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JPOP人生ベスト50(26〜50位)

ポピュラー音楽をこよなく愛する俺の、22年の人生を支えてくれた最強のJPOP50曲を選出しました。偏りを防ぐため、同一アーティストからの選曲は1曲という厳しすぎるルールを設定しました。一曲一曲解説するとエグい長さになりそうなので、なるべく簡潔にいきます。


50.米津玄師「春雷」(2017)

これまでのJPOPの春感を継承しつつ、米津独特の把握の仕方も随所にみられて、そのバランス感が本当に絶妙。春雷というモチーフの刹那感と、それを引き立てるサウンドの軽妙さ。散ることに象徴される春の栄華と儚さを、恋愛的な心象に重ねて軽やかに、情緒的に表現していて美しい。これが代表曲じゃないことの、才能の余力も流石。

49.パスピエ「チャイナタウン」(2012)

中学の時にパスピエにハマって、特に受験期に死ぬほどリピってた曲。この「チャイナタウン」っていうイメージが、当時の無垢な野球少年の俺には「行ったことなどないはずなのに懐かしい、幻想都市」って感じで、眩しかった記憶。無力な箱入りボーイだった自分には、異季節、異都市につれてってくれる曲って、なんか手の届かないがゆえの眩しさに満ちてた。

48.CAT ATE HOTDOGS「Drops」(2019)

大学入った頃、偶然YouTubeのおすすめから知った曲。自分とほぼ同世代がやるロックで、こんなストレートでカッコいい曲あるんかと、まあ衝撃を受けた。か弱い女性目線みたいな男性ボーカルが増殖してた時期でもあったから、なんかカウンター感あってすっきりした記憶もある。まあ理屈よりも何よりも、ギターが気持ち良すぎる。

47. globe「Can't Stop fallin in Love」(1997)

日本の冬歌の、一つの到達点、最高峰。全盛期小室哲哉のさらなる覚醒と、儚さと力強さの同棲するKEIKOのハイトーン。ここで描かれる冬も、globeというユニットも、全盛期を迎えた日本も、その全てがいずれ失われてしまうという、様々な崩落の予兆をも孕んで聴こえる一作。JR SKISKIのCMもすごく良い。総じて名作。

46.sympathy「泣いちゃった」(2017)

2010年代くらいから、メンヘラという言葉が社会的に認知されたわけで、この曲はそういう社会背景の上で生まれた感じがある。もちろんすぐ「泣いちゃう」ことは社会的には、よくない、ともすればだるい、というか弱者のポーズみたいな所もあるんだけど、でも裏返せば、みんな与えられたHPの中で、必死に生きてるんだよなっていう、そういう切実さに不意に向き合わされたような気持ちになる。

45.フジファブリック「陽炎」(2004)

郊外のアナログな幼少期の、それも凄く翳った記憶がうまく抜けないまま大人になってしまったみたいな、質素な郷愁感覚と隠しきれない不穏さ。俺はこんなに暗い過去や記憶を持ってないけど、実はそれは単なる偶然で、この手の暗鬱に触れる可能性は誰にでもあったというか、そういう追想を余儀なくさせられる感じがある。本人は微塵も望んでないだろうけど、ボーカル志村の死が、遡及的にこの曲に一段と奇妙なリアリティを持たせてしまった感じはある。

44.いきものがかり「SAKURA」(2006)

大体音楽って30年くらいで1回再評価入るんだけど、逆に15年くらい前の曲が一番忘れられがちになる。その点いきものがかりは今まさに、みんなの記憶から空白になりやすい時期にいる。ただ改めて聴き返すとやっぱり良くて、シンプルな名曲が多い。この「シンプルなのに名曲」って、実は最も難しい状態だから、このスタンスで何年も成功したことは本当にすごい。01世代はまさに小中という自己形成初期をいきものがかりと生きてきた訳で、特にこの曲は色んな場面で流れてた記憶。

43.DREAMS COME TRUE「サンキュ.」(1995)

ドリカムは親世代の恋愛女王的な存在だけど、まあ今聴いても本当に恐ろしいクオリティだなと。90s漁ってた影響でもともと好きな曲は多いんだけど、特にこの「サンキュ.」は個人的にあまりにも好きな1曲。ありふれた、短い恋の終わりを歌ってるんだけど、別れ際ゆえの、あえて明るく振る舞う感じが絶妙に表現されてる。サウンドが無理にずっと明るいから、強がりの心象がこれ以上なく見透かされて良い。

42.Suchmos「STAY TUNE」(2016)

