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愛に脱がされて


ベロベロに酔いながらこっちこっちと呼んだ私は当時24歳だった。6年付き合った彼氏と別れしばらく恋愛はいいやと思っていた頃だった。彼は飲み過ぎですよとか言ってたきがする。終始敬語を使う大学生の男の子。あまり覚えていないが、あ、好きかもって思った。仕草、声の出し方、気配りの仕方、モロ好みだった。ちょっと遊んでやるかとか思ってた。最初はね。しばらく彼氏なんていらなかったから。

とりあえず好意を持たれてることは確かだった。確信はあった。私を見る目、話す声のトーン、それらが好意を持っているように感じた。だからかな、どんな風にしたら彼は好きで好きで堪らないって顔するのか興味があった。もっと見たくなった。おちょくってからかって振り回してみた。動揺してた。可愛かった。

最初は好きかもだったから、彼にはまっていくのは徐々にだった。彼からの猛烈な押しで付き合ったけど覚えてないフリして付き合ってないって事にしちゃった。でも家帰って仕事してふと彼と過ごした時間を思い出し、会いたくなって。連絡しちゃってた。好きの始まり。


好きな人にどう思われたいかを決めるのって服もありきだと思うの、可愛くみられたいじゃんどうせなら。自分受けから彼受けに変わっていくのが何だか可愛くて。恋してるわたし、ウキウキしてて可愛いなあって。彼の好みに合わせてた訳じゃなくてなんていうか可愛く見せたいみたいな感じだよ。


初めて愛し合った夜
下着も服もメイクも髪の毛も完璧にしてた。


恋が愛に変わったあの日。

いつのまにか完璧にしてた私よりも、何もかも脱いだ私になって。取り繕った自分なんていらないかのように彼はありのままの私を受け入れてくれた。



きっと女の子は、恋に身を纏い愛で脱がされる準備をしている。そして期待してる。愛に脱がされることを。


メイクをとり下着も外し魅せる為の自分を脱ぐ。
ありのままの姿を受け入れられ、愛を貰った彼女たちはそうやって愛に脱がされていく。


もう飾る必要なんてない。寧ろ見てて欲しい。無我夢中で乱れていく私の姿を。貴方の一つ一つで反応していく私を。


2023.5
「愛に脱がされて」

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