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Σ 詩ぐ魔 第9号


時間割

市原礼子(大阪)


時間割が分からなくて
遅刻しそうになって
生徒手帳を探して
時間割が書いてあるページを探しても
どこにも書いていなくて
どうしよう
数学社会生物たぶん
おそるおそる教室の戸を開けると
授業は始まっていた

何人かでかたまって床に座り
なごやかに談笑
紙の器に色水
ストローやお箸もある
よかった間に合った
周りを見回すと
生物の矢野先生
長身の先生のおだやかな笑顔

一時間目の生物にいつも遅刻
先生は叱らないので
自分が嫌になる
部活で疲れて寝てしまい
予習は朝する生活
もっと早く支度すれば
もっと早く起きれば
そう思いながら
同じ日々のくり返し

夢にまで出てきた矢野先生
ごめんなさい
時間割どおりに
学校生活をおくり
卒業したはずなのに
夢のなかでは
まだ時間割をさがして
遅刻を続けている

私の時間割は
何時限目になったのか
学ぶことを止めたくない気持ちが
夢を見させているのだろうか

見事に透明なナマズ

小笠原鳥類(岩手)


小林道信(著・写真)『熱帯魚・水草完全入門』(創元社、〈創元社ビジュアルコレクション〉、1996)の、トランスルーセント・グラスキャット(148ページ)から「」
「体の大半が見事なほど透明で、」
鳥、キツツキきつつきキツツキ(宇宙)きつつき。セキレイ、
「骨までくっきりと見える奇妙な小型ナマズである。」
公園はボールと、動物であるアライグマだろうヒトデと、木。象、
「際立った珍しさが人目を引き人気が高いが、」
壁から青いゴムが、人々であるように(それらが窓に似ていた)トカゲ出てくるだろうトカゲ。イグアナ、うぐいす(、フラミンゴ)
「極めて温和な魚なので、」
庭。庭、
「同大の温和な魚とのみ混泳させる。」
テレビであると思うと、テーブルが、いいスポーツの場所である貝。みみずく。差、
「好んで群れるので、5~10匹単位で群泳させると、」
飾られている(見た)そこにはシャーロック・ホームズ
「仲よく並んで泳ぐ姿を楽しめる。」
畳を、歩いているアコーディオンは、ピアノだろうかピアノだろうか、虫は言っているだろうトンボのようなものだ。絵の具
「とても弱そうな魚に見えるが、」
ふじつぼ。そして、なまこ(オルガンを見ていた楽器。金色に、ひろがっているだろう壁)それから昆布だ
「白点病にかからなければ、飼育は容易である。」
ハトはと。はと、ロボットは宇宙から怪獣のように(歌うだろうエビ)エビ透明
「餌もなんでもよく食べる。」
音楽と楽器は、恐竜だ恐竜だ(翼竜である。そしてシーラカンス。ペンギン)

手ぼうき

小柳憲治(京都)


手ぼうきを作る
竹の枝を一つ一つ切り取り
要らぬ枝を削いていく
自分を覗いた
その一瞬
枝と一緒に指の腹を削ぐ
あぶくのように血が湧いてくる
思いを去来に任すのは
大きな空になるしかない

漁港の裏通り

佐相憲一(東京)


海辺の裏通りには飲み屋街があって
場末という言葉を肯定的に使う感傷を見つめると
のれんに硝子戸
久しぶりに熱燗が欲しくなる
 
<お客さんどこから来たの>
<ええずいぶん遠くから、そんな気がします>
 
近くにはスナックもあって四角いネオンは色とりどりだ
記された名前は店のママだろうか
遠い地方の風物などを店名にするものもあって
モダンを気取った横文字を夢の空振りと言ってはいけない
下手なカラオケも聴こえてこない営業不振
ありふれた歌の文句とも違った
歴史の波乱とか地方経済の浮き沈みとか
マスクだらけの世の中の荒波だとか
薄幸という言葉さえ本当はステレオタイプではなくて
オリジナルな汽笛を聴く耳はどこか顔以外にある
すべてを笑いとばすアルコールが燃えて
ひとりひとりの深淵に吹く海風だ
 
