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FIFAワールドカップ 日本代表の激闘 感想とまとめ

2022年 FIFAワールドカップ カタール大会。
普段は6月に開催されるワールドカップですが、現地の暑さ対策のため異例の11月開催。
しかし、時期が異なっても、始まってしまえばいつもの「ワールドカップの雰囲気」を存分に味わうことができました。

世界を驚かせた日本代表の大活躍。
日本中が熱狂し、メディアもこぞって注目し、11月中旬~12月初旬までは日本中が青に染まりました。

時差もあるので毎戦しっかり見ることはできませんでしたが、私も日本代表の戦いを応援しました。
半月に渡る日本代表の激闘をまとめてみました。

森保JAPANのストロングポイント

大会に先立ち、NHKスペシャル「サムライブルー ドイツ攻略 ベスト8への道」を見ました。

日本代表の戦い方の鍵になるのは「ハイプレス」と「ビルドアップ」。

ハイプレスとは、高い位置でボールを持った相手選手に積極的にプレッシャーをかけ、ボールを奪う戦い方。

高い位置、とは相手陣内のゴールに近い位置。
そこで組織的に相手にプレッシャーをかけ、ボールを奪う、限りなく攻撃に近い守備です。

森保監督は、「守勢になったとしても、その状況、現実の中で何ができるかを選択、決断しながら戦うということはやっていきたい」と話します。

前線、つまり相手陣地から自陣に攻め込まれないようにプレッシャーをかけ、且つ、ボールを奪って素早く攻撃に転ずる。
強い相手に対してほとんどのプレイヤーが自陣まで引き、堅牢な守りでボールを奪い、速攻で攻撃を仕掛ける「カウンターサッカー」とは真逆の戦い方です。
優勝経験のあるドイツ、スペインに対してもその姿勢で挑んでいくと語ってくれました。

ビルドアップとは、自陣からショートパスをつなぎ、相手陣内にボールを運ぶ攻撃方法。
キーパーやDFからロングパスで前方の選手へボールを渡すのではなく、パスを繋ぎながら相手陣内に切り込んでいく。

ただ、自陣でショートパスを繋げる最中にボールを相手に奪われると、攻勢から一転、守備に転じなければならず、リスクを伴う。
そのリスクを負うのなら、ロングパスで自陣を飛び越えて相手陣内にボールを入れた方がいいはず。

森保監督は「ロングボールを蹴っても、チャンスになる確率は低い。そしてロングボールが相手に奪われてしまうと、こちらが守備に振り回されてしまう。そうなると体力が奪われ、攻撃に転じる事が難しくなる。過去の日本の試合でもそういったシーンはいくつも見てきた。今大会では選手へビルドアップにチャレンジしてほしいと話している」と語りました。

ロングボールは攻撃の常套句のひとつだと思っていたのですが、確かにこちらもリスクを孕んでいる。
同じリスクを取るなら、守備に振り回されることなく、より前向きな攻撃姿勢を保った方がチャンスが大きいはずです。

「ハイプレス」と「ビルドアップ」。
この二つの戦い方を駆使し、強豪チームへ挑みます。

ドイツ相手にどう戦うか?

番組では、初戦の相手ドイツを徹底分析。

ドイツの戦い方の特徴は「ゲーゲンプレス」。
相手にボールを奪われると、5秒以内で奪い返す戦い方です。

プレスをかけるタイミングは、相手のプレイヤーがボールを持ち、前かがみになった時。
プレイヤーが前かがみになって攻撃に転じた時、その背後にはスペースができる。
そのタイミングで、時には個の力で、時には組織的にボールを持つプレイヤーに襲い掛かる。
ボールを奪うと、そのスペースをうまく使って攻撃に転じる事ができる。

最近ヨーロッパサッカーを見ていないので、私が知っているドイツ代表はかつて優勝争いを演じたメンバーぐらい。

日韓大会ではGKカーンを擁する最強軍団。
そしてブラジル大会ではレーヴ監督が率いるチームが優勝。

当然、その時からかなりメンバーも変わってきています。
知っているのはGKのノイアーぐらい。

しかし、強豪チームに違いはないはず。
番組では、イギリスのスポーツ専門のアナリストへデータ分析を依頼。
日本とドイツ、両チームを分析してもらったところ、両者の実力は「互角」。

日本がトライしている「ハイプレス」。
そのプレスの強度を数値化したところ、日本はドイツを上回った。
しかも、日本はドイツと同じような戦い方をしているという。

どちらのプレスが上回るか、どちらがプレスをかいくぐって前線に行けるか。

しかも、プレスをかけてくる相手に対して、もうひとつの武器「ビルドアップ」がうまく機能しているという。
ワールドカップ直前の親善試合では、強いプレスをかけてくるチームを相手に互角に渡り合い、勝ち越している。

