卓上遊技再現演義『楊範・鄭令蔓伝』とは①
「楊範・鄭令蔓伝」全4巻が完結したところで、ここでは2001年8月に発行した「楊範伝映像的中原導覧」の記事を元に、今まで小説中では詳しく語ることができなかった設定や、TRPGとしてプレーされた時の様子などを紹介したいと思います。
1:中原の現状
「楊範・鄭令蔓伝」の舞台となる中原世界。ここではその簡単な解説を掲載する。本書を読むときの参考としてほしい。
<中原の地理>
中原地方はカナン世界の中でも東部に位置する広大な地域である。東西に数千キロにわたる中原地方には北側に河水、南側に江水と呼ばれる大河と、それ以外にも多数の河川が主に東西に流れている。西側は砂漠とステップ、北側はツンドラと草原、東側~南東部は海、南西側は大きな山地に囲まれたこの地域は古代より独自の高度な文明を発展させてきた。
<中原の民族と言語>
中原の民族は俗に「中原人」と呼ばれている。しかしこれは本当は単一の民族ではない。北方の騎馬民族から南方系の民族まで雑多な民族が混交することによって成立したのが「中原人」という民族なのである。ただいずれにせよほとんどが黒~濃い褐色の髪と黒い目、黄色人種系である。ヤンのように金髪碧眼はまずいない。
言語は「中原語」と呼ばれる言葉が主流である。しかし広大な中原では方言も発達しており、南方の中原語と北方の中原語では単語や文法すら異なるほどである。ヤンやファンは主に北方方言を、ユウジンは南方方言を話すことが多い。
<中原の歴史と国家>
中原は歴史が古く、千年以上前から大きな王朝が既にできあがっていた。中原の王は「天子」と呼ばれ、元々は天をまつるというかたちで周辺の部族の盟主として君臨していたのが始まりといわれる。特に信望を集め、大きな力を持つ英雄王は聖天子と呼ばれて、伝説的な偉業を行ったらしい。魔神の侵攻を打ち破り、中原に初めて国家を作り出した「黄帝」、大洪水を収めた「禹王」などが伝説の聖天子として有名である。その後の千年間にいくつもの王朝が交代したが、いずれも「黄帝」の後継者として天子/皇帝を名乗っている。
しかし後述するように中原にはいまだに古くからの氏族制度が残っている。皇帝といっても自分の地盤となる各地の氏族の支持がなければ君臨することはできないのである。当然ながら中原全土を支配する力を持たない王朝の場合、各地で諸侯が自治を行うことになる。現在の王朝は中原西部~南部を押さえているにすぎず、北部の河水流域(古くからの中原地方であり、もっとも豊かな地域である)は、大都市を中心として諸侯が割拠する状況となっている。
<中原の社会制度>
中原の場合、中央集権は見かけほど発達していない。天子/皇帝が中原全土に君臨していると言いながら、その実は都市国家や部族、氏族集団の連合体としての側面が色濃い。王朝自身も地盤となる部族や地方を持ち、その軍事力とほかの氏族の同盟や支持を得ることで初めて王朝が成立するのである。各氏族はそれぞれが貴族や都市の名士として活躍し、それらを間接的に支配するというのが実際の姿である。楊範伝では関子邑などは典型的な氏族集団の頭領である。彼らは一族からなる私兵集団を持ち、いざというときにはそれを率いて従軍する。皇帝は彼らに町や村を領地として認めたり、中央政府での地位を与えることで体制に組み込む。日本の鎌倉時代に似た社会なのである。
このように中原では氏族社会が色濃く残っている。しかし貴族階級に属さない人々への立身出世の道も開けている。平和とはとてもいえない現状はチャンスともいえるのである。各地の豪族に雇われ、参謀や家臣として活躍することで名をあげれば、中央政界への登用すら不可能ではない。また有名な私塾の卒業生などはその才能を買って豪族や貴族が家臣として雇う例も多い。居候制度である「食客」などはその最たる例である。
中央政権が弱体化している現状では、科挙制度のような官僚登用試験制度や、ヤンが優勝した「天覧武闘会」は十分機能しているとはいえない。これらは中央政権が強い力を持っていたころには魅力的な平民からの官僚登用制度であったが、中央官僚のポストが往時ほど魅力が無くなってしまった現在では、参加者も減ってしまった。「天覧武闘会」も一〇年前のヤンの優勝以来戦乱で開催されていない。
