【製造業DX】輝け、ファクトリーサイエンティスト!!
どーも、しぶちょーです。
まずは簡単に自己紹介をします。 私は普段は機械メーカに勤務して製品開発の仕事をしている技術者です。あまり日常には馴染みがないですが、「工作機械」と呼ばれる産業機械を設計しています。その傍ら、X(旧Twitter)(@sibucho_labo)やブログで“ものづくりに関する情報発信“を行っています。
皆さんは・・・ファクトリーサイエンティストを御存じでしょうか?
「ん?ふぁくとりー・・・なんだって?」と思ったそこのあなた・・・もっと情報に対するアンテナを張り巡らせないかも!?
とはいっても、ファクトリーサイエンティストは、まだまだ最近始まった取り組みで、まだまだ認知度も高くはありません。しかし、今後の日本の製造業DXにおいて極めて重要な役割を担うことは間違いないでしょう。是非とも、この機会にファクトリーサイエンティストの存在、そしてその活動について知っていただければと思います。
【お知らせ】
本記事はケムファク(@chem_fac)さんが企画した「製造業DX」アドベントカレンダーに合わせて執筆しております。もしご興味があればぜひ参加ください!まだ、クリスマスまでは日がありますのよ。今年勉強した、もしくは関わった"製造業DX"について発信しちゃいましょう!!
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
オススメの動画
まず初めに、本記事は上記のプレゼン内容に沿って執筆しております。文字を読むのがめんどくさいなぁ、という人は是非この動画を見てください。10分程度でサクッと見れる動画となっています。超絶イケメンが、死ぬほどわかりやすくプレゼンしてます。まぁ、私のプレゼンです(白目)
それでは本編にいきましょう!!
社内のDX、上手く進んでますか?
そう聞かれて、自信満々に「YES」と答えられる人はごくごく少数でしょう。それこそ、自分のことを超絶イケメンと自称する人くらいに稀だと思います。日本の製造業のDXが進んでいないのは、下記のデータを見ても明らかです。
これは「データの収集・利活用の有無」においての調査結果ですが、約40%の企業がデータを活用できていないということです。「逆に6割できてれば上等じゃね?」という意見もあると思いますが、実は企業の事業規模別に見て見ると実態はより深刻です。
先ほどの円グラフ同様、「データの収集・利活用の有無」においての調査結果が事業規模別に分かれています。上に行くほど小規模、下に行くほど大規模な企業となります。図ったかのように美しい直線が描けます、そう企業の規模が小さくなればなるほど、データの収集・利活用ができていないのです。つまり、中小企業の半数はデータ利活用ができていないということになります。
「お金と技術のある大企業がデジタル化を牽引してくれればいいじゃん」
と思っても、そうは問屋が卸しません。日本には製造業関連企業が約66万社あると言われていますが、その中で大企業という括りに入るのは、なんとたったの4000社のみ。つまりは日本の製造業は99.5%が中小企業なんです。大企業が牽引できる範囲などたかが知れているのです。中小企業が自らDXに取り組まなければ、日本の製造業DXは進んでいかないと言っても過言ではないのです。
では、中小企業はただ指を咥えて見ているだけかと言われたらそうではありません。DXのトレンドに沿って、データの活用などに必死に取り組んでいます。ただ、苦戦を強いられているという現状があります。
このデータは少し古いものづくり白書からの引用ですが、2016年から2019年にかけてなんと不思議なことに、データ収集の行っている会社の割合が減っているのです。デジタル化・DXと声高に叫ばれる昨今で、まさかのタイムスリップ!!これはつまり、取り組んでは見たものの効果が実感できなかった、続けることができなかったということです。中小企業がデジタル化に取り組む際の課題として
などが挙げられています。なぜこんなことが起きてしまうのか。その実態をモデルケースに沿ってみていきましょう。
中小企業がDXを行う際の問題
とある中小企業の社長が近年のDXのトレンドを聞いて
「よっしゃ、わが社でもDXだ」
と思い立ったとしましょう。最初に考えるのはシステムの導入です。ITベンダーから話をきいて、なんだかカッコイイ見える化ツールをいっぱい提案されます。
「ほほう、これは期待できそうだ」
と早速、導入して社内の見える化を行っていきます。しかし、データは集まってくるものの、なかなか利益には繋がりません。集めたデータを上手く利活用することができないのです。それはなぜでしょうか?答えは、現場のほとんどがデジタル化できていないからです。
見える化ツールで見えるのは、あくまでもデータとして集められる部分のみ。そこだけを見て判断することはできないのに、半端な見える化を行ってしまった故に、見えていない部分・・・つまりデジタル化できていない部分を無視して判断してしまうようになります。すると、今度はどうなるか。経営層と現場との間にギャップが生まれてしまいます。
見える化ツールを導入したことで、逆に自分たちの業務が苦しくなる。それでは、現場はたまったものではありません。現場の実情を無視したデジタル化により、現場とのギャップが生まれ、社内でのデータ利活用を止めてしまう。そういうケースが後を絶ちません。
私の知人の工場では、機械の稼働率だけが見える化され、とにかく稼働率を上げろと言う通達がトップダウンで現場に下りてきたようです。様々な段取りや現場の事情があるにも関わらず、一切無視されて機械の稼働率でしか現場が評価されなくなってしまいました。そのため、苦肉の策として「夜中に機械を空運転させる」ことで見せかけ上の稼働率を上げる、という対策が取られたようです。社長も稼働率の数字が上がって大喜び、めでたしめでたし・・・本末転倒もいいところです。これまさにトップダウンのデジタル化の弊害と言えます。
では、一体どうすればいいのでしょうか?