では、ドイツとどうやって戦えばいいのか。
実は、ワールドカップ直前の親善試合、ドイツvsハンガリー戦で番狂わせが起きていたのでした。

ドイツの「ゲーゲンプレス」をハンガリーのビルドアップが上回り、1-0でハンガリーが勝利していたという。
強豪国で優勝候補のドイツも、果敢に挑めば怖くない事がわかってきました。

ちょっと難しい内容でしたが、最近サッカーをあまり見ていなかった分、日本の戦い方、そして何よりあのドイツと互角の実力を持っていることがわかる、いい番組でした。

互角なら、どちらが勝つか。
私は面白い試合を見せてほしい、と戦う前には思っていました。
しかし、この番組が示した通り、日本代表は我々が想像するよりもっと上の実力を持っていることを証明してくれることになるとは!

「ドーハの歓喜」世界を驚かせたドイツ戦

11/24 いよいよ初戦となるドイツ戦。
「下馬評」とは、何だったんだろう?と思った試合でした。

ドイツは数多くのワールドカップに出場し、優勝経験もあるチーム。
そのイメージだけで下馬評を作り上げていただけなのではないか。
しかし重要なのは、その時どのようなチームなのか、コンディションはどうか、というところ。

NHKの番組の通り、ドイツと互角の戦いを演じ、日本が上回って見せたのです。

前半は中盤でお互いのプレス合戦が続く。
そんな中、相手の左サイドにボールがポーンと繋がり、ピンチの場面でGK権田が相手を倒さざるを得ない展開になり、PKを献上。
先制を許したものの、その後も集中を切らすことなく守り切った。

後半、森保監督が積極的に動く。
DFの冨安を投入し、4バックから5バックへ。
システムが変わることでチームの動きが変わった。
その後も三苫、南野、浅野、堂安と選手を次々と投入して攻撃陣に厚みを加える。

後半30分、三苫が起点になり左から真ん中へ切り込んで南野へ。
南野のクロスはノイアーが防いで浅野に合わなかったが、その後ろにいた堂安が押し込んだ!
1-1。日本が追いついた!

そして後半38分。
板倉のフリーキックを浅野がキャッチし、相手DFとの競り合いを制してシュート。
日本逆転!

このゴールは驚いた!
一瞬の出来事だったが、浅野がDFに負けず、競り勝ってゴールを決めた。
サンフレッチェ広島時代から注目していた浅野のジャガーポーズが誇らしい!

その後も日本が守り切り、見事ドイツに勝利!
日本のワールドカップの歴史上、大きな出来事になった。

この結果に日本中が歓喜の渦に沸いた。
93年、森保監督自身もピッチ上で悔し涙を流した「ドーハの悲劇」の言葉を模した「ドーハの歓喜」という言葉がトレンド入り。
この言葉は本当に素晴らしい。

勝利へ繋げたのは、様々なメディアが語る通り、前、後半でのシステム変更。

後半、体力的に優位なアタッカーを投入。前半とは別のチームにすることで相手をかき乱し、うまく得点に繋げました。
通常、選手交代は3人までだが、今回は5人までの選手交代が認められた。
その事も、前後半で別のチームを作り上げる事に一役買ったと思う。

知らなかったのですが、東京オリンピックでも交代枠は5人で、その後も恒久的にこのルールが適用されるとのこと。
選手の負担を少なくする処置なのですが、より多くの選手が活躍できるいいルール変更だと思います。

さらに、今の日本代表はドイツで活躍する選手が多いのも特徴。
対するドイツ代表は強豪チーム「バイエルン・ミュンヘン」の選手が多い。
普段のリーグ戦で対戦している選手も多いと思うので、シミュレーションがしやすかったのではないか、と思います。

いずれにしても、値千金の大金星。
これで次も勝てば、条件によってはグループリーグ突破を早々に決める事ができます。
勢いがついた日本代表の次戦はどうなるか?

