詩「 サクリファイス 」
そうであるかのようにふるまうから
そうなってしまう
本当はそうではないのに
所有物不明の部品がちらばっている
埃にまみれて
あたかも最初からそこにあったように無造作なオブジェ
からみついてきて面倒だった
後始末するものが不在のヴィジョン
ゆきあたりばったりの卵の中身
それは真実
逃れられない朝
何事もなく過ぎ去る夜
天秤にかけたらどちらが重いのだろう
そうであるかのようにふるまうから
そうなってしまう
本当はそうではないのに
固まらない固形物
みつめていた終わりのない語り
身の振りかたが絶妙
追いつけないことをわかっていて
追いかけるのが運命
言いえて妙
決めつけたらふさがれた出口
お先が真っ暗
蝋燭の炎は蛍のようだ
忘れてしまった思い出せないこと
薬味の効いた毎日の一滴の中
向こう側がみえていると感じたのに
目隠しをされて異国につれていかれた
そうであるかのようにふるまうからそうなってしまう
本当はそうでないのに
現実と非現実の間をころがして弄べば
全身全霊の人々が涙を流すから
少しでもふりかざしていた
動力の反対にむかってふりつけていた
踊らされるダンス自らの手足で一度でいいから
ポケットをさぐってみたい
そんな日常が最高で絶頂といわれるものの仲間であろう
そうであるかのように
ふるまうから
そうなってしまう
本当はそうでないのに
フィルムをバラバラにしてまた繋ぎあわせて新たなるストーリー
どうにでもなる
ハンドルはあてにならないらしい
ふかしすぎた止まらない
衝突寸前の一瞬から逃亡してどこへ行くのだろう
体と頭が隔離されて
飾ってあるけどそれに気づけない
否定ばかりしていたらそれがいつしか工程になった
斜め上からばっかり見ていたらいつしか目線がまっすぐになった
不思議なことは常識
異常は正常
常を持ち歩いて財布の中をのぞきこんだら
手足をばたつかせた あなたが見える
そうであるようにふるまうから
そうなってしまう
本当はそうでないのに
すべっているのに進まない
その場から一歩も動いていない
目の前にすぐ目の前にゲートがあって
門番は居眠りしていて 太ももが痛む
今日は、まさしくヒップホップとシャンソンのミクスチャー
極悪な語りが、渋くてかっこいい
セルジュゲーンズブール、晩年の一曲
「you are under arrest」