ただ、ある意味では官僚しか生まない科挙制度よりは現状の食客制度の方が様々な異才が活躍するチャンスがあるのかもしれない。
<中原の魔法>
魔法が存在する「楊範伝」の世界では、魔法自身も社会や文化の中に深く影響を与えている。
中原で主に使われている魔法系統は自然力支配(仙術など)や精霊・神性呪文(呪術、儒者の術、各氏族の祭礼)、ルーン制御(易)、忍法に近い兵法術など、さまざまな魔法系が複雑に入り交じったものである。代表的なものを簡単に述べる。
仙術
仙人や道士、左道士などが主に使う術。老子が開祖といわれる。
呪術・各氏族の祭礼
各氏族が古来から部族ごとに伝えてきた精霊呪文。一種の祖霊崇拝だが、それぞれの祖先が持っていた技や知識などを使用することができるため、中原の氏族社会の重要な根幹となっている。貴族の本家などは古代の英雄精霊と祭礼によってコンタクトをとることができるからである。
儒者の呪文
儒家の一門が得意とする呪文。祭礼が元となり発展した魔法系統。自然神や古代の精霊神を儀式呪文によって制御することができる。
易
各氏族が秘蔵していた占術から発展した呪文系。「周易」「連山」「帰蔵」の代表的な書物があるとされる。後者二つはほとんど知られていないが、筮占以外に亀卜術の秘術も載せられているらしい。各国の史官が得意とする。
兵法術
ユウジンが得意とする呪文系。易の影響が大きい儀式魔術や軍事戦術を組み合わせたもの。
最近になって登場したミトラ教(蜜教)の僧侶(琉璋がそうである)が使う呪文は仙術に近いものである。個人の修行による霊力が重要な位置を占める上に、教義にも共通点が多い。
ヤンのような拳法技にも仙術や易など、中原の魔術の影響は強い。ヤンが使う必殺技の中でも「八卦乾天陣」のように明らかに易の魔力を組み合わせた技がある。
<3つの勢力>
現在の中原は戦乱の時期を迎えている。中原南部を基盤とする皇帝『劉衛』の現王朝は、十年ほど前に前王朝を倒した。しかしその成立時に外国勢力である『伽難国』(帝国)の戦力を借りたことにより、北方を中心とした諸侯の反発を招き、その勢力は江水以南にとどっている。全土統一はおろか国内も不安定であり、さらに伽難国…すなわちヤン達の宿敵となる「帝国軍」の専横に悩まされている。
2:ヤンとその仲間たち
ヤン=ハヌマット(楊範)
<プロフィール>
本編の主人公。金髪碧眼の若き拳法家。中肉中背だが、拳法家らしいすばらしい体躯である。頬から堅いふさふさした髭が生えている上に、額には第三の目をかたどった入れ墨まである。出身は間違いなく中原ではないはずだが、どうしたことかヤンは中原語以外はほとんどしゃべれない。
<略歴>
ヤンは弱冠十六歳で『先王朝』主催の 『天覧武闘会』を制し 『武礼撫』爵を得る快挙を成し遂げ、禁軍の将軍となった しかし王宮は肌に合わず数年で下野する。
後に劉衛による新政権の樹立後もヤンは宮仕えはせず、地方都市である会稽の豪族、関氏の元で食客として暮らしていた。ところがそこに遠くサクロニアから謎の魔道師テレマコスらが訪れたことでヤンの冒険がはじまることになる。
<ヤンの素顔>
ヤンはどちらかといえば優等生、おっとりとした語り口調の青年のキャラである。これは「楊範・鄭令蔓伝」が元々TRPGリプレイで、さらにヤンを担当したのが当の竜門寺ユカラ氏であるということを考えると、実際の姿はこうなのだろうと考えてもよい。
さらにヤンは「意外と強くない」。いや、たしかにふつうの雑魚相手にはほぼ無敵とも言ってよい立派な拳法家として描いている。ところがでてくる敵は生半可な相手ではない。壮途編に登場した陳当こと帝国神将ティベリウス、さらに宿敵となるロウハン将軍や聖母教会大女祭アナスタシアなどは、少なくとも普段のヤンの力を遙かに上回る怪物である。いや、敵だけならいざ知らず、実はヤンのパーティーでもテレマコスやリンクスはヤン以上の経験と実力を持つとんでもないキャラクターである。ユウジンやファン、琉璋ですら白兵戦能力だけならともかく、ヤンにはとてもまねできない様々な知識や技、そして人脈で活躍する。
