8月に255km走って、奇跡が起きた話

１．迫る健康診断　焦り

3月〜4月に怪我のため走るのを控えていたら、一気に3kgほど体重が増えた。

その後、それまで以上に走り始めたが、全く体重が減らない。

そんな中、7月の終わり頃、会社から8月31日に健康診断を実施するとの連絡があった。

昨年測定した体重は64.9kgだった。腹囲は74.5cmである。現在は68〜69kgである。昨年を軽く3kgオーバーしている。腹囲もそっと測ってみたら82cm。こっちはもっとやばい。見た目でも脇腹に脂肪がたっぷり載っている。

このままの体重でもメタボで引っかかることはないが、昨年と比較して急増しているので、コロナ太りのレッテルを貼られ、問診で何か言われるだろう。それがとても嫌だ。

健康診断までに少しでも痩せたいと焦る。

２．猛暑日に走る　祈り

だが体重が増えても食事制限はしないことにしている。食べるのが大好きなのに辛い思いをして食事を制限しても、永続的に続けられなければ結局元に戻るからだ。健康診断のたびに無理なダイエットをするのは絶対避けたい。

「夏痩せ」という言葉があるが、私の場合、快適な室温の中でたくさん食べてたくさん寝て、全く夏バテしないので、一切夏痩せすることはない。

幸い走るのはそこまで辛くない。いや、辛いけれど続けられる。ただ例年も走ってはいるが痩せないのだ。

ランニングについて、例年と1つだけ違う点がある。これまでちょっと無理するとすぐに故障するので、あまり距離を伸ばせなかったのだが、在宅勤務で毎日走るうちに、１度に走る距離を減らせば、距離を伸ばせることが分かってきたのだ。

そんなわけでとりあえず8月はこれまで以上に真面目に（ただし故障に繋がるような無理はせず）走ることにした。

お盆休みも帰省も遠出もしないので、毎日走った。

健康診断当日を含めて2回しかなかった出社日を除いた29日、毎日走った。

涼しかった7月から一転して猛暑が続いた8月だが、夜明け前に走ったり、夕方の木陰を走ったりと工夫して乗り切った。

健康診断前日の30日にはさすがに疲れが溜まっているのを感じて、途中で走れなくなったが、やれるだけのことをやったと言う気になった。

この結果、月間走行距離は255kmに達した。以前の走り方だと故障を防ぐために月間走行距離180kmまでしか走れなかった私からすれば、ぶっちぎりの過去最長記録である。

３．ますます迫る健康診断　希望と絶望

それでも体重はなかなか減らなかった。むしろ増えているようにも思えた。筋肉が付いたのなら諦めもつくが、体脂肪率も下がっていない。

腰回りの脂肪は少し減って来たような気がする。試しに測ってみたら79cm。もうちょっと減らしたい。

健康診断が行われる31日を前にした1週間、突如体重の減少が見られ始めた。長らく見ていなかった67kg台を記録した。67kg台ならば昨年から3kg以内の増加に留まる。3kgは１つの目安のような気がする。

週の後半になって微増したが、健康診断当日の月曜日にはまた減っていることを信じて、気にしないことにした。

健康診断当日も、いつも通り、起きてすぐに体重と体脂肪率を測った。

69.2kg。…激増である。

激しく落胆した。昨年比4kg超である。頑張って走ったけど、意味なかった。

この後トイレに行って、健康診断まで飲食を控えるが、そんなことでそれほど減るはずもない。

４．そして健康診断　奇跡

会社に着いてからも、少しでも体重を減らそうと、セコく何度もトイレに行ってみるが、もはや何も出ない。問診で何て言われるんだろう。そんなことを思いながら健康診断の会場となる会議室へ。

会場に続く廊下に列ができていた。床にはテープが貼られ、一定間隔を置いて並ぶようになっていた。当然のように全員がマスクを着用している。並んでいると非接触型の体温計で体温を測られ、アルコール消毒も求められた。

ようやく受付を終えて、まず血圧。上が116。理想的と言える。

次に採血。女性スタッフから痛くないですかと聞かれて、少し痛かったのでそう伝えると、「愛が足りなかったかしら」と言われる。腕に刺さった注射針よりも胸に刺さったその言葉の方が痛い。

視力。驚くほど見えない。かなり勘で答えたが0.9と1.2。1.0を切ったのはいつ以来だろう。

身長。174.5cm。公称175だが、許容範囲だ。

そしていよいよ体重。

記録した数字を示される（昔は大声で体重を読み上げられたものだが、いつの頃からか結果は一切声に出されなくなった）。

66.1kg。

え？だって数時間前に69.2kgだったんですよ？

3.1kg、どこに行った？天使の取り分？それとも測定スタッフの愛？

間違いじゃないかと思ったが黙っておく。

そして腹囲。72.8cm。去年よりも減っている！

これは絶対間違いだと思ったが、やはり黙っておく。

結局原因はよく分からないが、奇跡的に体重は昨年よりも1kg強増えているだけと言うことになったので、問診でも何も言われなかった。