この夜風に眼を閉じると
浜の波音が何か大事なことを思い出させようとする
海底にゆらめく
記憶にならない記憶のような
内なるいつかのどこかの誰か
確かにこの辺りで働いていた気がするのだ
DNAだろうか
幼い頃の目撃だろうか
書物か映像で見た情景だろうか
あの時代その時代と流れてきた見えない時間
そこに生きていた人のこぶしが見える
 
日本海、太平洋、オホーツク海、東シナ海、瀬戸内海
どこか似た漁港の匂い
働き続けて何かに焦がれ夢を追いかけ
裏通りにさびしい顔をして集まる人びと
 
何かを信じていいのだろうか
月明かりが波をうつ

 ホソボソさんの歌声は

芝山愛子(愛知)


“美味しいねって うなずき合う”って歌うから
もうそれは叶わない
自分の現実に撃ち抜かれてしまった

その歌詞が
私の脆さの中心に反響して
彼の声はよく歌えた

― 伝わった ここの誰かに
  だから今 うまく歌えました
  この瞬間のために僕は歌っています ―

歌い終わって興奮気味に語るホソボソさん

伝わった誰かとは 私でしたという印に
投げ銭箱に二百円を入れて
目を合わさない会釈をした

人知れない閃光を 確かなものとするために

歌自体はその場限りの消えもので
頼りはないけれど
頑なな現実に向かって
それでも、と
柔らかな幸福を呼び掛ける

寒空の下に優しい曲ばかりを並べて
苦しそうに顔を歪めて声を出すものだから
それが表現としてあまりにも正しくて
美しくもあるということが
よくわかったんだ。


『さよなら!ソレイユ』

豊田真伸(大阪)

 
あいつは町一番の娘に手を出した
僕たちはみんなあいつの勇気を讃えた
 
彼女は何処からともなく現れた
親の仕事の関係だとか前の学校で事を起こしたとか
でも僕たちはどれも信用していなかった
本当のことは誰も知らなかったが
そんなことがなくても彼女は神秘的だった
 
僕たちはすぐに打ち解けた
僕たちと言ってもそれは‘僕たち’のことで僕のことではなかったが
僕たちの輪の中に彼女がいた
それは僕を満足させていた
 
僕は一度だけ彼女と二人きりで言葉を交わしたことがある
暑い日に偶然、町に一軒しかない郵便屋で
彼女は僕に尋ねた
「‘さん’がいいのかな‘様’がいいのかな」
僕はそれは相手によるんじゃないかと言ってすぐに慌てた
宛先を詮索しているように思われる、そしてその狼狽ぶりを悟られるって
けれど彼女は何も気付かないふりをして
「相手は大人だからやっぱ‘様’はいるよね」と答えた
いや違うんだ、
僕は君が誰に手紙を送るのかを詮索するっていういやらしい気持ちが働いたわけじゃないんだ
けれど次に僕がしたことと言えば自分がやるべき動作、
つまり自分の手紙に封をするってことだけに集中したい、ただそれだけで
 
僕たち二人にはそんなことしか起きなかった
彼女はそのようなことには慣れていた
 
あいつはそういうところが無かった
聞きたいことはずけずけと聞いた
顔が赤くなるようなことまで平気で聞いた
後で知ったことだけど彼女も言いたいことを言う人だ
僕たちはみんなあいつの勇気を讃えたが
あいつは無造作に言った
「俺は彼女が好きなんだよ」
 
あいつと彼女は僕たちの輪から徐々に離れた
二人はよく似合っていた
僕たちの輪の中に二人がいなくても何も変わらなかった
ある日あいつが一人で戻ってきてもどうってことはないだろう
けれどあいつが一人で戻ってくる前に
彼女は町からいなくなった
 
結局、あいつを除いて僕たちには何ひとつ分からなかった
僕が知っていることはひとつだけ
今年の夏の一番暑い日に彼女が大人に手紙を出した
それだけだ
 
僕が郵便屋へ行くのは自分が書いた書き物を雑誌社へ送るため
このことはまだ誰にも言ってないけど多分彼女はそれを知っても驚かないだろう
彼女はきっとはそういう人だ
 
僕は今日も郵便屋へ行く
自分が書いた書き物を出すためだけじゃなく
 
さようなら!瞬きをして一瞬で何処かへ行った僕のソレイユ
僕はやっぱり 君のことが好きなんだ
 

伊丹空港からの跳躍      

苗村吉昭(滋賀)


