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味噌汁を多く飲む女性は乳がんになりにくい

肥満の人には肝臓がんが多いことが知られています。実験で肥大化させたマウスは肝臓の老化が早くなりました。そしてそのマウスに抗生物質を与えて悪玉菌を死滅させると肝臓がんの発生率が低下することもわかっています。従って人間でも同様のことが起こる可能性が高く、腸内環境の改善によって肝臓がんの低下につながることが期待されています。

乳がんも腸内細菌が関係すると考えられています。2004年に米ワシントン大学などの研究チームが次のような調査結果を報告しています。乳がんが見つかった2296名の女性と乳がんではない7953名の女性について抗生物質の使用頻度を調べたところ、「抗生物質の使用頻度が高い人ほど、乳がんによる死亡頻度も高い」ことがわかりました。

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研究チームによれば「腸内細菌による大腸内代謝」が理由ではないかと言うことです。つまり抗生物質を多用するとそれに耐性を持つ菌が優勢になり腸内細菌のバランスが崩れてしまうというのです。そしてそれが乳がんの発症に関わるのではないかとみられているのです。


さて、乳がんは欧米人に多くアジア人に少ないというデータからその食生活の違いに注目が集まっています。特にクローズアップされてきたのが大豆です。大豆に多く含まれる「イソフラボン」は「植物性ホルモン」といわれる物質です。女性ホルモンの「エストロゲン」は乳がんの発生を促してしまいますが、イソフラボンはその「エストロゲン」の働きを邪魔すると考えられています。つまり、大豆は乳がんを予防するのではないかと推測されるわけです!

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ある調査によると味噌汁を「1日3杯以上飲む女性」の乳がんリスクは「1日1杯未満の女性」と比べて約40%も減少することが分かりました。ことに閉経後の女性において味噌汁・豆腐・納豆などの大豆食品の摂取頻度からイソフラボンの摂取量を計算し、乳がんとの関連を調べたところ、イソフラボンをあまり摂らない人に比べ、たくさん摂る人の方が乳がんになりにくいことが分かりました。

さらに、大豆にはイソフラボン以外にも良質な植物性タンパク質や細胞の増殖や分化に関わるアミン類、骨の形成に欠かせないビタミンKも多く含まれています。大豆は総合的に健康に良い影響をもたらす、優れた食品であると言えるでしょう。

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本日のまとめ
①乳がんの原因の一つは腸内バランスが崩れること
②大豆は乳がんの発症を抑える働きがある
③味噌汁を適度に飲む人は乳がんになりにくい
④大豆食品は総合的に健康に良い

参考:辨野義己,腸を鍛えれば頭がよくなる,マキノ出版,2014