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すぐに忘れる物語

君にいたのはたった数ヶ月、
でもまるでそれ永遠のようで。


なんて、そんな言葉では表せられない。
語られない。

きっと君は僕よりも大切な何かと出会って、
僕もすぐ君より大切な人に出会って、
その人と死が2人を別つまでそばにいる。

君との出会いは僕のかてになる。
いや、かてとするんだ。









そうやって言っていた君が結婚した。
あの薄っぺらいポエムはなんだったんだろう。

私は大きなため息を一つついて、
大衆珈琲チェーン店のクソ甘ったるいフラペチーノを勢いよく吸った。

君の物語に私はどれだけのページが割かれるのだろう。
もしかしたら一行だけかもしれない。
君の走馬灯に私は出てこないかもしれない。

私との道が別れた時にすら、君はスマホを弄る手を止めなかったのに。
「また」なんて言葉が叶う日もなかったのに。
君から送られてきたポエムのスクリーンショットすら消せない自分に呆れてしまう。

1年も経ったのに。
2年も経ったのに。
3年 も 経ったのに。
4年 も 経ったのに。

もしもで全てが埋め尽くされる。



きのこが苦手だったとか。
足のサイズが26センチだとか。
骨ばった手が好きだったとか。
汗かきだから常に鞄にタオルを入れていたとか。

どうでもいい記憶。消してしまいたいよ。




5年越しに捧ぐおめでとう。

すぐに忘れる貴方と私の物語。

(絶対に私の走馬灯には出てこないでね。)

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