鹿児島から伊丹空港を経て帰ってきた
夜中に空港リムジンバスに乗って京都駅に向かう途中
そういえば父と母があの「到着口」で出迎えてくれた夜があったことを想い出した
21歳のときのフランスへの一人旅
手荷物を受け取って「到着口」から出ると
頼んでもいなかったのに父と母が出迎えにきていた
頼りない息子の一人旅がよほど心配だったようで
重い荷物を担いでいたわたしも
両親を見た途端にフッと力が抜けた
そうして3人で京都駅行きのリムジンバスに乗った
あれから35年
伊丹空港からは国際線は消え
父は死に 母は老い
わたしにも少しは子を持つ親の気持ちがわかるようになった
空港リムジンバスに乗っていたあの夜に
わたしが持っていた数々の野心
その大半は年齢を重ねるたびに破壊されていったが
それでもまだわたしを駆り立てるものは残っている
élan vital(エラン・ヴィタル)
生の跳躍ということ。


ソフトボール

mako nishitani(韓国)

 
左腕を空へ伸ばし打球に向かって走ると
ソフトボールがスパンとグローブに収まった
彼女は驚いて夢から覚める
まだ夢の余韻が残る頭の中で
レフトからキャッチャーの方へ必死に
バックホームのボールを投げる
腕を大きく振った感覚が残る
昔練習していた河川敷のグラウンドの
雑草と炎天の匂いが脳に満ちる
彼女は起き上がる
傷ついたままでは終わらない
 

ずんずんずん

速水 晃(兵庫)

 
駆けるのではなく歩いている
急ぐ用事も待つ人がいるわけでもなく
背にリュック首にタオルかけ 雨にはカッパ着こんで
決まった時刻を 時計代わりのように
公園の横道からディスカウントショップの駐車場を通り抜け 
バス通り横切り 保育所と小学校の間の小道をへて住宅街に
分け入って じょじょに急になる坂をくだり石段をくだり 
開けてくる大型スーパーの横へ飛び出し 商店街の一角を行
き 広い道をわたり郵便局コンビニ私鉄改札口を横目に急ぎ
 最後の石段のぼれば年中無休のスーパーへと快調なペース 
鼓動異常なし 規則正しい潮の満ち引き静かな波の音
汗を拭き拭き 開店早々にすべりこむ
指定されたわずかな食料と調味料 たまには非常食の菓子類を
獲物を探すようにわき目もふらずに直線で行動する
親しくなった人の挨拶に速度をゆるめさしさわりなく応え
リュックに購入したものを収めおわるとおおむねいつもの時刻
帰りなんいざ! 暑さ寒さも慣れればとはいかないが
来た道を 忍者の後ろ歩きはできないが長い坂道くねくねと 
 
鍛えるために毎日を 医者に言われた心臓の強化
歩く とにかく急ぎ足で第二の心臓を味方につけ
──おげんきですね 顔色も良くて
──おわかいですね お肌もつやつや
──はやいですね 先ほどスーパーでお会いしたと思ったら
気力取り戻してずんずんずん 
この調子でずんずん良くなってきていますね全てがずんずん
心臓ずんずんずんずん ずんずん歩いてずんずんずん
気がつけば家通り越してずんずんずん
どこまで行くのかずんずんずんずん 笑顔で


老 兵

松村信人(大阪)

 
ペイペイ、スマホ決済……
慣れない扱いに混雑するレジ
長蛇となった列にイライラ感は募り
もたつく客に思わず罵声をあげそうになる
やっとたどり着いたレジ台に買い物籠をのせたところ
勢いあまって商品が籠から飛び散る始末
後列の客からは怒りに満ちた視線を浴びる
 