ボトムアップのデジタル化
必要なのは、作業者が自分の仕事を楽にするためのデジタル化です。仕事を監視するためでなく、自分の仕事を効率化するために取り組む現場主体のボトムアップのデジタル化が製造業のDXには必要なのです。
現場主体のデジタル化が進めば、現場のデジタル化できていなかった部分がデジタル化されデータが収集できるようになってきます。そうなれば、こっちのもの、トップダウンで行ってきたデジタル化と繋げて、会社全体でDXの取り組みが行えるようになります。挟み撃ち作戦です。
じゃあ、現場主体のデジタル化を先導するのはだれか、トップダウンのデジタル化につなげるのは一体誰なのか・・・
そう、それがファクトリーサイエンティストの役割なのです。
ファクトリーサイエンティストって何だ?
ようやく本題、ファクトリーサイエンティストの話です。ファクトリーサイエンティストを一言で表すなら「社内で生み出すデジタル人材」と言えるでしょう。
デジタル関連の経験が全く無い人でも、ファクトリーサイエンティスト育成講座を受講すれば、データを活用して現場を変革するDX人材へ変身することができます。
ゴリゴリにプログラミングができるITエンジニアになる必要はありません(そもそも、この講座だけでは無理ですが)。自社の業務を深く理解した社員が、デジタルという抽象的な技術を正しく理解してある程度使えるようになる・・・それだけでも大きな価値となります。
餅は餅屋ですから、ITのシステムはITベンダーに任せればいいのです。ただし、デジタル技術で何ができるのか、自社では何を価値とできるのか、その判断を餅屋に委ねてしまっているから現状の製造業DXは進んでいかないのです。餅屋は餅を作るだけ、どうやって餅を食すかは自分で判断することなのです。
このファクトリーサイエンティスト育成講座でどのようなことが学べるのかは、別の記事にまとめてありますので、興味のあるかたはそちらをご覧ください。
現場力 x デジタル化
現場を見渡せば、創意工夫を凝らした治具がたくさん転がっていますよね。日本の製造業の強みの一つは現場力です。デジタル技術もつまるところ、ツールの一つです。それは現場で使われるドライバーやスパナと変わりません。まるで金槌を振るかのように、そんな感覚でIoTデバイスを使う。そこまでデジタル技術が現場に浸透すると、日本の現場力とデジタル技術が掛け合わさり面白い化学反応が起こるかもしれませんよ。ファクトリーサイエンティストは、そんな面白い化学反応を起こすための科学者といってもいいかもしれませんね。
その他のお知らせ
Maker Faire Tokyo2023 講演動画
ファクトリーサイエンティスト協会の理事と講師がMFT2023で講演した内容が動画となっています。是非ともご覧ください。
第1回FS工作機械活用講座 受講者募集開始
工作機械に特化したオプション講座が始まりました。MT CONNECTという工作機械で使われる共通の通信プロトコルを用いて、汎用のIoTデバイス(M5Stack)を使って工作機械本体からデータを抜いて活用するということを体験できます。ゴリゴリに私の業務連絡ですが、ご興味あれば是非!!
参考情報
ファクトリーサイエンティスト協会公式HP
ファクトリーサイエンティスト協会YOUTUBEチャンネル
ファクトリーサイエンティスト協会Xアカウント
私のファクトリーサイエンティスト関連の情報発信
オフィシャルじゃないですけど、ここにまとめておきます。音声配信で何回か喋ってます。大掃除がてら、ながらで聞いてください。
少しでも、ファクトリーサイエンティストを知っていただけば幸いです!
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