2010年代中盤以降、ネオシティポップ的なブームが起こる訳だけど、まあその新時代の原点であり、頂点。全ての元凶であり、到達点。「日本の音楽にとって重要な曲ランキング」だったら確実にもっと上位だったと思う。YONCEの着飾らない、ありのままなのにクールで洒落まくってるこの雰囲気、「頭だけいいやつもうGood Night」というキレキレの皮肉を放つ様。自分が慢心しそうになった時、必ずこのフレーズを思い出して、もはや凹んでる。

41.槇原敬之「冬がはじまるよ」(1991)

ドラマチックじゃない、平凡な生活の中に俺達は生きてて、でもそこで色んな喜怒哀楽を経験してるっていう、そういう「普通」の中から歌を紡ぎ、きらめきを見出してくれるのが彼。ありふれたことをありふれたまま、誰しもに響くように歌うのって本当に難しいことで、もはや流行りすぎて見失うけど、これはスタンダードでありながら唯一無二。好きな曲はたくさんあるけど、まあ雪国出身バイアスも込みで、この曲を選んだ。なんにせよサビのメロディが良すぎる、一級品。

40.KANA-BOON 「結晶星」(2014)

中学くらいまではずっと90sの曲ばっか聴いてた自分に、現代の曲の良さを教えてくれたのがKANA-BOON。特にこの結晶星は本当によく聴いた曲で、戦争と日常を対比するようなフレーズとか、まあありきたりといえばそうなんだけど、中学生の、等身大の葛藤を抱えてた自分には、すごく寄り添ってくれる感じがあった。大袈裟じゃなくこの曲に救われて学校行ってる時期があった。

39.奥田民生「イージュー★ライダー」(1996)

本当に奥田民生が心から好きで、なんというかこの脱力的だけどひたむきな感じというか、ふざけまくっていながら、本当はすごく実直で不器用な感じというか。そういう照れ隠し的な相反する振る舞いが、自分とどこか似てる気がして、不意に共感してしまう感じがある。この曲は民生らしい青春ソングとして、エバーグリーン的な、少なくとも俺ら世代くらいまでは褪せずに残っていく名曲だと思う。

38.藤井風「まつり」(2022)

現代日本にこんな奇跡的なピアノマンが現れたこと、それ自体が本当に異次元というか、あり得ない現実なんだよな。特に彼はあれだけ洋風というか、日本人染みてない要素を持っていながら、それでいて、極めて「日本情緒」を大切にしてくれるという。勿論好きな曲はたくさんあるけど、とりわけ古来から続く日本の感性を重んじようという、そんな彼の魂が感じられるこの曲は、なんというか日本人として遺伝子に刻まれたアイデンティティ、琴線を震わす力がある。

37.back number「光の街」(2016)

今や全日本の若者の恋愛を支えるbacknumberだけど、個人的には思春期的な逆張り意識がほどけてきた高校ぐらいから、やっと聴けるようになった。ただそんな中でも中学の頃からバチバチに魅せられてたのが、この「光の街」っていう曲。歌詞というよりは圧倒的にそのメロディ、あとこのタイトルが本当に綺麗だなと、当時から隠れて?めっちゃ聴いてた。後に彼らは恋愛だけじゃなくて季節観や人生観みたいなものでも国民的ヒットを出しまくるけど、なんかその萌芽というか、単なる恋愛ソング以上の文学性みたいなものが、この曲の時点でも凄くあるんだよな。

36.ラブリーサマーちゃん  「あなたは煙草 私はシャボン」(2016)

メンヘラという話は先述したけど、この「あなたは煙草」というモチーフ。2010年代中盤以降、特に女性目線で叶わない恋を描く時にこのモチーフが死ぬほど出現する訳だけど、この曲はそういう時代のテンプレートの形成に色濃く影響を与えたんだろうなと感じる。個人的にはかなりハマった曲で、とにかくワードセンスが抜群。こういう曲を、この時代の多くのシンガーソングライターが作りたかったんだろうなって、そういうお手本感がある。

35.B'z「いつかのメリークリスマス」(1992)

俺冬歌好きすぎる節はあるけど、これも外せない名曲。B'zの一番は何かと言われたら、個人的にはこれ一択。理由は圧倒的にメロディの強度。サビでここまでキャッチーかつ美しいメロディを放たれると、もう誰も勝てないよなっていう。しかもそれを「クリスマスソング」っていうただでさえ特別なモチーフにぶつけてくるという、天才が勝ちに来たらこうなるんだなって感じがして、ただただ感服。

34.L'Arc〜en〜Ciel「HONEY」(1998)

