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炎の魔神みぎてくんのほん

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卓上遊技再演演義シリーズでも活躍するみぎてくん、陽気で元気、食いしん坊でドジな炎の魔神族、みぎて大魔神ことフレイムべラリオスが人間界に留学!相棒コージや講座の仲間と繰り広げるほの…
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2022年6月の記事一覧

炎の魔神みぎてくん POWER LIVE ⑦「アンコールなんて話になったら」

7.「アンコールなんて話になったら」  ステージの上にはアンプやなにやらがぞろぞろと並べられ、いかにもロックコンサートという状態になっている。ドラムセットやアンプ、でっかいスピーカーなどが並んだ光景は、間近で見るとやっぱり迫力がある。コージの楽器はアコースティックなので、こういうアンプの類は使ったことがないということもあって、実物をこんな距離で見るのは初めてなのである。  スタッフに手伝ってもらってすばやくセッティング(妙な楽器ばかりなので、据え置きの機材はほとんど使えない

炎の魔神みぎてくん POWER LIVE ⑥「『地獄谷温泉振興会』の登場です!」

6.「『地獄谷温泉振興会』の登場です!」  昼を回った大学構内は、大学祭に参加する学生はもちろんのこと、よそから遊びに来ている女子大生や高校生、はたまた生協祭りで買出しを狙うおばちゃんまで、結構な人出である。普段の構内の人口密度から考えると、およそ二倍という感じがする。もっとも大学というものは往々にして「人口密度が高い時期は四月(つまり学生がちゃんと授業に出る時期)だけ」というものであるから、この程度が本来のこの大学の人口なのかもしれないが…  構内のポプラ並木沿いには仮設

炎の魔神みぎてくん POWER LIVE ⑤「まともなセンスを期待した僕が」

5.「まともなセンスを期待した僕が」  バビロン大学大学祭「秋霊祭」の二日目(土曜日)は、よく晴れたさわやかな日だった。もうイチョウの木は見事に黄色くなっているし、大学のメインストリートにはえているポプラも、丸い実が目立ち始めている。青い空と見事な黄葉はすばらしいコントラストである。  大学祭は実は昨日から始まっているのだが、やはりお客の数は土日のほうがはるかに多い。金曜日は結局のところやってくるのは学内の連中だけであるし、土日になれば近所の女子大生や高校生、それから一般の

炎の魔神みぎてくん POWER LIVE ④「できる!ロックはハートだっ!」

4.「できる!ロックはハートだっ!」  さて、そんなことでいきなりバンドを組んで学園祭参加ということになったコージたちは、翌日から大学の研究室に集まって緊急の練習会を開始することになった。まあ学位論文提出が終わった直後ということで、講座のほうもとりあえずは何も用事は無い。もちろん細かいことを言えばいろいろ問題があるのだが、今回はポリーニの研究発表という側面もあるので、その点は無視である。  しかし実際に楽器をそろえてみると、これがまた頭が痛くなる話だった。ディレルが小型の竪

炎の魔神みぎてくん POWER LIVE ③「げげっ!やっぱり知ってた!」

3.「げげっ!やっぱり知ってた!」  宴会も一時間を過ぎて、いよいよカラオケの対決は熾烈となってきた。いや、別に対決という話にはなっていないのだが、このまま放置していればセルティ先生がマイクを離さないのは確実である。こういう場合は「たくさん歌ったものが割り勘勝ち」という厳然たる事実がある。  というわけで、コージやポリーニ、ロスマルク先生も歌集から一生懸命になって歌を探すことになる。もちろんみぎてもであるが…こういう激しい(バトルといってもいい)カラオケではこの魔神にはかな

炎の魔神みぎてくん POWER LIVE ②「あたしがあれくらいのことで」

2.「あたしがあれくらいのことで」  それからの二週間というものも、コージとみぎて、それからディレルの生活というものは大体同じような状況であった。論文最後の追い込みということで、全員そろって十時、十一時が当たり前の生活である。もっとも幸いにして徹夜の連続というところまでは行かないで済みそうな点だけは、普段ぐうたらなコージにしてはすごい話かもしれない。もちろんこれはみぎての予想外の活躍…つまり作図を一手に引き受けてくれるという奇跡のような応援があってのことである。その分だけコ

炎の魔神みぎてくん POWER LIVE ①「俺さまも最近は人間族の歌」

1.「俺さまも最近は人間族の歌」  十一月ともなると、バビロン大学の構内の並木もいっせいに秋の様相に変わる。大きなポプラやプラタナスがいっせいに褐色へと変わり、風が吹くごとに枯葉を落とし始めるからである。ポプラなどはしばしば硬くて丸い実まで、まるで人の頭を狙ったかのように投下するのだから、街路樹の下を歩くのもちょっと勇気がいる。もしかしていたずらものの精霊が宿っているのかもしれないが、これも秋の風物詩である。  もちろん秋のバビロン大学風物詩といえば、ポプラ爆弾だけではない