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自責思考と他責思考の脱構築 ドゥルーズのニーチェ論から考える

はじめに


今回は、ドゥルーズ『ニーチェと哲学』という本を読んだ中で、いわゆる自責思考や他責思考、或いは、自己責任論問題について考えれそうな一文たちがあったので、見ていこうと思います!

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他責思考とルサンチマン


まずは、キーワードとその意味の引用から導入していきます。
そのキーワードとは、「ルサンチマン」です。

一般に「弱者が強者に対して抱く妬み・嫉み」と言われる用語ですが、そんなルサンチマン人間は以下のような発言・思考でいるようです。

私がだれからも愛されないのはお前のせいだ、私が人生に挫折したのは君のせいだし、君が人に挫折するのもまた君のせいだ。君の不幸も私の不幸もやはり君のせいだ。

ドゥルーズ『ニーチェと哲学』、河出文庫、2018、236頁引用

完全な他責思考型人間ですね(笑)
「私の人生がうまくいってないのは、誰かのせいだ」と。

例えば、親ガチャ問題とかだと全部親のせいにしちゃうっていうパターンの人でしょうか?

こういう人間は、ルサンチマン人間なわけですね
そして、こういう人間に対してネット上空間とかでは、「いや、それはお前が悪いんだ、人のせいにするな、自己責任で考えろ」というアンチテーゼが飛び交います。

親ガチャ問題の例でいくなら、「親のせいにするな、自分の人生は全て自分の責任です」っていう反論ですね。

同じ穴の狢


ところで、もう一度さっきの引用を見てください。

「君が人に挫折するのもまた君のせいだ。君の不幸も(略)君のせいだ。」

と書かれています。
つまり、「超他責思考型」の人に対して、「お前のせいだ、おまえの自己責任だ」と言う人間も、これまた、ルサンチマン人間ということです。

なのでこの両者は、根っこのところ(ルサンチマンを通して)繋がっています。しょせん「同じ穴の狢」ということです。

このルサンチマン型人間の特徴は他にも「自尊心(プライド)」だけいっちょ前に大きいとのことです。

要は、「他責」も「自責を攻め立てる人間」も、自分を必死に守りたい小心者ということが本書から見えてきそうです。

自責思考と疚しい良心


さて、一方の「自責思考」つまり、「全部私に非があります」という自己責任思考はどうでしょうか?

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