テレマコス
遠くサクロニアからヤン達の住む中原にやってきた魔法学者(魔道師の一種)。この楊範伝を巡るTRPGがプレーされる前から活躍しているキャラクターである。
<プロフィール>
中肉中背、黒髪。三十代前半。あまり身だしなみが得意ではなく、髪の毛はぼさぼさ、服はといえば白衣やポロシャツ、冒険の時は探検家のような服という魔道師というより理系の大学教授という風貌。
<略歴>
「楊範伝」本編でもテレマコスの過去について少なからず語られているが、同じ卓上遊技再演演義シリーズの「シザリオン編第2部」、さらに現在連載中の「リンクスの断片」ではテレマコスの過去がさらに詳しく語られている。
サクロニアでは「魔道師の都」として名高いバギリアスポリスの出身。各種の魔法を修めた後、当時サクロニア地方と緊張関係にあった「帝国」へと渡り、文化や帝国の魔法について二度にわたり調査を行う。リンクスや「みぎてくん」と知り合ったのはこのころである。
帝国とサクロニア諸国の全面戦争「銀竜戦役」を間近に控え、サクロニアに戻ったテレマコスは魔道士達のリーダーとして政治活動、及び帝国の魔法に対抗するための様々な計画を推進する。「銀竜戦役」ではバギリアスポリスの魔道士を指導して帝国の圧倒的な軍事力と魔法攻撃に抵抗するが、ついにバギリアスポリス及びサクロニア主要部は帝国の手に落ちてしまう。
故郷であるサクロニアを失ったテレマコスは古代の破壊神の城塞であった海底都市アンゴルモスに逃れ、そこを拠点として恐るべき帝国の魔法への対抗手段を探して探求の旅を行っている。その一環が今回の中原への調査である。
<テレマコスの素顔>
魔法学者としての実力はすさまじいの一言に尽きる。主に大地と炎を操るエレメント呪文を得意とするが、他の呪文も一通りこなす。多少は精霊呪文なども扱える。
古代のオーパーツの一つ「パンゲラッサの失われた大宝玉」の一つを所持しており、そこから莫大な魔法力を引き出すことができる。ただ、本人に言わせれば「力の不足ならなんとでもなるが、それを形にする呪文が不足」だということである。本作においても、2度ほどこの大宝玉を使用しているが、いずれも命がけであった。
はっきり言っておっちょこちょい。いつも重々しそうな態度をしているが、実際はかなりいい加減で失敗が多い。特に魔法分析の失敗で大混乱を生んだことは数知れずある。
年齢のわりに年寄り臭い言葉遣いを好む。ひとつには魔法学者としては年齢が若い割に、重要な地位を占めることとなってしまったせいがあるだろう。見かけも年齢の割には老け顔である。魔法使いらしいやせこけた体型ではなく、どちらかといえば太目らしい。
知識と理性を重んじる魔法学者であるにも関わらず、テレマコスは情に厚い性格。理性的な判断よりも人情を重んじるところがある。そういう点が失敗の原因となることも多いが、仲間達が彼を支持する最大の理由となっている。
リンクス
テレマコスとともにサクロニアからやってきた剣士。TRPGセッションではNPC。
<プロフィールと略歴>
テレマコスが見つけた「鎖の剣奴」の少年、それがリンクスである。「鎖の剣奴」とは、強力な呪文によって魂を呪縛、肉体を強化された奴隷、いわば生体兵器である。記憶も完全に破壊されており、彼は自分の過去を知らない。大魔道士であるテレマコスはなんとか彼を元の人間に戻そうと研究を進めているが、いまだにその呪縛を解除することはできていない。
外見は浅黒い肌と黒髪、丸っこい顔をした少年だが、体は背丈をのぞいては少年とは思えない筋肉質。要するにミートボール系。さらに全身には無数の傷跡がはっきりと残っている。
妙に機械的なデザインのヘッドギアを常につけているが、これはテレマコス達サクロニア地方の魔法科学で作られた特殊な装備である。このヘッドギアのおかげでリンクスはかなり強力なサイオニクスパワーを使うことができる。元々の恐ろしいほどの戦闘術に加えて、サイオニクスを使えることでこの少年剣士はしばしばヤン以上の実力を示す。しかしヤンの感じるとおり彼の戦闘はまさしく「殺人術」であり、ソルジャーとしてのものなのである。
