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絵本読み聞かせ#4(幼稚園にある絵本100冊)

育休を取り始めて4ヶ月。
親子が一緒に登園し時間を過ごす幼稚園に通っていることから、ここ数ヶ月平日の昼間はほぼ毎日のように我が子達と幼稚園で過ごしている。

自然の中にあり、園舎も開放的にデザインされているため、子ども達は園につくや否や大声をあげて遊び回ったり、自分の興味に沿った活動を行ったりする。
目標やルールが掲げられているわけではなく、子ども達は関わり合いを通じて、良心に耳を傾けながら集団や他者の理を知り、自分を見つめ学んでいく素晴らしい場所だ。
親も子どもと一緒に遊んだり、行事や活動の準備をしたり、父母同士で団欒したりとまったり過ごすので、居心地がいい。

そして絵本コーナーには、購入・寄贈含め、多くの絵本や紙芝居が並んでおり、折を見ては読み聞かせをしてきた。
手に取る絵本はどれも面白く、子ども達は何度も読んでとせがんで来る。

せっかくnoteに読み聞かせログを綴っていることだし、3学期が終わるまでに幼稚園の絵本100冊を読み聞かせしてみるかと新年の目標を立ててみた。

今回は、新学期が始まって1週間で読んだ絵本の感想をまとめました。



#1 マドレーヌといぬ

『元気なマドレーヌ』という絵本の続編なのに、先に読んでしまった。
教会の寄宿学校のような施設で過ごす女児マドレーヌと同級生、先生のミス・クラベルは、厳しい規律の中で犬のジェヌビエーブ(守護聖女の名でもある)を巡ってドタバタ過ごしている様子が描かれていて面白い。
また、舞台であるパリや学校が印象派の絵のように描かれていたり、黄色や赤を基調とした色が使われていたり、人間や動物のバランスがどこか崩れていたり、と絵そのものを味わいながら読み進めることができた。
4歳の長男も2歳の次男もじっと聞いてくれたので、気に入ったのだろう。
1954年コールデコット賞受賞。


#2 ほら なにもかもおちてくる

タイトルを見た時、世界の崩壊を描いたデストピア絵本なのかと訝しがったが、色鉛筆のスケッチのような表紙絵が示すように、和やかで優しい絵本だった。
花びらも木の葉もりんごも雨もおちてくる。
日は地平に沈み、夜の帳が下りる。
空に光る月や星もいずれ明るさの中に消えていく。
そして、高い高いして宙を舞った子どもは親の手元へ。

全てのものはいずれ地面へ落ちるのだけれど、世界の摂理はそうなっているということを受け止めること、すなわち自然なのだと感じた。
また、受け止めてくれる人がいるのことは嬉しいし有難い。

後に紹介する『どろんこハリー』の作者たちのデビュー作。


#3 かぶとむしのたたかいのおきて

相撲のように格付けが決まっているわけではないので、蜜やメスを巡ってオス同士は群雄割拠、一死必殺の如く、乱世を生きていると思っていたけれど、どうやらそうではないことを教えてくれた絵本。
ちゃーんとツノを突き合わせて、自分と伍す相手なのか見極めてから勝負しているのだ。
2歳の次男お気に入りの一冊。


#4 どうどうどうぶつ

こちらも2歳の次男お気に入りの一冊。
カバ、ゾウ、キリン、ラクダ、トラといった動物を個々の特性に応じてユニークに描いている絵本。
茶色いロバの足を木と思ってつつくキツツキとか、草を食べすぎて緑に変色するゾウとか、シュールで滑稽な絵と軽妙な文章表現が面白い。
訳者のダジャレのセンスにも脱帽する。

#5 いぬとにわとり

戦時疎開中に農業に従事した作者ならではの目線で、家で飼っているいぬとにわとりのやり合いが描かれていて、訓話のように感じられる絵本だった。
こちらも、2歳の次男お気に入り。


#6 がちょうのたまごのぼうけん

『おおきなかぶ』と同じ訳者なのでロシアの絵本かと思いきや、ポーランドの児童作家のお話だった。
がちょうのたまごに、ザリガニ・にわとり・アヒル・ねこ・いぬがついていく際のオノマトペの訳がリズミカルで秀逸。
ストーリーは『ブレーメンの音楽隊』を連想させる内容で泥棒達が懲らしめられる様子がコミカルに描かれていた。
がちょうのたまごが、他の動物達が泥棒を退治している間に、ひょこっと孵るところも面白い。
アクションシーンでは何の活躍もしていないのだけれど、元いた家に凱旋してくるのだから、冒険には違いない。

#7 じごくのそうべえ

桂米朝さんの上方落語をベースに作られたっぽい絵本。
地獄の鬼も閻魔さまも、なんやわからへんけど関西弁喋ったはっておもろい。
極楽行きも閻魔さまの気分次第で決められるなんてたまったもんちゃうけど、そうべえ達は知恵を使って乗り越えていく。
「地獄の沙汰も金次第」とちごうて「芸は身を助く」っちゅうことやなぁ。
こないけったいな地獄やったら行ってみても楽しんやろか。
そして、父が喋る関西弁、子供らはどないおもてたんやろか。

#8 かんちがい

吉田遠志という版画家による絵本。
調べてみると、海外で活躍されたようで、特に1970年代以降はアフリカに渡り多くの動物を描いた版画を残しているそうだ。
本職の版画で描いたアフリカの動物達は、躍動感に満ちていて、版画でここまで写実的に描けるのかと驚嘆する。

例えば、これとか。
今にも絵からオグロヌーが飛び出してきそうだ。

本作は、アフリカの大地で巨躯を揺らすサイとゾウの親子同士の諍いを描いている。
サバンナが舞台だからなのか、牧歌的で自然讃歌な雰囲気はなく、子を守ろうとする防衛本能の激突を生々しく描いており、子ども達も固唾を飲んで読んでいた。
傷ついた母サイは動けなくなり危険な夜を迎える。
サイドリが傷口にたかる虫を食べてくれたお陰なのか、母を思う子の願いが届いたのか、日が昇る頃に母サイは回復した。
そして、また草原を闊歩するところまでストーリーが進むと、心なしか安堵感が広がった。
厳しさと優しさが同居するサバンナを描いているのだ。

動物絵本シリーズであと5冊あるそうなので、他の作品も読んでみたい。


#9 おとうさんはウルトラマン

「お父さんは仕事をきっちりこなす、残業もしない」
「綺麗づきのお父さん、だけど怪獣をやっつけた後は散らかしっぱなしで帰る」
などウルトラマンの行動特性に基づいて子育てをコミカルに描いているので、笑わずには読めなかった。
子ども達はウルトラマンすら見たことはないけれど、どう思っていたのだろうか。
何回もせがんできたところをみると、面白く読んでいたのだろう。


#10 どろんこハリー

『ほら なにもかも おちてくる』から絵のタッチや色づかいが変わって見えるので、同じ作者達が描いた絵本とは思えなかった。
頑なに風呂を拒んでいた犬のハリーは、ある日泥まみれ煤まみれになって帰宅しても家族が気づいてくれなかったので、庭に隠したブラシを加えて風呂場まで家族を連れてきた。
「この犬、お風呂が本当に好きなんだね」と驚きながら家族が体を洗ってやると、泡の中からハリーが顔を出す。

幼い子供にもこういうところあるよなぁと思いながら読んでいた。
1952年コールデコット・オナー賞受賞。


今日はここまで。
来週も、また読みまくろうっと!

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