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子に遺すは生きる術

「早寝早起き、つくる、たべる」母親が子どもに教えること。

今回は、そんなただの日常が愛おしくて、かわいくてたまらない、阿久根知昭監督の「はなちゃんのみそ汁」をご紹介します。

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・あらすじ

結婚前に乳がんと宣告される千恵(広末涼子)は子どもが産みにくい身体になると告げられる。夫と共に前向きにがんと闘い、結婚、妊娠、出産を経験する。しかし、数年後に再発してしまう。治療を進めるも、段々と全身に転移していく。そんな中、母として娘に伝えるのは、「つくって食べる」ことだった。

・家族がかわいい

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はなちゃんを含め、千恵さん、夫のしんちゃんの軽快な博多弁のやりとりがずっとみていたくなるような気持ちにさせてくれます。娘を愛おしそうに見つめる千恵さんの視線、一つひとつの小さな成長に大きくリアクションをとって喜ばせようとするしんちゃん。はなちゃんの子供らしいあどけない姿がとてもかわいいです。

・つくる、食べるがかわいい

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「食べることは、生きること。たくましく生きて」ママからはなへ

ご飯は玄米、お味噌汁におさかな、おやつは玄米スナック。ずっと健康で生きていってほしい。娘のはなちゃんの5歳の誕生日のプレゼントは、ピンクの包丁とエプロンだった。生きるには食べる。食べるには、つくる。その大切さを小さなその身体に沁み込ませるように、千恵はみそ汁の作り方を教える。自分がいなくなっても生きていけるように。一緒に料理をするシーンはみていて愛おしくなります。生活の中での思い出はずっと、その匂いと味と共に記憶され、光景がよみがえるでしょう。

食べるためには、丁寧につくるのが不可欠なのだと伝える場面では、食べることを通して、人生において積み上げていく日常の過程がいかに大切であるか伝えていると感じました。

はなちゃんのみそ汁を飲むシーンが毎回とてもかわいいです。

・のこすがかわいい

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再発のリスクが高まると知りながら、子どもを産む。自分がいなくなっても生きていけるように料理を教える。子供の成長を写真に記録する。家族の絵を描く。生きている証を写真に撮る、記憶にのこす。

生きているをのこす行動がたくさん作品のなかには出てきます。その小さな日常をのこす姿に胸がいっぱいになります。

・さいごに

♡ 料理して食べるがとにかくかわいい!

日常を積み上げるのは難しくて面倒くさくて、だけどそんな当たり前があるのは最高に幸せなことなのだと思わせてくれる映画です。ストーリーは実話を基につくられているので、どうなっていくのか読めてしまいますが、だからこそ、みていて家族団らんの様子や料理をするシーンなどの家族のやりとりが美しく感じられます。観終わった後になんだか心にジーンと良かったな、と思える映画です。限られた時間の中でどう過ごすのが幸せか、出来ることを精一杯する千恵の姿にも感じるものはたくさんあるはずです。

何より、料理するはなちゃんとってもかわいいです。


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