テレマコスやその仲間達の暖かい愛情に囲まれ、リンクスは次第次第に人間性を取り戻し、今では普通の少年のような笑顔を見せることも多くなった。しかし恐るべき強敵「帝国」の前に、この少年は今なお戦いの道を歩み続けているのである。
<リンクスの素顔>
ヤンがリンクスを最初に見た時の第一印象は「人を殺すためだけの剣を持つ目」だった。闘いに一切感情を交えず、冷静に相手を倒してゆくというタイプである。
とにかくこの少年はまじめである。生真面目といってもいい。記憶を失った上に闘いだけを教わって育ったのであるから無理もない話である。冗談が通じない上に無駄口もあまり利かないという困った性格である。
ところがこのすさまじい少年剣士は、びっくりするくらい純粋でうぶである。あんまり生真面目な性格であるからこうなるのであろうが、とにかくファンや琉璋におちょくられてどうしようもない。口べたで世間慣れしていないので、とくにファンのような「お姐さま」にはどうしようもないくらい弱いわけである。こういう点はヤンとも共通する点で、「戦闘バカ系」キャラの特徴と言うべきだろう。
しかしこういう素直すぎる反応すら、昔のリンクスを知っているテレマコスから見れば驚きなのである。戦闘マシンとして育てられた彼がここまで感情を素直に表すことができるようになったと言うことがすなわち、この少年剣士の呪縛が確実に消失しつつあることを示しているからなのである。
ファン(苗香蘭)
ヤンのパーティーに転がり込んできた美貌の女スパイ。「楊範伝」TRPGセッションで初めて登場したキャラクターだが、プレーヤーはTRPG経験も豊富な女性ということで大活躍だった。小説版でもヤンやリンクスをおもちゃにして大暴れしている。
<プロフィールと略歴>
後宮の諜報組織「紅蛇」の凄腕スパイ。本名は苗香蘭。「紅蛇」は後宮を拠点に歴代の皇帝・皇后に仕えてきた諜報組織である。
外見は髪の毛をアップにして、チャイナドレスを着たお姉さんである。竜門寺ユカラ氏のイラストだと個人的にはちょっと「おねえさん」らしさが足りないような気もしているが、この辺は好みの問題だろう。
彼女自身の幼少時代については詳しいことはわからない。どうやらヤンが将軍をしていた頃には既に後宮にいたらしい。
ヤンを操って反帝国・勤王の軍隊を集めさせようと言うのが彼女の任務である。しかしなんだか彼女は任務なんかそっちのけでヤンと冒険を楽しんでいるようである。
<ファンの素顔>
凄腕の女スパイというふれこみは伊達ではない。リンクス以上といっても良い忍び能力と変装術、さらに後宮に伝わるすさまじいまでの魅惑の技は驚くばかりである。拳銃を愛用しているが、格闘術もよくするようである。
海千山千の女スパイということもあって、単細胞の男連中を手玉に取ることなどお手の物である。ヤンだけならともかくリンクスすらおもちゃにしているのであるから大したものである。
本質的には都会の人といっていい。もちろん任務で全国各地を飛び回っているのだが、やはり田舎になると退屈してしまうらしい。必要ならば野宿もするが、基本的には宿を非常に愛する。さらにグルメで酒も強いというなかなかやっかいな女性である。
彼女は高級の美人らしくファッション、舞踊や楽器なども得意である。しかし意外なことに趣味として「同人小説」でも活躍している。後宮の女官達は教養も高く、同人小説を書いているものも少なくない(「源氏物語」や「枕草子」は世界最初のの同人誌であろう)。彼女もラブロマンスやら冒険小説、はてはヤヲイ本まで暇を見て書いているらしい。
しかし本編の後半ではいよいよ後宮のもう一つの顔「媚人」としての力を発揮してヤンを大いに助ける。このストーリーのもう一人の主人公と言って差し支えないだろう。
ユウジン(厳悠仁)
ヤンの親友である巨漢の兵法家。「楊範伝」TRPGセッションで初めて登場したキャラクター。本人の役どころだけでなく、彼の背後にある「鬼谷子一門」というグループもストーリーで重要な位置を占める。