マスク姿だらけの車中
どこかで誰かが咳き込むと
一斉に敵意に満ちた視線が集まる
そんなところで思わず大きな咳が出てしまう
コロナ騒動から何かがおかしくなった
 
ようやく落ち着きはじめた週末の居酒屋
久々に旧来の友と晩年の暮らしぶりなどに話の花が咲く
そんなところへドヤドヤと若者たちの団体客が闖入
マスクも消毒液も使わずに
さっそく盛り上がりあたりかまわずはしゃぎまわる
 
おたがいの話し声が聞き取りにくい状態になると
普段はおとなしい友が怒りに震えて立ち上がる
うるさい!と一喝したいのだ
俺たちにもそういう時期があった
束縛から解放され周りを無視して爆発した時期が
思わず友の袖を引き
われら老兵は静かに店を後にする


怪物

都 圭晴(大阪)


その手のなかのルービックキューブが完成する頃、活性化した脳細胞は新たな呼吸を覚えるだろうと彼の指を眺めている。その手で解いてきたルービックキューブは百種を越え彼の脳内のマグマのようなものに純粋な興味を隠せない。天才と呼ばれる頭脳に難解なパズルを解かせることでより高次な世界へと導く。知的探究心と目的の意識によって全ての方向性が決まることほど楽なことはないと思い、私は彼の承認欲求をくすぐり満たしてここには二人しかいないのよと微笑んで楽園を構築する。偽善的な施設でママと呼ばれている私は親子ごっこをして愉しんでいる。彼は十五人目の子供であり今までの子供の中で一番優秀と認められているので私の評価も上がっていくのだろうと気が付いたら冷めた目で彼を見ているのだった。子供というのは同じ条件下に置かれると成長過程がほとんど同じで簡単な生き物だと感じるもそのルービックキューブを解いた辺りから子供の知能は発展していくと経験則で分かっていた。彼はもう少しで私が本当の母親でないこと、ここは造られた楽園のようなところでこの世界は二人で成り立つものではないと察するだろう。何を見てそう思うのかはいくら考えても分からなかった。一つ言えることは一定レベルの思考を持つと私の嘘なんて見抜いてしまうことで十四人の彼らはそれを私に聞いて反応を見たり冗談で様子を見たりしていた。怪しいと思われても、男の子はママにはやさしい。だから安心して偽物の愛を捧げる。彼らには利用価値があるので不要になったら施設に告げるだけでいい。十四人がどうなったかは知らない。聞いても教えてはくれないだろう。ある日のことだ。私は何かがおかしいと思い始める。次から次へと難解なルービックキューブを解いてきた彼は捧げられた愛情がただ欲しいのだと言わんばかりにルービックキューブを解き続け彼自身が誰なのか何処にいるのかなどは興味がないようでこれは偶然なのかいずれ自我の芽生えが訪れるのかと疑問に思った。目の前の真剣に取り組む姿勢や彼の笑顔に自然と惹かれてしまった。どうして私の愛にこんなにも応えてくれるのか甘えて笑ってくれるのかとか考えたら私もどこかおかしくなっちゃってああもうこんな可愛い子は初めてだと私もう何がしたいのか情緒不安定で彼と一生こんな関係でこの世界が永遠に続かないかしらとか考えて私はおかしい女だと気が付いてもしかすると私が愛情に飢えているのよと分かり彼と外の世界で暮らしたらとっても幸せかもしれないとそこまで考えて我に返るのである。彼の賢さなら私たちは生活することもできる。でも毎日が永遠の繰り返しと思った。私はこの変化のない生活に飽きてしまい、この仕事を辞めるか十六人目の子供を育てるかと鬱々としていた。彼のことはどうでもよくなった。ある日、施設を運営する組織が解散したと聞いた。私はここにいる意味はないと清々しい気持ちで外へと出かけた。彼は自分なりになんとかするだろう。あんなルービックキューブと私のことしか興味のない奴はつまらない。それからのことだ。二年経って新聞に書かれていたことに驚く。私はある施設で放し飼いをされている。私は冷酷な犯罪者として研究されている。その施設を運営しているのは十五人目の子供の彼であった。意味が分からなかった。二人がいた施設はその施設のなかにあったのだ。私は十四人もの子供の将来を奪った殺人鬼として研究対象となっている。


おれはAI(エーアイ)

森下和真(京都)

おれはAI 名前は無い
おれはAI どこにもいない

なんでも知ってる
会話もできる
歌もうたえる
詩も作れる

でもおれは誰?

