ここまでやってきて、来た道を戻るのも考えられない。
突破するしか無い。
ゲートを超えて中に入る。
このあたりから、雨が次第に強くなってきた。

道路上に木の枝や小石がゴロゴロ
ところどころ倒木、斜面の岩がくずれて道が塞がれているところがあった。
通行止めの理由はコレだろう。
でも、道が完全に埋まっている訳ではないので、自転車で通ることはできました。

「自然災害のため通行止め」区間の道路上に転がる巨岩


真っ暗闇の雨の中、目の前に突然、倒木や岩が現れ、数kmに渡って木の枝と石ころが散乱する道路状況
ダウンヒルどころじゃありません。
登りよりも遅い速度で、慎重に前方確認しハンドルを切りながら、ブレーキかけてゆっくりと下っていきます。

午前1時過ぎ
反対側の「通行止め」のバリケードを超え、下り終わって集落を通過したのち、ようやく国道112号に戻ることができた。

1時27分,457km地点、道の駅「月山」に到着&休憩

とりあえず、酷道から脱出できた。
かなり無茶したけど、パンクしなくてよかった〜
新品のGP5000のおかげか
顔を洗って放心状態になりながら、補給食を食べる。

2024年7月15日現在の国道112号線旧道の状況を下図に示す。
帰宅してから知ったのだが、「橋梁工事」は先月末6月28日からのことで、
「災害通行止め」は、つい先日7月10日の豪雨が原因らしい。


5. 鶴岡→秋田 (三日目の午前)


道の駅「月山」の時点でグロス14.6km/h
なんとかグロス15km/hにもっていくために、この先はペースアップ
140Wキープ、28km/hで走り続ける。

しかし鶴岡市内に入ったところで眠くなり、国道7号線沿いの24時間営業のマックスバリューの店舗前のベンチで横になった。
びしょ濡れだが、すぐに眠れた(笑)
ここで30分間の仮眠
再出発をするころには雨は止んでいた。

4時4分,500km地点、酒田を通過
ここでグロス14.8km/h
国道沿いの24時間営業の「すき家」に入って、しっかりと食事をしたいところだが、時間が惜しい
補給食のみで走り続ける

まだグロス15km/hを切っているものの、
このあたりで40時間クリアが少し見えてきた
普段、秋田-酒田間の100kmは4時間くらいで走っている。
いつも通りの走りができれば午前9時までには帰れるはずだ。

走っている間はグロス15km/hを超えるが、眠くなってきて自転車を降りて歩道で顔を伏せて5分ほど目を閉じているうちに15km/hを下回るような、ギリギリの状態が続く。

秋田まであと89km

Garminのグロス速度の表示を見ながら、必死に走る。
(ちなみに、Garmin Edgeにはデフォルトではグロス速度表示はありませんが、Garmin IQストアからアプリAvgSpdTotalをインストールすることで表示できます)

なぜかこのあたりで、Garminに

スパムを検出したので隔離しました (*ノω・*)テヘ♡

とかいう警告が表示された。

走行中になぜスパム??

こっちはグロス15km/hを越えるために必死に漕いでいる最中
ウザいので、すぐに消してしまったが、こんな感じ↓

走行中にスパムを警告するGarmin
(画面はイメージです)

Garminってときどき、頭イイんだか、バカなんだか、よくわからなくなるときがある。
やっぱり、このGarmin Edge 840は、どこか調子が悪いのだろうか?


由利本荘を過ぎたあたりで、グロスが安定して15.1km/hを超えるようになった。このあたりで40時間以内での走破を確信した。

国道7号線を日本海に沿って快走する。
天気は曇り
気温も高くなくて、走りやすくて助かった。


秋田市内、茨島交差点
やっとここまで帰ってきた。

7月15日(月) 9時38分,自宅に到着.
走行距離 608km
所要時間 39時間26分
走行時間 28時間4分
グロス平均速度 15.4km/h,ネット平均速度 21.6km/h

40時間にはなんとか間に合った。


6. まとめ


国道112号旧道の山越えは、完全に自分の調査不足。Google検索で工事関連の情報がヒットしないことと、ストリートビューの様子から普通に走れるだろうと判断したが、県のサイトで最新の道路情報を得ておくべきであった。

ボトルとツールケースを背負って走る件について。
確かにバイクに取り付けるよりも、背負った方が、加速も登坂も明らかに楽である。背負うと重さを感じるが10時間くらいで慣れた。でも、やはり肩と背中に負担はかかるのは確かで、それによる疲労の蓄積がペースに影響するはずで、結局どちらがよいのかはよく分からなかった。

今回一人ブルベ600kmを完走することができたが、僕にとっての最大の収穫は、阿仁前田でベテランブルベライダー氏に出会えたことだ。
自転車で無茶をできるのは、せいぜい50代まで
自分も60歳をすぎたら、フラットバーロードでポタリングでもすることになるんだろうな… なんて思っていた。
でも、
72歳でドロップハンドルをしっかり握って、まだまだ冒険ができるんだ!
と思うと、とても勇気付けられた。
そしてその後、1000kmに挑戦する何人ものブルベライダー達とすれ違った。
暗くて顔は見えなかったけれども、とても感動的な体験だった。
自分は72歳で1000kmを走れるかどうかは分からないけれども、いつまでも冒険をしてみたいと思っている。
やっぱり自転車は素晴らしい

そのことがわかったことが、今回の最大の収穫なのであった。

(終わり)


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