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MOTHER2のローカライズ解説本『Legends of Localization Book 2: EarthBound』

ロールプレイングゲームである「MOTHER2」のローカライズ解説本についての記事です。ページ数が膨大なので、私が面白いなと思った部分の紹介とコメントをします。
なお、この本は洋書なので本文は英語です。私の語学スキルは、英語の文章を辞書を引きつつ翻訳しながら少しずつ読むというくらいですので、少々の翻訳違いなどあるかもしれませんが、ご容赦ください。
MOTHER2が好きで洋書に抵抗がなければ、ぜひ実物をお買い求めの上読んでみてくださいね。
関連サイトの項目で、MOTHERの世界をさらに楽しめるコンテンツを紹介しています。

MOTHERの海外版での呼称は
「MOTHER」→「EarthBound Beginnings」
「MOTHER2」→「EarthBound」
「MOTHER3」→?(海外未発売)
以上のようになります。
海外で発売された日が「MOTHER2」=「EarthBound」のほうが先でしたので、あとから発売された「MOTHER」が「EarthBound Beginnings」というEarthboundの前日譚のようなタイトルになっています。

【Legends of Localization Book 2: EarthBoundについて】

【購入したところ】

fangamer
海外通販です。

【装丁】

片手では持てないくらい大きいです(1.5㎏)
これが432ページフルカラーの厚さだ

【本書で紹介された翻訳】

”天才写真家”

さあ こっちむいて
とりますよーっ!
チーズ サンドイッチ!

Look at the camera…
Ready…
Say,"fuzzy pickles."
(P106)

fuzzy picklesは「アメリカの写真家が1970年代から使っているフレーズです」と本文に説明がありました。
たしかに発音すると口元がにっこりする単語です。笑顔で写真に写れそう。

”ピカール市長”

ややややや はじめまして
ネスさん。
しちょうのG.H.ピカールです。

Hey hey hey!I'm Mayar B.H Pirkle.It's so nice to meet you.
(P122)

G.H.はドイツ語読みでゲーハーとどうしても読まざるを得ないんですよね、不思議です。
B.H Pirkleについては「その文字は”Bald Head(禿げ頭)”を表し、そして”Pirkle”は英語で”Pikaru”を綴る別な方法です。ジョークを半分ローカライズするという選択により、Earth-Boundのファンは彼の名前についてずっと混乱したままでした」と本文にあります。ピカールという言葉もぴかぴかと光るの合成語なので、辞書を引いても一発では出てこなそう。B.H Shinyさんならしっくりきたのかしら。

”どせいさん”

じぶんはどせいさんというものですよ。

Hi HO。
ME
MR。SatURn
(P182)

翻訳版では、アルファベットや記号がどせいさんフォントのような独特のフォントになっています。
どせいさんにMr.の敬称が付いていますが本文の開設では「しかし、「ミスター」は男性の敬称であり、ほとんどの英語話者のプレイヤーは何年もの間、これらの生き物がすべて男性だと想定していました。この想定は日本のファンの中では全く普及しておらず、またMOTHER 3で女性だと言及するどせいさんによって、誤りであると証明されました」とあります。これは「なんか むつかしいことを かんがえよう。これからの ぼくは」の「ぼく」の自称から導かれた翻訳なのでしょうか。そのあたりはこの本には書いていなかったけれど。
MOTHER 3に「おんなー」「おんなです」と話すどせいさんが確かにいますので、男性だけとは限らないと想定できます。ただ、「ぼくらは みんな わたしたち」とも言っているので、性別がどちらとも決められない生き物なのかもしれません。

”タコ”

マル・デ・タコ→Marauder Octobot(襲撃者のタコロボット)
ミタ・メ・タコ→Military Octobot(兵士のタコロボット)
カナ・リ・タコ→Mechanical Octobot(機械仕掛けのタコロボット)
タコ・ソ・ノモノ→Ultimate Octobot(究極のタコロボット)
(P328)
※()内は私が訳したものです

元の語感と意味が消えていますがこれは仕方がない…難しいところです。
タコけしマシンはPencil Eraser(エンピツけし)です。EarthBoundではタコけしマシンのグラフィックが鉛筆の置物に変更されているためです。(P144)
大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DSにはタコけしマシンが登場し、海外でも発売されました。海外のEarthBoundファンにとっては、このタコの置物なんだろう?という認識だったのかもしれません。

【関連サイト】

さらにMOTHERの世界をのぞいてみたい方はこちらをご覧ください。
英語で構成されたコンテンツなので私もまだ未見の部分が多いですが、少しづつでも見ていけたらと思っています。

Legends of Localization: EarthBound / MOTHER 2 Translation Comparison

今回紹介した『Legends of Localization Book 2: EarthBound』の著者、Clyde Mandelin(Mato)さんのホームページです。本書の内容の一部が公開されています。

Mother To Earth: The Untold Story Of Earth Bound

Mother To Earthは、Earthbound Beginnings(MOTHER)のローカライゼーションの歴史を記録したインディーズの映画です。MOTHERの日本版から北米版へのローカライゼーションについて、インタビューと舞台裏の様子を紹介しています。有料で、レンタルか購入をすると視聴できます。

The EarthBound Player's Guide

任天堂が公式に公開している、EarthBound(MOTHER2)のプレイヤーズガイドです。pdfで135ページあります。

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