見出し画像

自然界の民主主義と投票

動物たちは、集団決定を行う。

自然界では、投票用紙の代わりに、何が使われているのだろうか。いくつかの例で見てみる。

大前提
基本的に、彼ら彼女らの投票は、リーダーを選ぶようなものではない。住処や食事処の決定など、日常的な議題について、投票が行われる。

例)ゾウのリーダーは自動的に最高齢のメス


セイヨウミツバチ
女王蜂は生後数日の食べたものに基づいて成る

春の終わり頃、数が増えて巣が手狭になったセイヨウミツバチは、コロニーを2つに分ける。
新女王蜂と働き蜂の半数は、元の巣に残る。女王蜂と残りの働き蜂は、元の巣を去る。

数百匹のハチが、良好な物件を探す。
巣で集会を開く。ダンス(人間からはダンスに見えるもの)を踊る。そうやって、見つけた候補地を教えあうのだ。

日数が経つにつれ、意見はまとまり始める。
途中でダンスをやめるハチ。ダンスに磨きをかけるハチ。残るダンサーの意見が、採用される意見だ。

集合知により、複雑な決定が下されている。

これは、複数個体に仕事が分散されているからこそ、起こり得ることだ。働き蜂に、最終決定を下すような、リーダー的な存在はいない。

最良の巣作りは、分散プロセス と 個体の切磋琢磨のたまものだ。


トンキーンザル
群れの中で地位や階級の差あり

インドネシアに生息するトンキーンザル。主食は果物。広大な森には、果樹の多い所とそうでない所がある。

より食べ物の多い方向はどっちか。多数決で決める。
右へ少し行き、止まり、仲間をふり返るトンキーンザルA。左へ少し行き、止まり、仲間をふり返るトンキーンザルB。残りのメンバーは、自分が支持する方を追って、同じ動きをする。

全員は投票しない。
大多数の投票が終われば、未決定のトンキーンザルは、多勢の方に従う。
少数派は、多数決の決定に不快感を表わにしたりせず、逆方向にいる群れを追う。

多くの霊長類同様、トンキーンザルも、群れにリーダーをもつ。だが、このような決めごとは、みんなによる投票制だ。年齢・性別・地位が影響しない、シンプルな多数決だ。


アフリカスイギュウ

立ち上がり、足を伸ばす感じのポーズをとり、特定方向へ視線を向け、座る。複数のアフリカスイギュウが、1時間ほど、このようなしぐさを繰り返す。

すると、群れは移動をはじめる。

これが、アフリカスイギュウの、次の餌場への投票行動(多数決)らしい。

投票がほぼ50/50になってしまった場合、群れは、一日別行動をとる。別々の土地で草をはみ、再集合する。再投票が行われる。

投票権があるのは成獣のみ。

ちなみに。これは、あるバッファロー研究家が、2年間観察し続けて発見したことである。


民主主義とは、全く、人間特有のものではない。

私たちは、地球のいたるところで日々行われている「投票行動の恩恵」を受けて、生きている。

個体は頑張り、全体は協力する。

助けあい、慈しみあうこと。発展し複雑になったヒト社会では、こういうことの大切さを語ると、小馬鹿にされる時さえあるが。

好むと好まざるにかかわらず、これが世界の真実なのである。冷笑系や、逆張り大好き勢には申し訳ないが。地球上でそんなことをしているのは、人類の内さらにごく一部の、ひねくれ者だけなのだ。

選挙へ行っても無駄・投票しても意味がないーーこのようなことを言う人たちは、ハチやウシの前へ行き、同じことを 彼ら彼女らに “教えて” みてはどうだろうか。世界はこう返すだろう。「それってあなたの感想ですよねw?」