<プロフィールと略歴>
中原の南東部、会稽郡の出身。本名厳悠仁。年齢はヤンとほぼ同じ。背丈は一九〇cm以上の大男である。ユカラ氏の絵では無精髭を生やしていることが多い。
兵法家で名高い鬼谷子の元に入門、兵法と剣術を修める。鬼谷子の学校では単に軍事戦術だけではなく、軍用呪文や儀式呪文、歴史や地誌、経済学なども含めた総合的な技術を教えているため、ユウジンもこれらのことを一通りは学んでいる。
鬼谷子の学校を卒業後、彼は勤め先を探すために都である開陵府をはじめ各地を転々とするが、結局出身地である会稽郡の豪族、関子邑の食客として抱えられることとなった。この関氏の元でユウジンはヤンやテレマコスらと出会うことになるのである。
<ユウジンの素顔>
イラストで既にご存じだろうが、ユウジンは無口でぬぼ~っとしている。
ユウジンは一応名門私塾である鬼谷子一門の出身と言うことになっているが、どうもその実体は戦士に近い。一応いくつかの魔法(鬼谷子一門の魔法は「兵法」の一環)も持っているのだが、ほとんどまともに使った様子はない。大きな剣をぶんぶんと振り回す方がどうやら気性にあっているようである。それに使い慣れない魔法をつかおうとしても、使いどころが今一つわからないようである。また交渉ごとや情報収集もあまり得意とはいえないようで、これでどうして兵法家なのかと言われるとたしかに納得するものがある。逆に剣の方はリンクスほどではないものの十分すごい実力である。
まあしかし肩書きはともあれ、ユウジンというキャラがヤンと不思議に相性がよいというのも事実らしい。無口でのんびりしているせいで、気兼ねをしなくて良いのである。数少ないヤンの心を許せる友人といっていいだろう。
御坊(琉璋)
ヤンたちが助け出した「蜜教」(ミトラ教)の僧侶。「楊範伝」TRPGセッションで初めて登場したキャラクターである。
<プロフィールと略歴>
琉璋についても本編が終了した時点でも過去のことははっきりとは語られていない。その学識と台詞から見て、おそらく宮中にいる学僧か祈祷僧であったのではないかと思われる。事実上位回復呪文(『遠隔治療』)や、ヤンを正気に戻した『狂気の治療』など、意外なほど高等な回復呪文を使いこなすところを見てもかなりの過去を持っているはずなのだが…
<琉璋の素顔>
はっきりいっておちゃらけ系。調子がいい上に臆病、そのくせヤンから絶対に離れないという厄介なキャラである。まあもっとも現時点では凶暴化したヤンを止めることができるのは琉璋しかいないのだから、いなくなると大幅に困ってしまう。
実際の話戦闘にはほとんど役に立たない。回復呪文はすごいのだが、白兵戦闘力は丸でないのである。回復屋の宿命だろうが、誰かがけがをするまで仕事がないというのもいつものことである。全くと言っていいほど前線に立てないので、ヤン達にとっては彼を守ることも重要な問題である。
彼の宗派であるミトラ教というのは、要するに仏教のようなものである。楊範伝の世界では仏教が伝来したばかりの時代と考えればよい。もっとも社会制度などはむしろ春秋戦国期の雰囲気を色濃くしているのだが、ともかく琉璋の宗派は最近伝来したばかりのものである。当然お経も外国語のままなので、琉璋もいくつかの外国語を読み書きすることができる。
調子乗りの琉璋だが、実際には重要な情報を握っているということも少なくない。元々宮中の学僧だったらしいということもあり、歴史や政治などの知識は豊富で、ヤンはおろかユウジンよりも詳しい。壮途編でヤンが狂暴化したときも、ヤンに宿る精霊神の正体をすぐに見破ったのであるから、呪術や鬼神に関する知識も豊富である。意外なところで意外な知識や技が飛び出してくるのがこの琉璋の売りということである。
次回予告
今回は、中原世界情勢とヤンのパーティについて触れた
次回以降『帝国』の面々やその他の人物などについてまとめていきたい。
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