選挙へのウェイトとスポーツ的な物語性
年末年始にみた選挙を扱ったコンテンツ
年末年始にかけて選挙系のコンテンツをいくつも見た。書籍では『選挙学入門』、映画では「センキョナンデス」「君はなぜ総理大臣になれないのか」。その他読みかけのものがいくつか。
『選挙学入門』は選挙プランナーの頭のなかを公開したような内容。どのように支持者を作っていくのか。こういうのは、わりと誰が読んでも裏側を知れるので、読んでみると面白いかなとは思った。
映画の方も、いずれも選挙戦を追いかけたドキュメンタリー。それぞれの思惑や根底にある思い、他陣営への率直な敵対心、それを取り巻くメディアの倫理などを知ることができる。
特に自分は狭義の"政治"に興味がなかったし、また現在進行形でも根本の人間として興味があるわけではない。自分や他者、組織の行動に無意識に帯びる政治性といったところは興味あったりするけれど。
一緒に映画をみた人も全然政治や選挙のことなど知らず。そういう面では率直にこうなってるんだといえるいい機会にはなった。
政策づくりに対して、選挙が物語性を持ちすぎる問題
issuesを運営する上で、政策ニーズを収集して住民の課題解決をするという軸を据えつつ、政治家が選挙に勝つための認知拡大の役割も担っている。
今は政治家が選挙に勝つことに多大なコストをかけている。チラシへの費用、人手、マインドシェア。代表制民主主義を基盤とするため、政策をつくる上での土俵に立つまでが大変である。
一緒に映画をみていた人がいっていたのは「選挙を乗り越えられる人じゃないと政策つくれないじゃん」というようなこと。これは本当にそうだなと思う。
映画ではわりと街をよくしたいという熱い思いがクローズアップされてその物語に、一般の人は「政治家も悪い人ばかりじゃないんだな」と心を動かされる人も多いと思う。
あと、わかりやすいことを言い合って、勝負を行うかたちもスポーツに近いから、映画としておもろくなりやすい。反対に政策づくりは物語性もないし、基本はEBPMを潮流としたロジカルな意思決定。ここに興味を持つのは難しいし、理解しやすいコンテンツにもなりづらい。
会社をやっていても思いが強い人が成果を出すわけではないし、くじ引き民主主義のようなあり方が採用されれば、政策づくりからスタートするのになというのが率直に思ったことだった。
脱構築的にみるために
わりとメジャー路線のコンテンツを見たので、自分のなかの変化は起こらず既定路線の感想しか出てこなかったなと思う。実際に、ここまで書いてきたような問題意識は過去にも書いている。
まだ読みきれていない『投票の政治心理学』はそもそも投票という行動をする人類について論じられているので、選挙を前提とした世界観からも逸脱しうる気配を感じる。次はこれを読んでみようと思う。
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