彼が初めて選んでくれたプレゼントと初めての

(りん)
ホテルに戻って早々、しーちゃんが眠いって言い出した。まだ20時くらいなのに。「マジで寝るなよ!」ってずっと監視してた。しーちゃんも「今日は寝ない!」って必死。でも、何故だか執拗に私をお風呂に入れたがっていた。早く寝せたいのか何なのか分からないけれど、ずっと「お風呂入れば?」って言って来て、「何なんだろう?」って。お風呂入ってる間にしーちゃんが寝ちゃいそうだったのもあって(というかそれを口実にして)、二人でお風呂入った。

正直、今日は絶対に「する」つもりでいた 笑
最近しーちゃんが可愛くて仕方なくて、単純に欲求が高まってた。私から誘わないと、しーちゃんはしてくれないので、とりあえずまずはしーちゃんを寝せないこと。もう一つ気になってたのは、しーちゃんの体調不良。流石に無理はさせたくないから、「大丈夫?」って逐一聞いてた。しーちゃん「そんなに心配せんでいいよ?」「優しいね。」って言ってくれたけど、正直なところ、「お前の心配じゃない、お前の体が心配なんだ。」っていう最悪な彼女。お風呂あがって、「よし、あとはもうやるぞ!」っていう心ここにあらず状態。けど、しーちゃん一人にすると寝ちゃうので、常に私の見える範囲にいてもらった。

髪をとりあえず乾かそうと思って、しーちゃん連れて洗面所に行ったら、しーちゃんが「あっ、ちょっと待って!」って引き留めてきた。荷物をゴソゴソし出して何か取り出した。

「あのね、プレゼント、本当に分からんくて、マジでセンスないかもなんやけど…」

私、この時すっっっごい正直に
「えっ!?“モノ”もあんの?」
って言ってしまった。本当失礼よ、あなた。でも、誕生日に4日間のプランが誕生日プレゼントだと思ってたから。すごく驚いた。
しーちゃんもすごい失礼なこと言われてるのに
「あるよー」ってニッコニコなの、何?可愛すぎか。

それでしーちゃんにプレゼント渡された。包装がすごく汚いのだけ気になってたら、
「プレゼントの包装してもらったんやけど、安っぽかったから、さらに上から自分でしたんやけど、汚くてごめん。」
って。何それ。汚いとか言って本当ごめん。上から頑張って包装してたの想像するだけで可愛い!推せる!

開けたら入ってたのは、すごくお高そうなドライヤーだった。「全然センス悪くない、というか王道で来たー」って思った(失礼が過ぎる)。だって、「センスないから。」ってずっと言ってたから、ハードルが“上がり”まくってた。

半年前くらいから、ほぼ毎日のようにしーちゃんが髪を乾かすの手伝ってくれていて、髪の毛めっちゃ褒めてくれたりもして、それだけで嬉しかったし、毎日の中でかなりの癒しの時間だったから、そこの部分を切り取ってプレゼントをくれたのは、すっっっっっっごく嬉しかった。

その後、早速そのドライヤーで髪を乾かしてもらった。そっか、早くお風呂に入って欲しかったの、このためなのか、って気づきつつ、しーちゃんのこの数週間のプレゼント選びの話に。

誕生日4日間にしようって思ったのは最近らしい。どうせ祝うなら、休日の時間ある時に良い環境でって思ったとのこと。ドライヤーは一週間前くらいに決めたとのこと。私、普段からアクセサリとか服とかは自分が好きなものしか付けない着ない、って言ってるせいで、プレゼントとして選べなかった、って。そうか、私のプレゼント選ぶのめちゃくちゃムズイんだ、ってこの時気づいた。私が拘り強いの知りに知ってるせいで、逆にムズイんだな、って。本当難題ふっかけてごめんね。

で、本当に本当に本当に失礼失礼失礼なんだけど、「高かった?」って聞いてしまった。喋ってる時は全く失礼さに気づいてないけど、この日のことメモ書きしてるまさに今、こいつすっごい失礼なやつだなって自己嫌悪に陥ってる。後で、直接本人に謝ろうと思う。

で、割としっかり高かった。でも「りんちゃんがね、綺麗になったら、全部俺に返ってくるから実質プラスやね。」ってニコニコしながら言うもんだから、一周回って引っ叩いてやりたいくらいキュンキュンしてしまった。分かったよ、私の25歳の抱負は「本気で綺麗になる」にするよ。