前戦の勢いはどこへ?苦悩したコスタリカ戦

11/28 コスタリカ戦。

前戦とスタメンを少し変えてきた日本。
しかし前戦とは打って変わって、完全に引いて守るコスタリカ相手に苦戦することに。

コスタリカは前戦、スペインに大量失点で大敗。この試合を落とすわけにはいかない状況。
自陣のペナルティエリア付近に5人を並べ、その陣形を崩さない。

後半、ドイツ戦同様メンバーを大幅に変えるも、強固な守りをこじ開ける事が出来ない。

後半36分。
相手のミドルキックをDF吉田がクリアミス。
そこから始まり、ミスが重なって失点してしまう。
コスタリカにとっては唯一とも言うべきチャンスをモノにされてしまった。

その後もコスタリカ陣営を崩すことができず、痛い敗戦。
前戦の大金星を無駄にしてしまう敗戦になりかねない結果となりました。

ドイツ戦ではあれだけ躍動したのに、何故格下のコスタリカに負けてしまったのか。

いわゆる、「引いた相手」に日本は慎重に行き過ぎ、チャンスを作り出すことができなかったようです。
三苫や堂安も持ち味を発揮することができなかった。
失点のシーンも、たまたまなのか分からないが、信じられないぐらいミスが重なってしまった。
その前のシーンから、相手に的確にプレスもできていなかったように見えました。

とにかく、快進撃をストップしてしまった、信じられない敗戦。
その後行われたスペインvsドイツも引き分け、全チームにグループリーグ突破の可能性がある展開になってしまいました。
この厳しい状況の中、最後の相手はスペイン。
どのように戦うのか?

大金星再び!列島大歓喜のスペイン戦

12/2 スペイン戦。

日本がグループリーグを突破する条件は、勝てば文句なし。
引き分けると、ドイツvsコスタリカの結果次第となります。

キックオフは最も遅い時間。日本時間で早朝4時。
6時前に起きなければならないので、当然リアタイ視聴は無理。
5時過ぎに起きてテレビをつけてみたら、信じられない得点表示に驚いた!

スペイン代表と言えば、優勝した南アフリカ大会のイメージが強い。
バルセロナ一筋のMF、シャビを中心とした芸術的なパスサッカー「ティキタカ」を駆使して、「無敵艦隊」と言われながらも今まで一度も征したことがなかったワールドカップで初優勝。
延長戦でのイニエスタのゴールは伝説となりました。
まさか、そんな伝説を作り上げた人がJリーグに来てくれるなんて思いもよらなかったのですが。

当然、今はシャビもイニエスタもいません。
若い力が躍動するスペイン代表ですが、どんなチームなのかわからないままこの日を迎えました。

日本代表は、今まで後半から展開してきた5バックの布陣を前半から展開。

しかし前半11分。
日本はしっかり守備陣形を敷いていたが、ペナルティエリア外からポーンと放たれたボールをモラタがヘッドで決めて先制。
やはり一筋縄ではいかない相手。日本も懸命に我慢し、1-0で前半を終える。

後半。
開始から三苫と堂安を投入。

開始早々の後半2分。
前田がGKにプレスをかけ、たまらず蹴り出したボールに伊東純也が反応。
競り合ってこぼれたボールを堂安が拾い、そのままゴールに突き刺した!!
弾丸のような威力のシュートで日本同点!

そして、物議を醸した後半5分。

右サイドから堂安が蹴ったボールはゴール左脇へ。
しかし諦めない三苫。果敢にボールを追い、ゴールエリアの中へ蹴り出す。
そこへ詰めていた田中碧が押し込んでゴール!!

映像では、三苫のクロスがゴールラインを割っているように見える。
しかしVARの判定では、ゴールラインに1.88mmほど残った状況から蹴っていた!
1㎜でもゴールラインに残っていれば、INと認められてゲームが続行する。
正にテクノロジーに助けられた奇跡のプレー!

これで2-1。
前大会のポーランド戦の時のように、グループリーグ突破を目論みボール回しに徹することなく、攻撃の手を緩めない日本。
しかし、できるだけ守備に時間を費やす。
対するスペインもこの状況に焦燥しているのか、本来の動きが出せない。

そして試合終了。
ドイツに次ぐ大金星!
あのスペインにワールドカップの舞台で勝った!!

朝早くから日本列島は大興奮!
出勤の準備をしながら、ものすごい光景を目にしました。
インタビューでは長友が叫ぶ!「ブラボー!!」
その日は日本国内でもみんなブラボー!ブラボー!!