どう考えてもゾーン、まあhydeという存在自体がゾーンみたいなものだとしても、この曲はあまりにも全てが上手く行きすぎてる。ビジュアル、声、メロディセンス、歌詞、もう全てが極まってる時期というか、とにかく全盛期感が凄い。エレキの疾走感といい、異次元の色気といい、honeyというモチーフといい、この時期のhyde、ひいてはラルク以外では成立しえない、あらゆる条件のリンクを感じさせる最強作。

33.Mom「祝日」(2021)

生きにくさ、が多くのアーティストを創作に駆り立てる中で、とりわけMomからは、何に対してどう足掻いていいのかもわからないけど、それでも抵抗せずにはいられないというような、複雑化した葛藤を感じる。上手く言葉にできないことを、その曖昧さのまま吐き出さざるをえないような衝動、特にこの曲はメディア・社会の変化とか色んなことに晒されながらそれでも自我を保とうとする、そういう切実さが溢れてて、なんか理屈でなく胸に刺さる一曲。

32.SMAP「オリジナルスマイル」(1994)

そのビジュアルやパフォーマンスもさることながら、SMAPはそもそも楽曲が良すぎる。中でもこの曲は圧倒的に好きで、個人的にはこのサビのキャッチーさ、強度、メッセージ性はSMAPの他の曲含めても本当に随一だなと感じる。現代感覚からすれば懐かしく聴こえる曲だけど、このサビの強度は、今の水準で考えても本当に一級品。

31.米米CLUB「Shake Hip!」(1986)

中学時代、毎週末部活が終わるとゲオに行き、昔のアーティストのCDを借りまくるっていう、今ではオワコンたる習慣があって、その取り組みの中で発見し、一際衝撃を受けたのが米米だった。特にこの曲はふざけまくってるのに、死ぬほどカッコいいし踊れるっていう、ある意味ポップソングとしては一番理想的な強さを持っていて、野球少年の心を一瞬で奪っていった。ただ米米はバラードも凄くいいから、選曲はめっちゃ悩んだ。

30.Mega Shinnosuke「Cutie girl」(2020)

大学生になった2020年代にシティーポップリバイバルが起こって、80sテイストの懐かしい曲が一気に復活したわけだけど、メガシンはその手の流行のセンスを嗅ぎつけ、自演する能力がとにかく高い。この曲のモチーフはシティーポップから進んだ90sの渋谷系にあるけど、ちょうどオザケンにハマってた自分にとって、今の時代にこれをやれちゃうんだっていう衝撃と、憧れた世界観をいとも簡単に表現されたしまった悔しさみたいなものが共起して、良くも悪くも、鮮烈に記憶に残った一作。

29.Tempalay「大東京万博」(2020)

ネオシティポップ的なサウンドもありつつ、古来の日本の舞踊や妖怪的なモチーフも感じさせる彼らの、個人的には最高傑作にあたる一曲。イントロから「架空都市東京における万博」という奇妙でフィクショナルな世界観が出まくりで、本当に作品に引き込まれる。これだけの空想性を、空想で終わらせず、一つの作品として成立させてしまう表現力、たとえシーンのど真ん中で鳴り響かなくとも、俺だけは一生聴いていくと誓える一曲。

28.星野源「季節」(2014)

生活に密着し、優しくてくだらない日常を、力強くはなくとも確かに肯定してくれる、特に初期の星野源からはそういう空気を感じる。中でもこの曲は、個人的に超名作。競争社会的な日常で疲弊した時、何かに上手く馴染めなかった時、この曲は決して明示的でなくとも、そこにある「弱さ」に寄り添い、その回復を一緒に待機してくれる感じがある。

27.Negicco「ときめきのヘッドライナー」(2013)

ご当地アイドルのはずが、あまりにも曲が良すぎて全国化してしまったNegiccoの人気曲。これはもう完全に自分の好みでしかないけど、この疾走しながら架空の電車?的なイメージで駆け上っていく系の曲が本当に好きで、タイトルにある通り、このヘッドライナー的なモチーフが、もう理屈抜きに抜群に自分に刺さる。これまでのメンツの中でこの順位にいるのは割とえぐいことだと思うけど、それぐらいもう何年も、自分の状況とか関係なく愛聴し続けている一曲。

26.cero「夜去」(2015)

2010年代のネオシティポップを語る上で、絶対外せないcero。輝きを失った都会を、厭世的に、諦念的に歌い上げるその様は、今振り返れば先駆的で、同時に切実さに満ちて映る。名盤「Obscure Ride」の中でも自分はこの曲が特に好きで、曲の終盤、コーラスだけで夜の深まりを演出していくシーンは、あまりにもゾーン的というか、何回飛びそうになったか分からない。誇張なく、この曲によって俺は東京に駆り立てられた節はある。


以上26〜50位でした。後半に続きます。





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