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日記 2024年上半期


20240108

冬季休暇の最終日。インターホンの音で目を覚ます。次の日曜日の文フリ京都で販売する予定の喫茶店看板のイラストをまとめた冊子が届く。書影を撮り、SNSで告知をする。
札幌で見逃したファースト・カウを観に行こうと思い、チケットを予約。家を出る前に、伸びてきた襟足をハサミとバリカンで刈る。昼食を取る時間がなくなり、映画館へ向かう道すがらにSOYJOYをお腹に入れる。大豆の喜び。少し早めに着いたので、新風館にある雑貨屋を覗く。古本の棚を眺め、野田知佑『川へふたたび』を買う。
アップリンクにてファースト・カウ。些細でありながら、得難い友情、親密さ。そしてその友情への信頼。誰にも見られぬところで育まれ、静かに終わっていく繋がり。
映画を観終わったあと、いろんな人からおすすめされていたカフェコチへ。クロックマダムとコーヒーを頼む。確かにいい空間。昨日買った『野生のしっそう』を少し読む。

狩猟見学で耳にした「ヘチ待ち」という言葉が頭に残っている。鹿が降りてくる可能性が最も高いところを「イチ待ち」。その次を「ニ待ち」と呼び、可能性が低いところを「ヘチ待ち」と呼ぶのだという。後から調べたが、「ヘチ」というのはふちとかへりを指すほか、見当違いなところ、という意味を持つ方言だという。ただ、猟師は「ヘチ待ち」をそこまで悪いようには言っていなくて、可能性は低いけれどもしかしたら当たりそうな場所、というようなニュアンスで使っていたように思う。外れる可能性大だけどなんか匂う、という感じ。
狩りというのは獲物との駆け引きで、だからこそ自分自身も騙しながら、不意を衝くような賭けに出る。自分ごと罠に掛けて、偶然を呼び込みつつ現実を作りあげるような技法。狩りと賭けには思考や手段に何らかの類似性がありそう。
この辺りの考察は別でしっかり書き残したい。

20240216

有給消化にて休みだが、昼過ぎに起きる。寺町京極の上嶋珈琲にてクロックムッシュ。ここは席数が多いからか観光地だけど待たずに入れるし長居できる。そしてMOVIXが近い。
ということでMOVIXで「ナイト・オン・ザ・プラネット」を観る。前にジム・ジャームッシュ レトロスペクティブがやってたときにも観に行ったので二度目の鑑賞。
ひゃくまんてんでカレーラーメンを食べる。
アップリンクで「聖なる鹿殺し」を観る。この前「哀れなるものたち」を観て、ヨルゴス・ランティモスの他の作品も観たくなっていた。緊張感のある音楽や画作り。普段ホラーとかミステリーを観ないから新鮮。バリー・コーガンの不気味さ。何とも言えない顔立ち、特に眼。特典でバリー・コーガンがパスタを貪り食ってるシーンのステッカーを貰ったんだけど、これはいつ使えばいいのだろうか……

20240316

ここのところ出張が多く、京都と東京を行き来している。移動に時間が取られ、思うように自分の時間を作れない。
書くことに対するモチベーションは上がっている。何かが満たされてしまえば、書くことへの意欲がなくなってしまうのではないかという恐れがある。だからこそ今書くしかないのではないかという焦りでもある。そもそも誰からも強制されていないのだけど。

20240427

4月は海外出張もあって、ばたばたとしていた。4月の頭に鴨川沿いで桜を見た記憶も、なんだかぼんやりと遠のいている。
何の予定も立てないままGWに突入する。読書と執筆に時間を当てたいと思っている。
今日は連休初日。午前中に美容室で髪を切り、今はいつものベローチェ。手帳に書き残していた出張記録をPCで打ち込む。うっすらと眠い。

20240504

連休。どう頑張っても昼過ぎに起きてしまう。深夜三時とかに寝ている時点で全然頑張ってないけど。今日はとりあえず寺町の上嶋珈琲へ。

昨日は鴨川で本を読んだあと、出町あたりの田中コーヒで小説を書き進めた。深夜までやっている喫茶店はいい。
とっぷりと日が暮れて、御所を対角線上に突っ切って歩いて帰る。空には北斗七星が見える。本当はもっとたくさんの星々があるのだが、自分が自信を持って名指しできるのが北斗七星と北極星、オリオン座くらいしかないのだ。知っているということは、見えるものの解像度をあげる。それがノイズになることもあるのだけど。
夜の御所には誰もおらず、木々に囲まれ整備された幅広い道をとぼとぼ歩く。玉砂利を踏む音が心地よく、木々からはホウホウという鳥の鳴き声が聞こえる。後で調べてみると、御所には4月下旬頃からアオバズクが営巣するらしい。まさに青葉が茂るこの時期に南の島から飛来してくるようだ。
苑内のトイレから間延びしたチャイム音が聞こえていくる。大通りに出ると車の音、街の灯り。

20240604

今週で終わってしまうので、レイトショーでバス・ドゥヴォス監督「here」を出町座へ観に行く。
序盤少しうとうとする。ghost tropic同様、見過ごされてしまうものへの眼差しの柔らかさが印象的。淡白なんだけど、他愛もないことに対する慈しみがある。人間に対する信頼と言ってもいい。滋味深い映画で、薬味に例えるならミョウガ。土っぽいけど爽やかで、少しだけ翳がある。最近御所とかで見たような新緑がスクリーンに現れて、自分の散歩が肯定されるような気持ち。
帰り道は当然歩いて帰る。鴨川沿いはライトが少なくてかなり暗い。コンデジは逆に露出低めの設定にしたほうが思ったように撮れることがわかる。
茂みに小さなホタルが一匹飛んでいる。つぶさないように捕まえる。黄緑色の光。hereでもホタルを捕まえるシーンがあった。
たっぷり一時間くらいかけて家に帰る。

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