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制約のある日常で、気づき、感じたこと

みなさま、こんにちは。あらためまして、SIGMAの山木です。
(前回のSEIN編集部のご案内のとおり)SEIN、そしてSEIN Onlineで続けてきたEssentialsというコラムを、このシグマ広報部に移して続けてみることになりました。どうぞよろしくお願いします。

今回の新型コロナウイルスの感染拡大によって、いまこのコラムを読んでくださっているすべての方が直接・間接に影響を受けていらっしゃると思います。なによりもまず、そうしたおひとりおひとりにお見舞いを申し上げるとともに、一日もはやく通常の生活をとり戻せるよう心よりお祈り申し上げます。

「自分を支えてくれている存在の偉大さ」に気づく

私自身もみなさまと同様に、このコロナ禍によって仕事はもちろんのこと、生活の面でも多くの制約を受けることになりました。このことが大変な困難であるのは間違いありませんが、少し見方を変えてみると損失やダメージだけではない、別の側面も見えてくるように思います。

それまで「通常の生活」を支えてくれていた「大切なもの」に気づかされたこの期間は、私にとって多くのことを学ぶ機会となりました。家族の存在、友人の存在、そして日々ともに働いてきた仲間の存在。これまで、出張や外出の連続でじっくり顧みることのなかった「自分を支えてくれている存在の偉大さ」に気づけたことは、この難しい状況によってもたらされた貴重な「収穫」といえるものでした。
まさにウィリアム・ディボーンの名曲 "Be Thankful For What You Got"のとおりです。

「それでも世界は素晴らしい」

なかでも、写真や映像を愛し、この映像産業界を支え続けてくださるユーザーの方々の存在、そのありがたさをあらためて実感できたことは何より有難いことでした。
4月、政府から緊急事態宣言が発出され、"3密"を避ける行動が強く求められるなか、SNSではさまざまな試みが見受けられるようになっていました。誰もいない早朝や深夜に撮影された近所と思しき風景。自宅からの景色。あるいは行動の制約の一切ない、自由だった日々に撮影された美しい光景を、来る日も、誰から報酬を受けるわけでもないのに、黙々とSNSなどで発信し、シェアしつづける方々がいました。私自身、そのアクションに心から感動し、励まされ、そして感謝していました。

メディアでは殺伐とした情報が飛び交い、経済活動にも光明が見えない不穏な日々でしたが、写真や映像を通して「それでも世界は、社会は、こんなにも素晴らしい」「どんなときも写真は楽しい」というメッセージを発信してくれる方々がたくさんいました。そこからは私たちを「よき世界」につなぎとめようとする強い願いや信念がたしかに伝わってきました。

写真に携わる私たちにできることは何だろうか

社会の最前線で必死の感染拡大防止に取り組まれている医療従事者の方々をはじめ、社会活動を止めないよう自らの責務を果たしてくださっている多くのエッセンシャルワーカーの皆さまへの感謝と敬意を多くの方が強くされていると思いますし、私もまたその一人です。そして私にとっては同じく、このように写真や映像をとおして希望を表現し発信してくださる方々の存在は心強く、そして尊いものでした。同時にあらためて、私たちが携わっている写真や映像が果たすべき役割のようなものを再認識した次第です。

そんななかで「おひとりおひとりに感謝の意を表現する方法はないだろうか」「いったい自分には社会に対して何ができるだろうか」とも自問するようになりました。そしてまずは行動からということで決心したことがふたつありました。
ひとつは、自粛期間中も毎日のように写真を撮ってシェアする方々に仲間入りすること。思い切って自分も撮影した写真を投稿してみようと思い立ちました。もうひとつは、皆さんが発信している作品を私も積極的にシェアして拡散すること。
私のアカウント・フォロワーの方々にとっては、私の拙い写真や大量の画像がタイムラインに流れてくることは、あまりありがたくない面もあるかもしれませんが、そのような理由から意を決して取り組んでいる次第です(ご容赦ください)

4月7日 緊急事態宣言発出、在宅勤務初日、初めての投稿

4月9日 2月、最後の海外出張で撮影した写真を投稿

カメラを通して、世界ともう一度出会う

これまでは外国や風光明媚なところで写真を撮ることが多かったのですが、自粛期間中はおのずと場所や被写体に制約が生まれます。このことが思いがけない発見をくれました。早朝や日暮れに近隣を散歩しながら写真を撮っていると、毎日光は異なるし、咲く花も変わっていくし、草の生え方も変化するということに気がつくようになりました。「どんな場所でもフォトジェニックになるんだ」ということ。雨が降ると、いつも目にしている街の表情がその匂いとともにガラッと変わることを知ったこと。すべてはカメラを通して世界を見ようとしてはじめて本当に「わかった」ことでした。

コロナウイルスの感染拡大防止策の一環として、世界中で都市のロックダウンが実行されましたが、そのせいもあってか、当社ではマクロレンズの需要が急激に上がりました。国を問わず多くの方が生活圏の制約のなか、普段なにげなく目にしているもの、身近にあるものの美しさや尊さに気づき、それを記録したり表現したいと願った欲求の表れだったのではないかと想像しています。

あたりまえの日々を大切に、良き世界への希望をもって

現在、カメラ市場は大幅に縮小を続けており、もちろん当社事業もその影響を受けています。が、こうしてどんなときも写真や映像を撮ることで、日々のなかに美しさや驚き、感動を見出して分かち合っている皆さんの存在を知り、仲間入りすべく自分なりに(一大)決心をして行動したことである確信を得ました。私たちが生きているこの時代、社会において、写真や映像が果たすべき役割は減じるどころか、これからますます重要になっていくはずだと。それだけでも、この期間の経験は私にとって得難いものだったといえます。

現実には、まさにこれからが正念場です。写真・映像愛好家の皆さまの期待に沿えるよう、これからもALL SIGMAとして私たちに求められている役割を果たしていきたいと思っております。
あたりまえの日々を大切に、良き世界への希望をもって。


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