水辺にて


池の真ん中あたりで蛇が泳いでいる。文字通りのS字型蛇行で滑るように進んでゆく。私は石を投げてみる。蛇のすぐそばにポチャンと落ちた。波紋が広がり、S字型蛇行は速度を増した。

野良犬が対岸からこちらの様子を伺っている。蛇は岸辺に達したようだ。干渉波が池全体に広がってゆくが、しばらくすると波立ちがおさまり、水面がのっぺりとした一様な表面に戻ってゆくと同時に、ジワジワとあたりに緊張感が漂いはじめた。

ふと対岸を見ると犬はいなくなっている。その池はまたもや鏡面のような完全無欠の状態に戻りつつあった。状況が完結する前に、私はまた繰り返し石を投げる。

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