見出し画像

ウォーキング風呂グ VOL.3 湯処葛西

【妙見島〜葛西コース】

せっかく歩く趣味ができたのにこの暑さはなんだ。とてもじゃないけれどこんな状況で10キロ歩くのは無謀だな…と精神がひ弱な私は早くも挫折しかけている。あまり冒険にはならないが、自宅から3キロ圏内の湯処葛西を目指して歩くことにした。
ここは去年みつけてすでに20回以上通っているスーパー銭湯だ。

浦安駅を越えてやなぎ通りを右に折れると橋が見えてくる。途中右手に木造の青い一軒家があるのだが窓を覗くと薄暗い中に無数の鳩が暮らしていることがわかる。木造二階建ての家まるごと専用鳩小屋という異様な、いや素敵な有り様だ。以前から気になっているのでお近くの方はどうか静かにご覧になっていただきたい。

そこからまっすぐ浦安橋を渡るのだが途中下に現れるのが東京23区唯一の自然島「妙見島」だ。

妙見島は全長700メートル、幅は200メートルという極小の島で形としてはマンハッタンのようでもある。しかしその内実はマンハッタンと趣がまったく違い、そこにあるのは釣り場とラブホテルと工業地帯のみというなかなかに荒んだ空気が漂う島だ。前に降りて探検したことがあるのだが、すれ違ったの工場非番と見られるおじさんフラフラ1人歩いているのを見かけただけという閑散具合だったので少し怖かった。
東京DEEP案内という人気サイトでも取り上げていたようなので皆様にもおすすめしたい。

浦安橋を越えるともう江戸川区葛西である。左に降りて川に沿うように歩きながら進む。
この通りにもいくつか船宿がある。船宿で稼いでいた家なのかわからないが、このあたりには古い瓦づくりの立派な家がやたらと多い。いまどきフランチャイズじゃない個人ブランドのコンビニもある。素晴らしい。
鉄の朽ちた古アパートもあった。人はもう住んでいない感じだが廃墟独特の美しさがあって味わいがある。

江戸川水門から葛西臨海公園までの旧江戸川沿いのコースを進みながら清砂大橋通り。
通りに出たら右に進んでローソンの角でバス通りを左折すればあとはまっすぐだ。


こういう保育園の作絵ってどうやって設計するのかしら。

南方向に15分ほど歩けばホームズやアリオ葛西の赤い三角屋根が見えてくる。その手前に湯処葛西はある。

【湯処葛西到着】

湯処葛西は温泉ではなく完全なる沸かし湯のスーパー銭湯だ。露天風呂が広く、湯温も高くないので肌の弱い方でもゆったりと入りやすく非常に現代風の好みのお風呂といえるだろう。管理が行き届いて洗い場もお風呂も常に小綺麗にしているので気持ちがよい。土日大人は入場料700円。周辺のマンションに住む子供連れが多く値段設定も時間設定もそういった層に向けているということがわかる。
タオルは別料金なのでできれば小タオルを持参すべし。靴箱と着替えロッカーは返却コイン式になっており、それぞれ100円が必要となる。
食堂もついてはいるが、一旦風呂出るともう一度入るときにはまた別の入場料がかかるのが難点ではあるが、20回以上の滞在でこれは耐えられない!といったレベルの混雑には遭遇したことがなく、比較的のんびり入れる良いお風呂である。

内湯には「銭湯とは…」ではじまる昔は子供を叱る近所の銭湯じじいがいて…とか子供は老人の体を見て将来の自分の姿を思い浮かべる…みたいなコラム看板が貼ってあるのだが、銭湯のオーナーが持っているスピリットが控えめに現れていてよい。内湯の温度は41度ぐらいだろうか?水風呂はやや高めの24度。
サウナはスチームとドライの2タイプあり、ドライの方は30人ぐらい入る大きめスペースにテレビもついている。露天風呂はかなり広く、ラジウム湯とぬる湯、あつ湯、寝湯、打たせ湯、バブルバスなど6種類ある。あつ湯は夏場は41.5度程度。ぬる湯は38度、ラジウム湯は39.7度とちょうどいい。露天は周囲は完全に隠されているので景色は楽しめないけれど、和風東屋のような屋根や岩風呂造りも頑張っていて旅館風の風情がある。
お湯はそこまで柔らかくないがカルキ臭さも少なくてなかなか気持ちのよいお風呂だと思う。
更衣室は248個のロッカーがあり、洗面スペースには無料のドライヤーも8個ぐらい設置してある。

【実は癒やし処がすごいんです!!】
●その1 アカスリコーナー
ここのお風呂の素晴らしさはお風呂自体というよりも癒やし処の実力によるものが大きい。
お風呂内に併設されているあかすりの価格帯に注目してほしいのだが、周辺マンションの子育てに忙しい主婦層の日常使いに合わせているためなのか、大江戸温泉物語湯巡り万華郷などに比べると時間設定が短い分安い金額で試せるようになっている。小顔フェイシャルがなんと4500円なのだが、このコースはリンパを通して小顔にするという性格上結局は顔だけでなく全身をマッサージしてくれるという素晴らしくコスパのよいコース。ただしあかすりのお姉さん達によればマッサージでこするうちに垢が出てくるということなのでこのコースの前にあかすりを受けることを切願してくる。そこをどういなせるか。心の強さが試される。

夏場のキャンペーンであかすりと全身+フェイシャルで7000円のコースを出しているので今はそれがおすすめ。時間もコンパクトなのでちょうどいい。

●その2 整体マッサージ
とにかくここの整体マッサージのレベルの高さには毎度舌を巻く。風呂は利用しなくてもここの整体目当てに毎日通っているリピーターが私が知っているだけで何人もいるほどだ。大手施設には、来る客のほとんどが一見さんということもあり、とりたてて技のないマッサージ師ばかりが在籍しているように思える。その点ここは地元の客相手なので、本当に優れた整体師が集まっているように思う。もしくは訓練する人が上手なのか…とにかく陸軍中野学校のように精鋭達があつまっているサロンなのである。予約も何時間前にする必要はまったくなく、たいていはその場ですぐ受け付けてくれる。
あんまり教えたくないけどK井さんとO本さんは鉄壁ゴッドハンドだと思う。他の方も、イマイチの腕だったのは一人ぐらいしかいない。
K井さんとO本さんはマッサージの指力と温かさ、的確な角度、ふっくらした指腹の弾力すべて完璧なのだが、並のマッサージ師と違うのは、支点力点作用点を心得てマッサージしていると感じられるところである。常に自身の膝や空いた手などを巧妙にクッションとして使い、マッサージを受ける側に一切負担をかけずに無重力状態をつくりだす。そうして受けるマッサージはまさにヘブン、夢心地だ。
値段は流行りの2980円マッサージに比べれば倍近くするのだが、違いはきっとわかっていただけると思う。ただし施術ルームにはカーテンも何もなくそのへんの色気はまったくないことをお断りしておく。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?