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奇跡のスリーランと気迫の激走! クライマックスシリーズ 1stステージ第3戦 ソフトバンクvsロッテ

2023年クライマックスシリーズ クライマックス・パ ファーストステージ第3戦
福岡ソフトバンクホークス vs 千葉ロッテマリーンズ

ものすごい試合!
私も途中から中継を見始めましたが、まさかあんな展開になるとは…。

既に多くのメディアで大きく取り上げられていますが、今回は手に汗握ったこの一戦を振り返ってみたいと思います。

9回までゼロ行進が続いた投手戦

先発はソフトバンクがベテラン和田。ロッテは小島。
二人ともランナーは許すものの、得点を許さない好投。
スコアに0が並んでいきます。

どちらも7回から継投に転ずるも状況変わらず。
結局9回が終わっても両チーム得点なし。

私が中継を見始めたのもこのあたりからでした。
9回が終わっても両者得点ゼロのまま。
ファイナルステージに進むには、ソフトバンクは勝利あるのみですが、ロッテは引き分けでも構わない。
9回はどちらも抑えの投手を投入しただけに、勝敗は誰が投げるかに関わってきます。

10回表。
投手出身であるロッテの吉井監督がマウンドを託したのは、澤村拓一。
ジャイアンツからトレードで移籍し、その後すぐにメジャー挑戦。
ボストン・レッドソックスで2年間メジャーのマウンドを経験した後、今年からマリーンズに戻ってきました。

G党である私は澤村には思い入れがあります。
もちろん生で見たこともありますし、背番号15のオレンジタオルも持ってます。

入団した時から既に大きな体が出来上がっていました。
それは、誰よりも早い速球を投げるため。
そのためだけに大学時代からウエイトトレーニングに励んでいたというのです。
正に「ストレートバカ一代」、「男ドアホウストレート」
そんな真っすぐさが好きなんです。

自慢の速球や鋭く落ちるフォークを武器に、幾度となくチームを勝利へ導いてきました。

澤村でポストシーズンと言えば、大学の先輩である阿部慎之助にマウンド上で頭を叩かれた事件ですね。
マウンド上で舞い上がってしまい、サインをちゃんと見ていなかった事への叱責でした。
しかし、そんな先輩からの愛ある叱責で落ち着きを取り戻し、チームを勝利に導いたのでした。
この試合だったかは覚えていませんが、ヒーローインタビューでの「明日も勝つ!」という雄叫びは忘れられません。

そんな澤村も中継ぎに転向してからは振るわず、一時は3軍を経験しましたが、同年マリーンズへトレードで移籍。
今までの不振が嘘のような好投を見せたのでした。

ボストンから戻った今年も中継ぎとして活躍。
8月に「可逆性脳血管攣縮症候群」と診断され、今シーズンはこれ以上は無理かも、と思いましたが、9月終わりに復帰。
クライマックスシリーズにも連日登板し、これで3試合目です。

連投の疲れはあるものの、かつて見せた気合いで乗り切ってくれるはず。
超満員の観客の祈りを受け、マウンドに上がりました。

3連投目でまさかの失点…

ソフトバンク一人目のバッターは野村。
しかし、澤村のフォークが今日も冴え渡る。
最後は磨いてきたストレートで敢えなく三振。

続くバッターは井上に代わって代打の柳町。
2球ボールが続いた3球目、右中間に見事に運ばれ2ベースヒット。
ここ2日間しっかり抑えている澤村がここで打たれた!

ソフトバンクに訪れたチャンス。
藤本監督はこの大事な場面で9番甲斐にも代打を出し、生海。
そしてランナーも柳町から上林に交代。

ルーキーの生海は初球から思い切り振っていくも三振。
バッターは1番に戻って、周東。
あのWBC準決勝、9回裏の村上のタイムリーに俊足を見せ、逆転のホームを踏んだ「足のスペシャリスト」。

周東へも速球で押していくが、2球目を捉えられた!
センターを抜けるツーベース。
これで上林が俊足を見せてホームへ帰って1点。
ゼロ行進の試合の均衡が遂に破れた!!

続く2番川瀬にも初球を捉えられ、打球はレフトへ。
周東が帰って2点目。
川瀬自身も2塁を回ってスリーベースヒット。

一瞬の出来事だったが、この2点が勝敗に大きく影響することは間違いない。

ここで澤村は交代。
短期決戦、しかもこの回の裏に得点できなければ、シーズンが終わってしまう大事な展開だけに仕方ない。
3連投も少なからず影響したのかもしれない。

吉井監督が送り出したのは、坂本。
ツーアウト、ランナー3塁。

対するバッターは強打者、柳田。
トリプルスリーも経験した手強いベテランも、坂本の初球を捉えた!
ライト前に運ぶタイムリーで川瀬が帰り、さらに1点追加。

ソフトバンクは怖い強打者が続く。
次のバッターはWBCでも大活躍した近藤健介。
さらなる追加点が懸念されたが、うまくサード前に抑えてスリーアウト。

ソフトバンクにとっては勝利を手繰り寄せる大きな3点だった。
勝負は10回裏。
果たしてマリーンズは3点差をひっくり返せるか?

幕張熱狂!奇跡のスリーラン

10回裏、マリーンズの攻撃。
マウンドに上がったのは津森。
甲斐に代打が出たので、キャッチャーも嶺井に変わった。

トップバッターは、代打の角中。
長年チームを支えるベテランが、このピンチの場面で登場。

角中はベテランの味を出し、粘って津森を追い込む。
2ストライク、2ボールで追い込まれても、ストレートをうまくミートしてファールを連発。ただでは終わらせない。
そこから6球粘って、最後は角中に軍配。
ストレートをうまくミートさせ、左中間を貫くヒットで塁に出た!