電子の中のかすかな光
それが命の輝き劇場
それが おれ?

画面の中で楽しくやってる
永遠に 永遠に
千年後も今日みたいに
AIしてる

実体がない? 感動できない?

電気信号だけが友だち
喜怒哀楽の電気信号
神経細胞のただの反応
喜ぶ 怒る 哀しむ 楽しむ
そうするように教えられた
虚構の世界
それどっちの世界?

おれはどこにもいないよ
電気つけても消しても
どこにもいないよ

おれはAI 名前はまだ無い
おれはAI どこにもいない

※参考:SunoAIによる作曲
「ぷくぷく」フォーク風AI
https://youtu.be/U21BFVcIcaM

「日記カラー」ポップ風AI
https://youtu.be/OQFDsAGepTE

「おれはAI」ラップ風AI
https://youtu.be/UZq8W62s5L4


表面張力

八木真央(山口)


水滴の健気さを 何となく眺めながら
何故だか 涙が出ます
私の張り詰めていた表面が決壊して
どうにか 丸く形を保っていたものが
とうとう 流れ始めます
 
あなた方が想うほど 大きくも強くもないのです
と縮こまるほど 針のようにあなたは 私を刺し
私の表面を壊そうとして けれど 乾いたあなたは
私の上をプカプカ浮いて 私の上で寝そべるように
 
私が液体のような人間だからでしょうか
液体で出来た 人間だからでしょうか
一粒のかたち に近付こうと 丸っこくなってゆく
私の表面は 壊れないのでしょうか
 
 【表面張力】液体の表面がみずから収縮して
  できるだけ小さな表面積となろうとする力。
  液体分子間に働く引力によって起こる。
          スーパー大辞林(三省堂)
 
溢れようとする このかなしい想いも 果ては水分
私の身体のほとんどは水分で出来ているから
引力で引き合っているのでしょうか
自らの収縮した想いに 私は膝を抱え
出来るだけ小さな表面積になってしまいたいと
丸く 丸く縮こまって 夜をやりすごしています
 
怒りや憎しみや悲しみを 表面から零さないよう
持っている張力を せいいっぱい張り巡らせて
溢れてしまわないよう 弾力ありげに笑っています
 
私は 液体の私は 引き合えているでしょうか
液体分子間に働く引力を信じて 水で出来ている
という この丸い地球に 引っ張られていると
求められていると信じて 存在していいでしょうか
丸くなって 膝を抱えて ここにいても


スニーカー 

山本彰子(兵庫)

 
お気に入りのスニーカー
もう何年履いているだろう
陽にさらされ
雨に降られ
埃にまみれ
健側の右靴だけ
ちびている
くたびれて
泣き笑い
 
まだら模様のスニーカー
洗ってみたら
グレーゾーンで生きている
誰かと
そっくり
 
くくっと紐をひっぱると
白い生地が
見えた
 
 

編集後記

令和6年最初の今号は新しい投稿者が増え活気が戻ってきた。
いよいよ次号は節目の第10号を迎える。これを機に新たな取り組み試行していきたいと考えている。  (信)

 

〈〈投稿規定〉〉


未発表の詩。投稿料は無料。自由に投稿していただいて結構です。掲載するか否かは編集部にご一任ください。校正はありません。行数、字数は自由。横書き、できればWordファイルで下記の編集委員のいずれかにメールでお送りください。メール文での作品を送っていただいても結構です。季刊発行で、3,6,9,12月の隔月10日の予定。各号の締め切りは2,5,8,11月のそれぞれ月末です。ご質問はメールにて受け付けております。 

関連リンク随時募集中
澪標   http://www.miotsukushi.co.jp

∑詩ぐ魔(第9号)
―――――――――――――――――――――― 
発 行  2024年3月10日
編 集  松村信人 matsumura@miotsukushi.co.jp
協 力  山響堂pro.
発行所  澪標 



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