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そうだ、映画を観よう①

私は音楽やゲームで気に入ったものがあると大抵は、同じアーティストや開発会社が作った作品をいくつか続けて触れていくタイプで、しばらくマイブームのような感じで追いかけることが多々ある。

あまり映画に詳しくもなくレンタルで観ることが殆どなんだけれど、なぜか、なぜかM.ナイトシャマラン監督の映画は気になってたまに観てしまう。

シャマラン監督といえば「シックス・センス」や「アンブレイカブル」で有名なのだが、私が彼の名を知ったのは“評判の悪い映画ばかりを敢えて観る”という別のベクトルの謎マイブームが訪れていた時に「サイン」を観たのがきっかけだった。

もちろん賛否両論あるし、私の理解が足りていないということもあると思うけれど、当時の私の率直な感想は『なんだこれは…?(困惑)』という感じだった。

そのあまりに突飛な…
たとえばドアの隙間からのびた宇宙人の指を包丁で切り落とすような…
笑わせたいのやら怖がらせたいのやら…というようなセンスに慄いたことは確かだった。

それから「ハプニング」「ヴィジット」「スプリット」と、いくつか観たけれど特に「スプリット」は主演のジェームズ・マカヴォイの怪演のおかげもあってか見応えがあった。

そんなシャマラン映画をしばらく追っていなかったので先日、意を決して直近の作品である「オールド」「ノック」の2作を観てみたのである。

「オールド」はその場にいると急速に年齢を重ねるという、謎のビーチに閉じ込められた人々を描くスリラー作品。

時折シャマラン監督特有の“笑わせたいのやら怖がらせたいのやら”といったシーンもあるものの、さすがに時勢に配慮したのか、今までの作品よりも登場人物の精神的な部分が描かれていて不覚にも、ちょっと感動してしまった。

何よりも驚いたのは“なぜ?”と疑問
に思う部分にしっかりとした理由があったこと。
シャマラン監督はたまに謎を謎のままにしてしまうことがあるのだ…。
序盤の伏線も回収して、謎についての説明もあるなんて…一体どうしたんだ!?

ちなみにエンディングテーマもいい曲だった。


調べてみたら、なんとシャマラン監督の娘さんだった。
どうやらシャマラン監督の娘さんたちは一人は歌手、一人は映画監督になりこの「Old」の制作にも参加しているのだという…。

いや、一族経営とかは聞くけどさ…
一族…制作…?
な、なんと…斬新ですね…。

『子供たちが大人になるのに大人たちはシワが増えるだけなのが違和感』だとか『突然の死や時間の崩壊というテーマを描くのが不器用』だとか、欧米では辛辣な意見も多いのようだけれど私は満足いく作品でした。
だってオチがある。
オチは大事。


「ノック 終末の訪問者」は主人公家族が休息のために訪れたキャビンに、突然4人の訪問者が押し入り“世界か家族の命か”を選ばせるというお話。

「ハプニング」のエンディングに困惑した経験から、シャマラン監督が描く《世界の終わり》に強い警戒感があったのだけれど、さすがに二度もそもそも“迫る危機が一体何なのか?”というのがわからないなんてことはなかった。…良かった。

が、なぜ訪問者たちが犠牲を払うと人類に災厄が降りかかるのか、なぜ家族のうちの誰かを犠牲にすれば世界は救われるのか、というマジックでいうタネの部分が明かされることは無い。
黙示録になぞらえている部分もあるようだし、鏡の中に黒い影を見たと言うシーンがあったりと超常的な力だとは推測できるものの、明言はしない。
(実は途中からまた宇宙人がやってくるのでは…と覚悟していた。アルミホイルをぐるぐる頭に巻き始めるのではないかと…)

そういうこともあって、この物語はどちらかというと《非現実的で抽象的な雰囲気の物語》として観たほうが理解しやすいのかもなと思った。
あまり現実的にツッコミを入れてしまうと粗が目立ってしまうのもあるけれど、結局は主人公が“心のなかに向き合う”お話だからというのもある。
…と、書くとなんだか名作っぽくなるけれど、ツッコミどころは多々あり賛否両論ある出来だとは思う。
つまらなくはなかったし役者さんの演技も良かったので、私としては楽しめた作品だった。

シャマラン監督は芸術的な名作中の名作を作り続けるような監督ではないけれど、気軽な気持ちで観れるのが良いところだと思う。
ホラーやスリラーといってもおぞましいシーンはほとんど描かないし、真剣なお話すぎてメンタルにくるということもない。
(人によってはイラッとくるかもしれないけれど…)

地雷オブ地雷な評判すぎて、観る勇気がない「レディインザウォーター」もいつか観なくては…

(プールにいたら美人の精霊に遭遇するんだっけ…?あぁ、もうプロットからやばそう。)