日本の勝因は何だったのか?
スペイン相手に日本のハイプレスが機能し、前半は辛抱強く、選手を大幅に変えた後半はより攻撃的になったようでした。

興味深かったのが、DAZNのデイリーハイライトで水沼さんが言っていた、「川崎フロンターレの選手たちの連携が勝利に貢献した」ということ。

代表チームはクラブチームよりも練習機会が少ない。
そんな中、クラブでチームメイトや元チームメイトが多ければ、そこの連携がスムーズになる。
Jリーグで何年も上位に君臨する川崎フロンターレから巣立った選手たちの活躍は、サポーターにとってはたまらなかったことでしょう。
しかも、2点目を決めた三苫と田中碧は同じ小中学校だったとか。

同時刻に始まったドイツvsコスタリカは、ドイツが勝利。
途中、このまま日本が追いつかれて引き分けてしまうと、グループリーグ敗退が決まるというシチュエーションでした。

これは93年のドーハの悲劇と同じ。
しかし29年経ち、若い選手たちがその呪縛を解き放って見せてくれました。

そして、今まで大会ごとにグループリーグ敗退、決勝トーナメント進出を互い違いに繰り返してきたが、初めての2大会連続グループリーグ突破。
しかも首位で!
因縁のカタールの地で新たな歴史を見せてくれました。

決勝トーナメント初戦の相手は、グループFを2位で突破したクロアチア。
98年のフランス大会ではグループリーグで手も足も出ず、2006年のドイツ大会では川口のスーパーセーブが光った引き分け。
今大会はどんな結果になるか?

PK決着。悔し涙を飲んだクロアチア戦

12/6 決勝トーナメント1回戦。

決勝トーナメント初戦の相手はクロアチア。
言わずと知れた強豪国。前回ロシア大会準優勝のチーム。
大ベテランの主将モドリッチのテクニックは侮れない。

クロアチアとは過去のワールドカップ本戦でも対戦経験があります。
1998年のフランス大会。
初出場の日本代表。経験のなさをディフェンスでカバーしたが敵わず。
クロアチアも独立して初めてのW杯だったが、ヨーロッパの強豪クラブでプレーする選手が何人もいたのでした。

そして2006年のドイツ大会。
日韓大会の活躍を経て日本もレベルアップしていたが、相手を上回る事はできず。
川口能活がPKを止めたシーンが印象的。

そしてワールドカップでは3度目の対戦。
フォーメーションは前戦のスペインとほぼ同じ。
いよいよ、ベスト8をかけた戦いが始まりました。

前半からしっかりプレスをかけて戦うも、相手の守備も固い。
前半42分。
ショートコーナーから堂安がクロス。
ゴールエリアでの交錯で転がったボールを前田が押し込んで先制!
今大会で初めての先制ゴール!しかもワントップの前田が決めた!
初のベスト8進出へ弾みがつく。

しかし後半9分。
相手にロングクロスを入れられ、ペリシッチが頭で合わせて追いつかれる。
これで1-1。

その後も両者一進一退。
90分で決着がつかず、延長戦をフルに戦っても決着がつくことはなかった。
迎えたPK戦。

決勝トーナメントのPK戦と言えば、2010年の南アフリカ大会を思い出す。
あの時、駒野選手がただ一人PKを外し、敗退してしまった。
結果はショックだったが、帰国後駒野選手を責める人はひとりもいなかった。

今年、駒野選手は現役を引退。
あの時の事をNHKの取材で語ってくれました。
知られざる苦悩。感動的な記事でした。

実力だけでなく、運も必要になるPK。
果たして、どんな結果になるのか?

最初のキッカーは南野。
ゴール右側を狙うも、クロアチアのGKリヴァコビッチに止められ失敗。
続く三苫も逆に左側を狙ったが止められた。
その後、3人目の浅野は決めたものの、4人目の吉田もリヴァコビッチに止められる。

一方、相手はひとり失敗にとどまり、4人目が決めたところで勝負あり。
日本代表は前回大会と同じく、決勝トーナメント1回戦敗退となった。

数多くのPKを蹴ってきているであろう選手であっても、必ず成功するとは限らない。
蹴る方向をキーパーに読まれることもあれば、キーパーが飛ぶ位置とは反対に蹴ってもバーに当たることもある。勢い余ってゴールから外れることもある。

非常に酷な決め方でもある。
かつて日本代表を率いたオシム監督は、運も左右するPKでの決着に最後まで納得できず、PK戦になると必ずロッカールームへ身を隠していたほど。

しかし、長いサッカーの歴史でこれだけは変わらないし、ナンバーワンを決めなければいけない大会。そのため、数多くのドラマも生まれてきた。

1994年のアメリカ大会決勝。ブラジルvsイタリア。
唯一PKを外したロベルト・バッジオがこんな言葉を残している。
「PKを決めたことは誰も覚えていないが、外したことは誰もが覚えている」

