音楽でつながっていたお友達
N児、という合唱団に10年ほど入っていて、そこで仲良くなってきたお友達が居る。大人になり、よく会うわけでもないけど、思い入れがあって、優しくて、可愛い、大好きな子たち。
私たちは、難解過ぎる現代音楽から易しい曲、宗教的な曲まで、あらゆる譜面を一緒に読んで、合唱してきた。基本的な音楽の素養はあり、楽典からソルフェージュの訓練もしていて、暇さえあればずっと一緒に歌っていた。だから十分音楽の話をすることもできた。
休みの日に遊んでも、私たちは大体音楽のことで頭がいっぱいで、恋愛の話をしても大したことにならないメンバーばかりだった(私含めて異性にすごくモテるタイプの人たちは集まっていなかった)から、四六時中ずっと歌うか音楽の話をしていた。楽しかったなと思う。
それが久しぶりに会うと、本当に音楽の話にならない。
結婚の報告、子供の誕生、仕事の話、最近の報告として皆が出してくるのは本当にそういった話題になる(私からの報告は、課長になりました、しかなかった)。
でもつい面白い音楽の話をしてしまったときに、多分皆も好きな話だったはずなのに、皆の反応からして薄れちゃってて「もう興味がないんだ」ということが分かった。音楽はもういいかな、ってことなのだと思う。
皆で報告をしあって久しぶりに話せば、感慨深いものもあるのだけど、やっぱり音楽でつながる強度には敵わない。
人と人がつながるときに音楽が果たす役割って、かなり大きい。きっと、美術や、スポーツの人たちも、私の知らない場所で同じようなことを味わっているのかもしれない。
そう考えると、共通の何かでつながっている人たち、複数人が同じ方を向いてプレイすること、全てが本当にすごいことだったのだと実感できる。
編集部というのも実はすごい場所で、前に居た雑誌の編集部も、興味が近い人ばかりが集まるやっぱり楽しいユートピアだった。
でも変化する。私も、周りの人も、またどこかに行ってしまう。
大勢で合唱をすること自体はあまり好きじゃなかったけれど、誰かと「一緒にいた」思い出が今さら心の中で大きいものだったなと。
直接伝えられないけど、一緒に歌っていた友達皆に感謝を伝えたい。本当にありがとうございました。本当に。
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