髪乾かし終える頃には、何か「そういうこと」も言い出し辛くなってた。あまりにも純粋で無垢な気持ちで祝ってもらっちゃったから。もちろん、しーちゃんは誕生日プレゼントを渡し終えて満足して、今にも寝そう。

しーちゃん、経験が無さすぎて、未だに自分からは誘って来ない。「持って行き方が分からない」って言ってた。私が、「一人の方が気が楽ならそれでいいよ」って言ってるのもあるからか、本当に私から言わないとそういうことにはならない。「本当は毎日でもしたい。」ってぶっちゃけてくれたこともあるけど、それ以上に誘うのが恥ずかしいらしい。「好き」「可愛い」とかは息を吐くように言えるのに。

しーちゃんは、そういう行為自体を彼女とするのが穢らわしいって思ってる感じがある、お前は箱入り娘か。私に対してそういう欲を持ってしまうのが嫌らしい。一人ですることも申し訳ないらしくて、前に私が彼のそういう履歴を見ちゃった時(共用のPCでFAN◯Aにログインしちゃダメですよ)も、私がふざけてノリでタイトル読み上げる刑をしてたら、本人は恥ずかしがるとかじゃなくて、すごい申し訳なさそうにしてた。私はちょっといじってあげようと思っただけだったのに、すごく深刻に落ち込むもんだから、ごめんごめん別にいいんだよ、って。ただ、ちょっとこの女優さん多いね?ってくらいで 笑

こればっかりは育って来た環境とか経験が違うから、デリケートな問題だってのは分かってる。少しずつでいいからしーちゃんがもう少しオープンになってくれればいいな、って気持ち。それに、私から誘えば平日でも無い限り断られないし(平日にも関わらず誘ってることをカミングアウトしてしまってることに気づいた)、別にレスでもないし。


まぁ、そういう背景もあって、しーちゃんがすごく純粋な気持ちでプレゼントをくれた後には、さすがに誘えなかった。私もプレゼントが単純に嬉しすぎて満足したってのもあって、「ま、いっか。」って気持ちに落ち着いた。

寝る準備済ませて、ベッドに吸い込まれた。何でホテルのベッドってこんなに気持ちいいんだろう。何というか、あそこまで綺麗にしてもらってるベッドを好きに使えてしまう背徳感みたいなのもあると思う。真っ白なものを自分の存在で汚してる感覚。ちょっと変な感覚かと思ったけど、しーちゃんも共感してくれた。こういう変なところ似たもの同士だよね。

寝る前にもう一度、プレゼントのことお礼言って、「おやすみ」って言って目を瞑った。まだあと2日あるんだよな〜、とか余計なことも考えつつ、既に満足過ぎる誕生日と、これからちゃんとお返しをしていこうって決意を新たにした。




「ねぇ、りんちゃん」

まどろみかけるくらい時間が経った頃に、しーちゃんに声をかけられた。目を開けたら何か俯いて言い辛そうにしてた。「何だ!?またメンヘラ発動か!?告白か!?お気持ち表明なのか!?」って、次の言葉を待ってた。

「もう寝ると?」

「え、まだ何かあると?」

「あ、いや、今日はもう無いんやけど。」

って煮え切らない会話。何か伝えたいことがあるのは分かったので、聞いてあげようと思った。しーちゃんが抱えてることは一緒に抱えてあげたいし、それで楽になるならって。

「すごく言い辛いんやけど・・・」

ってすごく深刻そうで辛そうな顔をされた。何か嫌な予感だけがして、やめてくれやめてくれって気持ちだった。


「・・・今日ね、したいんよ。」

・・・
私の心配が、明後日いや明明後日の方向へ飛んでった。しーちゃんからその言葉が出てくると思ってなくて、一瞬何言われたかわからなくて。でも、俯いて耳まで真っ赤になってるしーちゃんを見て、息が出来ないくらいときめいてしまった。

「あ、別にそのためにプレゼントしたわけやないけんね!それとこれは別!」

って必死に付け加えたところも可愛かった。気にしすぎなのよ。分かってる分かってる。ただしたくなっただけだよね。でも、ごめんね。私ね、すっっっっごく性格悪いの。初めて自分から誘ってくれたのに、こんな返しされたら、トラウマになって、もう二度と誘ってくれなくなっちゃうかもしれないけど、聞きたいから聞くね?

「え〜〜〜?何がしたいと〜?」

それだけは勘弁して・・・って表情のしーちゃんを見て満足したと同時に、懺悔の気持ちでいっぱいになった。

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