今回、4人中3人のキックを相手GKリヴァコビッチに止められた。
彼のプレーは素晴らしく、称えるべきだが、外してしまった選手が悪いわけでもなく、逆に相手のキックを止められなかった権田のせいでもない。
むしろ、120分間戦い抜き、想像できないほどのプレッシャーがかかるこの舞台でPKを蹴ってくれた事を称えたいと思います。

おわりに

今大会の日本代表は、今までの大会を大きく上回る大活躍だったと思います。

本文中で「下馬評」について書きましたが、「サッカー強豪国」は見る人すべての脳裏に刻まれています。
そんな強豪国であるドイツ、スペインをワールドカップという舞台で次々と撃破。

日本代表以外でも、サウジアラビアがアルゼンチンに勝ったり、韓国がポルトガルに勝ったりとアジア勢が大活躍した大会でした。
そして大躍進のモロッコも全世界に注目されました。

考えてみれば、ワールドカップはそれまでの戦績や下馬評は関係なく、その時に結成されたチームが一発勝負で戦う場。
前回優勝したチームでも、コンディションが悪ければ負けるし、強豪国に対しても数多く戦えば1回は勝てるかもしれない。
そんな番狂わせが起こるのがワールドカップの面白い所なのかもしれません。

今回の日本代表は、前もってしっかりチームを分析し、「勝てる戦い方」をしたと思います。
ただ用意周到に勝つ戦い方をしただけではなく、「三苫の1mm」と言った奇跡も勝利の一因でもありました。

Abemaの動画で岡田武史さんが話していた、「森保監督が勝つために準備を積み上げてきたから、最後に神様からのご褒美があったんだよ」という言葉が本当に心に残りました。

そして何より、93年の「ドーハの悲劇」から日本のサッカーが着実に成長し続けてきたこと。

今回の代表はヨーロッパの舞台で活躍する選手がほとんど。
さらなる成長を求めて日本を飛び出し、ヨーロッパに活躍の場を求めることは、もはや当たり前の事になりました。
イタリア、セリエAのペルージャに移籍した中田英寿が大活躍し、強豪チームであるローマに迎え入れられる、といった「同世代の活躍」に熱狂していた時代から、ヨーロッパへの選手の移籍が当たり前になる時代へ。

その成長の跡を、今大会では見せられたのではないかと思います。
しかも、93年ピッチ上で悔し涙を流した張本人が、今度は監督として、奇しくも同じカタール、ドーハの地で「悲劇」を「歓喜」に変えてくれたことは本当に素晴らしい。
「ドーハの歓喜」なんとドラマチックな言葉なのでしょう。

ただ、今大会の熱狂を「歓喜」のまま終わらせてはいけません。
今大会が終わったら、見据えるのは4年後。
この強さを維持し、今度こそ「新しい景色」を見る事ができるか?

今大会のホスト国であるカタール代表を見ていると、今までの日本代表を思い起こさせる面もありました。

アジアカップで日本を上回り、初優勝したカタール代表でしたが、今大会ではいいところなくグループリーグ敗退。
自国開催とは言え、初めてのワールドカップ。そんなに簡単に勝てるものではありません。
98年、フランスに乗り込んだ日本代表も同じでした。

しかし、93年にJリーグが始まってから、日本のサッカーは大きく成長を遂げました。
2002年の日韓大会では初勝利、グループリーグ突破。
そして今大会では優勝を経験した国を次々撃破。
約30年かかりましたが、日本はここまで来ました。

今後、同じ道をカタールが辿ったら、アジアの中でも大きく成長する国となる。
すると今度は、アジア予選を突破するのも難しい状況になってきます。

決勝トーナメントで戦ったクロアチアも、毎大会出場できたわけではありません。
しかも驚くべきことに、優勝経験もあって強豪国のひとつと数えられるイタリアが、今大会は出場していません。予選で敗退してしまったのです。

ワールドカップに出場できることは、決して当たり前のことではありません。
ライバル国が力をつけてくるということは、日本の立場も安泰ではない。

他のスポーツ同様、楽しみながら声援を送る事しかできませんが、これからも、日本代表を、日本のサッカーを微力ながら応援していきたいと思います。
それが、「新しい景色」をみんなで見る事ができる唯一の方法だと思っています。

※タイトル画像は、日本サッカー協会のこちらのサイトより使用させていただきました。
スペイン戦歓喜の瞬間。本当に「ブラボー!」でしたね。

さて、12/17の今日現在、ワールドカップは終わっていません。
今大会もいよいよ決勝戦。
「最後の大会」と位置付けたメッシ率いるアルゼンチンが勝つか、超強力なアタッカー、エムバペを擁する王者フランスが連覇を成し遂げるか。
最後の最後まで楽しみが尽きませんね。

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