オタクとオタクが付き合うということ

僕と彼女の共通点は十年来のオタクであるということ。
そしてオタクのせいで失恋を経験していること。

僕は中学生の頃に、一度だけ彼女がいたことがあるのですが、
ちょうどその時期に、アニメや特撮、ゲームのオタクに目覚めました。
2000年代前半、まだオタクというのは一般に受け入れられておらず、
当時の彼女は、オタクに嫌悪感を示し、別れを切り出されました。

一方で彼女はアイドルオタク。小学生の頃に流行したAKB48にハマり、そこから乃木坂46のガチオタクとなり、齋藤飛鳥さん推しとして10年近くオタクをやっています。
高校生の時に付き合っていた彼氏に「自分よりオタ活を優先するのは無理」と言われ別れられた経験持ち。デートの予定よりイベントを優先していたらしい。

そういう辛い思いをしている二人なので、お互いにお互いのオタク趣味を尊重し合っているんです。


そもそも僕たちの馴れ初めもオタク趣味きっかけ。
僕が友人とdiscordでボイスチャットしながら麻雀をやる時に、数合わせで呼ばれたのが彼女でした。

「今日、推しの誕生日なんだよね~」

ってめちゃくちゃテンション高かったのを覚えています。
(ちなみに、一年後の推しの誕生日である8月10日に告白しました。)


彼女曰く初対面の印象は、「すごく聞き上手で、私の乃木坂に関する話をめちゃくちゃ興味持って聞いてくれた」とのこと。
(人のオタク話を聞くのは好きなので、僕としては特別なことをした気はないのですが、彼女の周りにはあまりそういう風に前のめりに話を聞いてくれる人がいなかったらしい。)

その麻雀をしながらの会話だけで、彼女は僕のことが気になってくれたらしく、数日後に「ゲームオタク視点で、私みたいなゲームあまりしない人間におすすめのゲームありませんか?」というDMをもらったこときっかけで、付き合いが始まりました。

こういうご時勢なので、ボイスチャットをしながらだらだらゲームをやるだけ、裏を返せば話すしかないんですよね。
二人とも長時間ゲームをやることを苦痛に感じず、おしゃべりが大好きなので、その分喋る喋る
趣味趣向も近かったおかげで、会って数ヶ月で十年来の友人くらい仲良くなれました。


単純に彼女が自分の方のオタク趣味「ゲーム」に歩み寄って来てくれたのも嬉しかったのですが、
会話の端々から伝わってくる彼女の推し事に対する姿勢が素敵というのもあり、今度はこちらも彼女の乃木坂沼に足を踏み入れることに。

スパルタだった。

若い子の顔は全部同じに見えるおじいちゃん状態の僕に、メンバーを覚えさせるための彼女のスパルタ特訓。
おかげで、去年夏の10周年ライブの頃には、ほぼ全員の顔と名前が一致するまでに。
大園桃子ちゃんの卒業ライブでは、たった3ヶ月ほどのオタク歴なのに、彼女よりガン泣きしてしまい、大爆笑されました。


お互いがお互いの趣味に歩み寄り、想像以上にドハマりしたことが、僕たちが付き合うようになった大きな要因なのは間違いありません。
まさか、自分が今更アイドルにハマるなんて思わなかったし、彼女も有名な一人用ゲームくらいしかやったこと無かったはずなのにソシャゲやMMOに驚異的な順応をしました。

オタ活はその人を表わす鏡、自分と同じものを好きになってくれた人と話が合わないわけないです。
しかも、そのオタ活のせいで恋人を失った経験のある二人なので、
好きな人が一緒にオタ活してくれるのがなおさら嬉しいんです。
なんなら、相手が楽しそうにオタ活してるのを見るだけでも幸せ。
「自分よりオタ活を優先してくれない相方」は解釈違いなんです。
自分なんかよりオタ活を優先させて欲しい、あまり他の人達には理解されないですが、僕たちはこれからもそういうカップルでいたいです。






・・・そういうカップルでいたかったんですが、

最近お互いに、

オタ活より相手のことを優先しがち


例えば、僕が一人でゲームしている時、彼女はそれを邪魔しないように別のことをしてくれているんですが、最近そっちの方が気になってゲームをやめてしまうんです。そうすると「ちゃんと日課(ゲーム内のデイリーミッション)をやりなさい」ってキレられるという謎構図。

彼女も彼女で、デートの日と乃木坂ちゃんの配信の日が被ってると、前までは「一緒に配信見よっか」と言ってたのが、「乃木坂とデートどっちが大事なの?」を地でいくんです。高校生の時のお前どこ行った


十数年間、何よりもオタ活第一だった二人が、
最近、お互いへの感情を抑えきれなくなっていて困っていたんですが、
数日前に彼女から 驚愕の言い訳が ありがたいお言葉を頂きました。

「お互いにお互いが推しだから大丈夫じゃん」



うーん・・・?

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