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2021年 年始の挨拶

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社会変革推進財団 理事長 大野修一

皆様、明けましておめでとうございます。と言っても、年末からお正月にかけて、日本各地でコロナ禍は一層拡大する動きを見せ、政府が首都圏に緊急事態宣言を再び発令しようという中で新年を迎えた訳で、「おめでとうどころではない」と言う声も聞こえて来そうです。

確かに、2020年は、新型コロナウィルスの出現により終始あらゆる社会活動が縮小や中止を迫られる未曾有の一年でした。日本だけではなく、世界中で、政治、経済、教育、文化など社会のあらゆる面で様々な問題が明らかになりました。マスメディアも、それらを繰り返し取り上げたので、人々の気持ちも萎えて気分は暗くなり、史上最悪ムードの中で年の瀬を迎えた人も多かったかも知れません。

しかし、暗い話ばかりだったかと言うとそうではないと私は考えています。様々な問題点が見えて来たと同時に、一方で、それらの課題を乗り越えるための様々な試みも始まった年でもありました。中には、既に一定の成功を収めたケースも見られるなど、将来への明るい希望とも言える動きも見えて来たと言えるのではないでしょうか。

人類の歴史を振り返ってみれば、厄災が社会変革を生み出して来た事例に事欠かきません。大きな危機は、必ず革新的な変化を生み出し、そのお陰で人類は難局を乗り越えて来た史実がここにあります。つまり、コロナ禍という前代未聞の事態に直面している今、我々はまさに歴史的な転換点にいるということが言えるだろうと思います。「これから益々創造的な変化が次々と生まれるに違いない。」そのように考えると、この先、何が見られるのか本当に楽しみでワクワクしてくるのは私だけでしょうか。

我々の組織、社会変革推進財団は一昨年の10月に、社会的投資推進財団と社会変革推進機構と言う、いずれも発足して一、二年余りという若い二つの組織が統合して生まれました。新組織になってたかだか半年後にこのコロナ禍の世界に直面することとなった訳です。

コロナが生み出した様々な問題は、我々が自ら実施する、あるいは実現を支援する多くの事業に深刻な影響を与え、縮小や延期を迫られたり、中には事業の中止を余儀なくされたものもありました。しかし、結果的には、オンラインでの会議やバーチャルな会合など情報通信システムなども駆使することによって、ほぼ当初の計画通りに事業を執行出来る見通しとなっています。

この一年ほどの期間における具体的な成果を述べると、インパクト投資やソーシャルインパクトボンド、あるいは休眠預金の活用や社会的起業家支援などの分野で数多くの成功事例を挙げることが出来ました。SIIFは、日本における革新的アプローチによる社会課題解決の中心的組織として、自他ともに認める存在になりつつある、と言って過言ではないであろうと自負しています。

ただ、事業数、予算など計数面以上に重要な成果として注目すべきは、この一年足らずの困難な時間に経験した水面下での変化ではなかったろうかと思いを巡らせてみます。コロナ禍が生み出した様々な問題を乗り越える過程で、私たちは意識的に、あるいは無意識のうちに、創造的な学びを獲得して来ているように思えるのです。つまり、我々当財団のスタッフのみならず、この一年余りの期間に行動を共にして来た事業パートナーたち、即ち、社会変革を推進しようとするイノベーター達もが、今回のコロナ禍から多くのことを学んだと言うことであり、社会変革のための戦略目標や解決に向けての手法がよりクリアになり一層創造的な視点が得られるようになったのではないか。後は、それを具現化し、我々が目指そうとしている社会課題の解決に繋げて行けば良い。
そのように考えると、今回のコロナ禍は我々にとって単なる厄災ではなく、より良い社会を生み出すためのBlessing in disguise であると言えます。

従って、2021年は、良い年になるだろうし、しなくてはいけない。

これからが楽しみです。

明けましておめでとうございます。



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