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「Σ詩ぐ魔」発刊にあたって

令和三年は昨年来のコロナが世界的規模で猛威をふるい、さらに変異種となっては人々を苦しめ不安な事態が続いた。秋口に入ってわが国は幸いにもやや終息の兆しが見えてきたが、新たなオミクロン株の出現と急速な拡大に不安は去らない。

この年干支は丑、奇しくも発起人三人(グループ牛)は古希を過ぎての年男である。年の瀬にして新たな電子媒体に基づいた詩誌の発行を試みる。誌名は「詩ぐ魔」、∑(シグマ)に文字のイメージをあてがった。シグマとは総和、すべての足し算の合計という意味だが、詩作品を足し算で積み上げていこうとの思いを託した命名だ。

実は若い頃の話だが、夏目漱石の文学論(F+f)に倣うかのように∑を使った数式で文芸理論の一端を表現した友人の研究者がいた。周辺ではもてはやされたが、研究室では教授の怒りを買いその論文が日の目を見ることはなかった。彼はひるまずこの研究室を離れ新天地の大学で活動の場を広げていった。しかし不幸にも志半ばにして病に倒れ夭折してしまったのだった。詩が好きだった彼のことは今も苦い記憶となって残っている。∑は私にとっても、見果てぬ夢なのだ。

さて時は移り令和四年春三月、思えば次の干支までのワンクールを私たちは生き延びていられるだろうか、書き続けていられるだろうか。それは定かではないが、その一区切りを目標に熱意は持ち続け、いつでも次の世代と交代可能な電子ジャーナルとしての詩誌づくりを心掛けたいと願う。新しさを求めて媒体のアプリとしてnoteに取り組むことにした。老若男女に垣根は設けないが、若い方に積極的な投稿をしていただきたい。「∑ 詩ぐ魔」はいつでも未来を目指す詩作品を待ち受けている。詩作品群の総和をもってその存在価値を示せる電子ジャーナル詩誌を目指していく。                 

発起人    
和  比  古
阪井達生
松村信人

令和四年三月吉日

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