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【後編】ポストコロナ時代のインパクト投資 ~コロナショックでインパクト投資は加速するか~


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SIIF 常務理事 工藤 七子

コロナ危機に際して、インパクト投資家としてどうふるまうべきか。

そのアクションが問われています。PRIはESG投資家が取るべき 7つのアクションを掲げ、この危機を乗り切る持続可能な企業へ投資をする必要があると宣言を出しました。

今回のコロナショックが大規模な災害などと圧倒的に違うのは、世界の70億人が全員当事者という点です。これは、第二次世界大戦以降初めてではないかと言われています。世界中が当事者であり、被害者であることは、世界中で危機感が共有でき、すべての人の世界観に影響を及ぼすということです。

個人的には、希望的観測も含めて、コロナショックを受けてインパクト投資はさらに加速するのではないかと考えています。


Financial Timesの「モラル・マネー」は、今後のESG投資の中心にコロナ対策が組み込まれ、ESG投資の流れは一層進むと予測しています。特にESGの 3つの要素のなかで「S=社会」が最も注目されるようになると指摘します。

ニューノーマルといわれる世界において、社会的インパクトを追求する企業の方が、中長期的に見て「イノベーションに対して投資をしている」「より選ばれる」という仮説は、今後検証されていくことになるでしょう。

また、産業構造が変化していく過程においては、イノベーションやインパクトを生み出す多くのチャンスがあります。リモートワークや「非接触」というキーワードのもとに、無数のビジネスが生まれるでしょう。特に小売業や医療・介護の分野で、「非接触」でサービスを提供するためにはテクノロジーやイノベーションが求められます。インパクト投資家が新しいイノベーションに対して先鞭をつけて投資していく役割はリニューアルのフェーズに向けて大きくなってくると思います。

GIINのCEOアミット・ボウリ氏は「このパンデミックは、私たちの世界のニーズをより差し迫ったものにするだけであり、インパクト投資コミュニティの活動に対する世界のニーズをより明確にするだけです」と述べています。

すでに世の中は変貌しています。新たな社会課題を解決するために、何らかのソリューションを見つけていかなくてはいけないというプレッシャーが全世界にかかっている。ニューノーマルといわれる世界で、新しいソーシャルイノベーションに投資をするというニーズが高まる――そういう文脈でもインパクト投資の役割はより重要になっていくでしょう。

 コロナショックで先鋭化する社会課題は何か。一方で新たな課題に対応する為のイノベーションの源泉やビジネスの機会はどこにあるのか。そして、新たな社会資源の循環を目指すSIIFに求められる役割は何か。今後はこういった問いと向き合いながら私たちの事業自体の「Renewal」を行っていく必要があると考えています。

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