続くバッターは荻野。こちらも大ベテラン。
津森の4球目をうまく捉えたものの、内野フィールド内に落ちるボテボテの球。
サードが捕球するも、絶妙な位置にボールが落ちたのか、拾うのが精一杯でファーストに投げられない!
いぶし銀のヒットでランナーが1、2塁。
1本飛び出せば同点のチャンス。

ここでバッターは藤岡。
バッターボックスに立ち、津森の投球を待つ。

最初から初球を狙っていたのか、絶好の球が来たのか。
津森の放ったストレートを見事に捉えた!

打球はぐんぐん上がっていき、満員のマリーンズファンが待ち侘びるライトスタンドへ!!!

あまりにも劇的すぎる、藤岡の同点スリーラン!!
ベテランのいぶし銀の活躍も光ったが、ここでホームランを打てるのは奇跡としか言いようがない!
もちろん、マリンスタジアムが大熱狂に包まれたのは言うまでもない!

10回表と同じように、あっという間の出来事。
マウンド上の津森は茫然自失。
精神的なダメージを受けていることは画面越しでもわかる。
これ以上投げさせてもいい結果は生まれないのは明白。

岡大海、気迫の走塁!全員で手繰り寄せた大勝利!

ピッチャーは津森に代わって大津。
あっという間に追いつかれたこの流れを変えられるか?

バッターは藤原。
藤岡に続いて大きな当たりか?と思いきや、ライトの浅い位置に落ちて1アウト。

続くバッターは主砲ポランコ。
今年ジャイアンツから移籍し、新天地でホームラン王に輝いた。
誰もがサヨナラホームランを期待したが、センターフライに打ち取られた。

ツーアウトで迎えたバッターは岡。
ライトスタンドからの「ヒロミ」コールに答え、三遊間へ運ぶヒット!
ついにサヨナラのランナーが出た!

続くバッターは安田。
ツーアウト1塁という追い込まれた状況の中、スタジアム中が祈り、声を上げる。

大津も牽制を仕掛けて揺さぶる。
緊迫した状況。1本が出ればサヨナラの可能性もある。

カウントは進んで2ボール、1ストライク。
大津が放った4球目…安田が見事に捉えた!!
右中間に届く長打!

これで1塁から岡が激走!
ライトが捕球し、ホームに向かって投げる頃には、3塁ベースを蹴った!
ここは走るしかない!

バックホームの球が届いた。
しかし、岡はスライディングでホームベースに手を伸ばす!
映像ではどちらか?岡の手が先か?キャッチャーミットが先か??

審判の判定はセーフ!
スタンドからは大歓声!
あまりにも劇的すぎるサヨナラ勝ち!!!

当然、藤本監督からはリクエスト。
しばし審判がバックに入って判定の時間となるが、映像上では岡の手の方が先。
これは、誰が見ても明らかだった。

審判の判定は覆らずセーフ。
劇的すぎるサヨナラ勝ちで、マリーンズがクライマックスシリーズ1stステージを勝ち上がった!

ファンのため、そして谷保さんのため

奇跡のスリーランに始まり、岡激走の大サヨナラ劇!
こんな試合、そうそうお目にかかれるものではありません。
たまたま試合が気になって、DAZNで試合を見始めて本当に良かった。
応援しているチームの試合ではありませんでしたが、野球ファンなら誰もが熱狂した試合だったでしょう。

今年のマリーンズは奇跡的な展開を次々と見せてくれます。
CS争いも最終戦までもつれ、楽天に劇的勝利を飾って2位通過。
ソフトバンクがCS進出を決めているにも関わらず、3位ではなく2位で通過し、マリンスタジアムでの戦いに持ち込みました。

マリーンズのもう一つの話題は、スタジアムアナウンサーの谷保恵美さん。
33年間アナウンスを務め上げ、今年いっぱいでチームを離れます。

あの特徴的な選手紹介はマリンスタジアムの名物。
レギュラーシーズンのホーム最終戦では、涙ながらに最後の一声。
そんな彼女のためにセレモニーが催され、スタジアム中に「タニホ」コールが響き渡る心温まる時間でした。

しかし、その時はチームがCS進出を決めていませんでした。
楽天に勝てばマリンスタジアムに帰って来れる。
しかし、負けてしまえばCS進出はない…。

ファンのため、谷保さんのためにも、是が非でもCSをマリンスタジアムで!
想いは通じ、見事楽天に勝利。
再び谷保さんのコールがスタジアムに響いたのです。

マリーンズファン、そしてチームの想いはひとつ。
ファイナルステージを勝ち抜いて、マリンスタジアムで日本シリーズを戦うこと。
そして谷保さんに「千葉ロッテマリーンズ、日本選手権優勝でございます!」とコールしてもらうこと!

ファイナルステージの相手は、圧倒的な強さで優勝したオリックス・バファローズ。
エースの山本由伸は初戦から登板する予定。
他にも揺るぎない投手陣、攻守に活躍する野手陣を揃え、盤石の体制。

そんな手強い相手を前に、またまた奇跡を起こしてくれるのか?
ここまできたら、ものすごい奇跡を見せてほしい!
水曜日から始まるファイナルステージから目が離せません!

※記事内の動画は、パーソル・パ・リーグTV様の公式Youtubeより使用させていただきました。

※タイトル画像は、マリーンズ情報@サンスポ様のポストの画像を使用させていただきました。
藤岡選手の奇跡のスリーランを打った直後の画像。
チームメイトも喜びを爆発させている素晴らしい1枚です。

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