ルクセンブルク、城壁とLED

ヨーロッパ横断旅行4日目。

ルクセンブルクは何百年にも渡り周辺国から領土を守るため要塞国家として発達していった。そのため都市の見どころはやはり世界遺産として登録されいる城や要塞の数々だ。取り敢えず石畳の道通りを散歩しながら中世の雰囲気を味わい、昼時には静かなカフェなどでお茶でもしようと思い電車を降りた。

中央駅周辺は人と工事看板でごった返していた。旅行鞄を持った家族が急ぎ足で道を渡り、スーツを着込んだ会社員が電話をしながら小走りにコンビニを出ていく。見渡すと丁度3本クレーンが稼働しており、何やら鉄骨らしきものをぶら下げていた。思った以上にモダンというか都会。そりゃそうか。

ここから30分も歩けば歴史と要塞都市の面影が垣間見える旧市街地に着くらしい。

歩き始めてすぐ異変に気付いた。

旧市街地に近づくにつれ、中世の建物と共に観光バスや観光客の自撮り絵図も増えているのだ。当たり前といえば当たり前ではあるのだが、想像していた中世の趣には観光地としてのまるでコーティングが施されているようで現実に引き戻される感覚に陥った。Grundを散策してみたが、目を凝らすと石の壁には夜に観光客が怪我をしないようにかLED電球が埋め込まれており、シェマンの城壁の向こうには先程のクレーンが見えた。

ひと月前、エベレスト山頂の大行列写真がニュースになっていたのを思い出した。写真を見た瞬間「エベレストを登った」という言葉の重みがすっと無くなりバカバカしくも思えた。硬派なイメージはどこへやら。

こんな綺麗で歴史ある街並みでも観光地化を測ればその魅力を失ってしまうのではないか。しかしそういう自分も観光客の1人であり、ストラスブールに向かう前に駅のホームで列に並びオーベルヴァイスのお土産を買った1人なのである。

考えさせられる1日であった。いざアルザス地方へ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?