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映画雑記:僕はジュラシックパークⅢとスピノサウルスが好き

 先日、ジュラシック・ワールド3の予告編が公開された。僕はこのシリーズが子供の頃から好きで、とても楽しみにしていたのだが、予告編を見ると、まあ今までのシリーズのキャストが勢ぞろいしているではないか。人間も恐竜も問わず。
 新三部作の完結編ということもあり、総決算をする気なのだろうなあという気概がふんだんに感じられた。邪推をすれば、SWの方でゴタゴタの末に見限られてしまったコリン・トレボロウの復讐という感じもするのだが、真意は分からない。まあともかく、そういった意味でも、とても楽しみではある。

 さっきも記したが、僕はこのシリーズがとても好きだ。パークの123は子供の頃の原体験に近いし、恐竜といえばこのシリーズという概念が、脳髄に刻み込まれている。新シリーズのワールド12も、それぞれ言いたいところはあるが、概ね満足している人間である。
 ワールド12の頃はもう既に要らない知恵を付けていたので、純粋に目を耀かせていた少年時代の頃のように見れないということもある。これはまあ、しょうがないことだと思うのだが。

 それで、シリーズの中でどれが一番好き?という話になるのだが、僕はジュラシックパークⅢが一番好きなのだ。

 要らない知恵を付けている人たちからしたら、「はあ?あれが一番なの?」と言われてしまうかもしれない。しかし、それでも、僕はジュラシックパークⅢが一番好きである。
 一応補足しておくが、僕はこのシリーズにハズレは無いと思っているし、どれもめちゃくちゃ好きなのだが、その中でも頭一つ抜け出ているのは、世間では駄作扱いされていることが多いⅢなのだ。

 理由として、子供の頃にテレビで昼夜問わずしょっちゅう放映されていたので、一番慣れ親しんだから、というのが大きいのだが、単純に娯楽映画として、恐竜映画として、Ⅲは12に引けを取らないくらい、とても面白いのだ。
 当時、僕が好きだった、子供だけでサバイバルして生き残っていたとか、そういう要素も手伝っているのだろうが、それを抜きにしたとしても、場面のテンポが良く、画面に飽きが来ないのである。

 初っ端から、飛行機襲撃からの墜落、さらに襲撃、そして人間そっちのけの恐竜バトル、ヴェロキラプトルの襲撃、プテラノドンの鳥かごサバイバル、川での襲撃によるサバイバル……。どれも見ていて楽しいし、何より、時折挟まれるユーモアと悪趣味が効いているのだ。
 この辺が前二作と比べて悪く言われる要素なのかもしれない。だが、そりゃあもちろんスピルバーグは凄いことをやってたと思うけど、ジョー・ジョンストンだって負けず劣らずのことをちゃんとやっているのだ。飛行機離陸直前のガブッ!ギャー!とか、ヴェロキラプトルのタイミング外し首折りとか、ここは鳥かごだ……とか、ジョー・ジョンストンはスピルバーグがたまに出す少年的な悪趣味さだって、きちんと継承していたのだから。
 物語だって、バラバラ家族が愛を取り戻したり、悪さをした人間の贖罪だったりと、ベタっちゃベタだが、きっちり娯楽をやっている。その作劇上、カービー夫婦にムカつくこともあるにはあるが……。

 ともかく、ジュラシックパークⅢは面白い映画なのだが、新シリーズであるワールドの12、そして公開された3の予告を見て、僕はこう思った。

 僕の好きなスピノサウルスを無下に扱いやがって!

 納得がいかない。そりゃⅢはシリーズの中じゃ評判が悪いし、駄作扱いされてもしょうがないと思うことこそあるが、それにしたってⅢの看板をしょったスピノサウルスを無下に扱うことはないだろ!
 僕はⅢが好きなのと同様に、スピノサウルスのことがとても好きなのだ。何せ、ティラノよりでかくて強いんだから!

