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vsヴィッセル神戸

【前半~1人2役のサンペール】怪我なのか、怪我じゃないのか不明だが、神戸は前節からフェルマーレン⇒サンペールと1枚だけ変更。サンペールを中央のCBに配置して、大崎を左CBへスライドしたのだが、ただそこは選手の役割を根本から変えてきた。ゴール裏からキックオフを待ってチャントを歌ってキックオフを待っていたが、キックオフの時点でサンペールがCBに配置されたことに気付いたが、正直に言ってたぶんキックオフの時点だけでそのあとはアンカーに入るのだろう、と高みの見物をしていた。しかしすぐにそれが間違いであるとわかり、試合を通して見るとその起用法にも非常に納得した。サンペールが1人2役(CB+アンカー)を担うことで神戸は12人になり、ボールを数的優位で保持できるようになっていたのだった。

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このようなCBの役割の多様化はfootballistaという雑誌(オンライン版あり)に色々と記事があるので、今回はその中でも最新のもののリンクを貼っておきます。(https://www.footballista.jp/column/76267

さて、話を試合に戻そう。保持ではサンペールが数的優位となる立ち位置を取り前からのプレスを剥がして前進、非保持では前からプレスを仕掛ける神戸に対してボールを握れず、また持ってもなかなかうまく回らないセレッソ。これは後半と見比べて気付いたのだが、いつもの通り運ぼうとしても古橋、藤谷(小川)、酒井、山口のチェックと連動したラインのスライドが早いため、横に揺さぶってもあまり揺さぶれなかったこと、ピッチが滑るためサイドがうまく起点として使えなかった点があった。とは言え、シュートをたくさん打たれたものの、守備ラインはプレビュー通り4-4のブロックを敷くことで侵入を許さず、苦し紛れのミドルシュートに持ち込めたため、開幕戦の神戸戦同様にそこまで不安にはならない展開。恐らくお互い(特に守備に定評があるセレッソは尚更)に前半は0-0で終われば悪くない、と考えていたのでしょう。ピンチとして顕在化したのはやはり水沼が前のCB大崎にチェックに行き、イニエスタがその空いたスペースに流れてくることで酒井高徳を掴めないシーン。この時、松田+ボランチで対応しなくてはなりませんが、そこは水沼や奥埜の献身具合を堪能できる瞬間で、彼らは自分の後ろを使われたときに一目散に駆け戻りプレスバックを敢行してました。そのため、掴めないがゆえに危なそうになるものの、水際で防ぐことができました。また最近数試合で守備が少し緩慢になった印象のあった柿谷ですが、今節では全く問題なく、いやむしろいつも以上に守備のタスクをきっちりこなしており、ポドルスキの中に切り込んでミドルシュートという恐怖はあったものの、そこまで不利にも感じられませんでした。そのため左サイドは非保持ではピンチをあまり作らせず、保持の際に丸橋が大きく上がる、と保持・非保持の両局面においても柿谷が機能してました。ただポドルスキが下がって受け、逆サイドの酒井へロングパスするシーンは揺さぶりが激しくいつ決壊してもおかしくない状況を作られました。こんな風に非保持はイニエスタやポドルスキに振り回されるものの、相手のミスにも助けられてなんとか耐えた前半、といった印象でしょうか。一方、課題がありありと出たのが鈴木、奥埜のところに収まらなかった点。相手は枚数を多く配置しているので、激しく後ろからプレッシャーをかけつつ、下がればボランチで挟みに来るので、手を焼いていました。また水沼は内側に入って酒井を引きつけようとするものの、そこで古橋が戻るタスクをこなすので、中々相手の枚数を減らせず、非保持に続いて非保持でも数的優位をなかなか作れません。守備は及第点ですが、攻撃が今年を表すように停滞していた印象です。

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【後半~パススピードが上がったことで攻めるシーンを増やす展開】後半はパススピードが上がり、セレッソは前半よりも相手を剥がして攻撃に力をかけ始め、神戸は逆に奪って古橋やビジャの裏をスピーディに突く展開が増え始め、サンペールと山口を押し上げる時間が増やす展開に。解説も「攻撃のヴィッセル・守備のセレッソ。1点を取った方が勝ちに近づく」と言っていました。そんな中、まずは策士ロティーナが動きます。ボールが収まらなかった鈴木に替えて怪我から復帰した清武を投入し、柿谷をFWへポジションアップ。そして清武は柿谷よりもポジションを下げることで相手を食いつかせ、WBとCBを分断することでスペースを作りだし、そこに柿谷が得意の走り出すことで丸橋やボランチから幅と深さを取って受ける形を作り始めます。

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ただ、攻めてもシュートになかなか持ち込めず、打ってもゴールが決まらない中で神戸も拾ったボールを素早く前に運び出す形が続く中、68分にはあわやというシーンをジンヒョンがナイスセーブ。今季の守備は仕組みに加えて、ジンヒョンのスーパーセーブに助けられているが、今節もまた何度も助けられていた。これだけ守って、ポストにも助けられて負けたのだから、守備陣としては脱帽と言ったところでしょう。また、失点のシーンは古橋のシュートも巧かったが、その手前でラインを押し上げるのに時間をかけてしまった点、戻り遅れた山口を放置してしまった点が失点の要因となってしまった。

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点を取ってからはサンペールがリスクを取って上がらなくなり、仮に受けに上がるなら山口が下がってリスク管理を徹底する神戸。失点後は相手がやや下がったこと、高木が裏で何度も受けることで相手を押し下げ、ボールを拾えてチャンスも作れたが最後まで決まらず。高木は酒井の後ろから走りこんでヘディングする惜しいシーンがあっただけにヒーローになってほしかった。

【感想】今節のMVPは軒並み古橋だったが、個人的にはサンペールを推したい。1人2役を演じ、CBとしてもしっかりした位置に立ってセレッソのクロスをシャットアウトし、攻撃ではアンカー役として前に出て水を運ぶ役割を担っていた。モダンCBの使い方としてすごく興味深い試合だったと言える。そしてサッカーは良い内容でも勝てるとは限らず、また悪い内容でも勝つことがあるスポーツ。特に今年はロティーナが「勝っても負け手もおかしくなかった試合」とコメントし続けてくれたおかげで、「まぁこういう日もあるわ。次や次!」と切り替えられた。(もちろん負けずに済んだ可能性もあり、非常に悔しかったですが・・・)ただ、たぶん去年までの私なら「なんやこの試合。負けるなよ。トシ決めろよ!」などと感情的になっていたかもしれない。そこは見る側としての自分の成長を感じた試合でもあった。今節は柿谷の躍動、清武の復帰、亜土夢の引っ掻き回し、トシの裏取り、ジンヒョンのスーパーセーブなど良いシーンがたくさん観れた試合だったし、次節に期待したい。特に清水には前半戦でくだらない負け方をしている。リベンジを果たしたいところだ。

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