 映画での活躍も凄かった。初っ端から咆哮で登場人物たちを怯えさせ、瞬く間に飛行機を襲撃、墜落させ、その後も執拗に襲い掛かって飛行機をバラバラにし、出くわしたティラノには真っ向から勝負を挑んで土を付ける。一旦退場するが、その後も携帯の着信音と共に現れ、水面からトレードマークの背びれをジョーズのように付き出し、ホームグラウンドともいうべき水辺で執拗に襲撃してくる……。
 そう、Ⅲのスピノサウルスは強い上に、執拗な悪役として描写されているのだ。新シリーズのワールドでも、遺伝子操作によって狡賢く執拗になった恐竜が悪役を張っているが、その以前から、スピノサウルスは執拗な悪役をやっているのだ。天然な分、ある意味恐ろしいのはⅢのスピノサウルスの方ではないのだろうか。(実はこのスピノサウルスこそインドミナスレックスより先に製造されたハイブリッド恐竜0号という説もファンの間であるが)

 だから(これは僕の世代(1995生まれ)の問題なのかもしれないが)パークの12が映画界に与えた衝撃を知らずにⅢを見た僕にとって、スピノサウルスはティラノより強くてカッコいい恐竜なのだ。ティラノより大きく、ワニのようにシャープな顔つきをして、ピンと背びれを立てた佇まいが、当時少年だった僕に、ティラノよりかっこいい!と思わせたのである。同級生の友達と一緒にスピノサウルスの話題で盛り上がったし、図鑑を見て目を耀かせたり、絵を描いたりしたものだった。

 だから、要らない知恵を付けた時、Ⅲが駄作扱いされているのを知って衝撃を受けたし、何よりスピノサウルスがぼろくそに言われているのが悲しかった。どうやら、僕より上の世代、パークの12を劇場で観ていたような人たちにとっては、スピノサウルスは「俺たちのティラノをよくも!」な感じらしいのだ。(Ⅲでスピノにやられたティラノはパーク12の個体とは違う若い別の個体という設定だが)それを示すかのように、ワールドの1では、ティラノが画面に登場する時に、スピノサウルスの骨格標本を蹴散らして見栄を切るのである。
 Twitterでも、そう言った意見をたまに目にする。スピノサウルスなんか……みたいな意見を。

 でも、僕からしたら、そりゃあなた方の言い分も分かるが、だからってそこまで言わなくたって、無下に扱わなくたっていいだろ!という感じなのだ。スピノサウルスだって、ちゃんとⅢの看板をしょって大立ち回りしたカッコいい恐竜だろ!

 この記事を書く時に調べてみたのだが、ワールドの2では、スピノサウルスが火山の噴火に巻き込まれて無様に死ぬシーンを撮ることが検討されていたらしい。さすがに可哀そうだということで没になったらしいが、まったくもってその通りだと思う。いくらなんでもあんまりな扱いだ。

 とにかく、ワールドの12では、スピノサウルスはロクな目に遭っていない。そして、公開された3の予告編でも、スピノサウルスの姿は見当たらない。
 これはⅢが好きな者からの希望だが、最後くらいスピノサウルスにも見せ場を与えてやってほしいのだ。ディロフォサウルスまで拾うんなら、スピノサウルスだって拾ってほしい。なんなら、ティラノと共闘するくらいやってほしい。少年の頃の僕が憧れた、カッコいい恐竜なのだから……。

 ちなみに、ネットフリックスのアニメシリーズ、ジュラシックワールド/サバイバルキャンプでは、Ⅲの個体が再登場しているらしいが、やっぱり実写のシリーズで観たいなあというのが本音だ。
 あと、近年では新たに尻尾の化石が発掘されたことにより、復元図が様変わりしたのだという。二足歩行のティラノタイプではなく、四つ足で大地を歩き回る巨大なワニ、手足が発達していて背びれがあるモササウルスのような、水中メインの身体つきではなかったのだろうかと、推測されているらしい。



 それならそれで、ワールドの新キャラ、モササウルスと激闘を繰り広げたっていい。とにかく、僕はカッコいいスピノサウルスが大暴れしているのが見たい。僕のスピノサウルスが……。



 

 

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