「学び」を生むコンテンツを編集する時に考えている 4 段階
世の中には大量にコンテンツが溢れ、なかなか読んでもらえません。
特に「読む理由、学びがなさそうな記事」は無視されてしまいます。
読む違和感を少なくすることで、読者が内容を自分事として捉えやすくなり、学びを得やすい記事を作ることができます。
今回はそのやりかたをまとめました。
「学び」を生むブログ編集の 4 段階
Lv1 と Lv2, Lv3 は編集の技術的な側面であり、Lv4 は良い記事で狙いたい「効果」について話します。
Lv1 誤字脱字など表現的な問題がないこと
誤字脱字など初歩的なミスは、理解を妨げます。
Lv1 の誤字脱字などの表現ミスの自動チェックには、textlint や LLM(大規模言語モデル)を活用するのが有効です。LLMは、2023/10/10時点ではChatGPT4かClaude2-100kがおすすめです。
textlint は文法、語彙、語順などの日本語表現の問題を自動チェックします。
LLM は意味的一貫性や論理的飛躍などの指摘が可能です。LLM を利用する場合は、表現的なルールの主旨を伝えることで指摘してもらいます。
LLM に渡すプロンプトの主旨は以下。
日本語文法的におかしな点や不明瞭な点、重複表現を指摘
意味として辻褄が合わない場合や不明確な場合は、指摘
1 文に 2 トピック含む場合は適切な部分で切る
セリフは「」で囲う
このようにテクノロジーを適切に活用することで、Lv1 の表現面のチェックを効率的に行うことができます。人手による確認と併用することで、Lv1 の作業を大幅に軽減できると思います。
Lv2 意味が分かる文章構造となっていること(構成)
文章構造がおかしいことに気づく方法は「トピックにまとまりがない」ことです。類似度、つまり関係がさほどなさそうな話題が同じ段落や章節にある場合は、おそらく危険信号だと思われます。
ちなみに Lv2 の構造チェックにも LLM は活用できます。文章全体の構造については、アプローチ方法が 2 つあります。
本文全体を LLM に渡し、既に構成された構造をレビューさせる
構造化されていない本文全体から、構成をいくつか提案してもらい良さそうなものを選定
自分はほとんどのケースで 2 のパターンで、構成を LLM と一緒に考えています。大抵 4 パターンの構成を一気に出してもらい、良さそうなものがでてきたら、自分の手でより伝わりやすそうな表現に直していきます。
段落内の構造に関しては、パラグラフ・ライティングの手法を使っています。先頭行は段落の要約を書き、本文はその後に書きます。
パラグラフ・ライティングについて、詳しくはこちらの記事に譲ります。
Lv3 目でコンテンツの主題を読み解けること(図解)
私が記事を担当するときは図解を入れ、文字だけでなく視覚的に理解が出来るようにブログ全体の情報量を仕上げています。
図解は以下のようなメリットがあると考えられます。
時系列の流れを可視化し、変化をわかりやすく示せる
抽象的な概念を具体化し、イメージしやすくできる
もちろん文中の図解だけでなく、アイキャッチにも同様の効果があります。
では、具体例を見ていきましょう。
具体例1: 図解で文章を読む前に要旨を掴めるように
例えばこの記事は複雑な AWS S3 移行について、図解を入れることで「文章を読む前の理解度」を上げることに注力しています。
例えば、この図では移行前後を図解し「施策と結果」を記載することで、文章を読む前に要旨を掴めるようにしています。
具体例2: ぱっと見で「なんとなく分かる」
この記事では、パラグラフの構造が「プログラミングの function 構造」に似ていることを図解しています。
ぱっと見で「何となく分かる」を作るだけで、理解をスムーズにすることができます。図解で全てを伝える必要はなく、理解を助ける役割を全うできていれば十分です。
Lv4 読後に学びがあること(学びと発見)
Lv4 は「読むインセンティブ」について考えます。
世の中にはコンテンツが溢れており、大抵は無視されます。読む前に報酬が明確でないと読んでもらえません。
だからこそ、読み手の「読む」コストに見合った報酬を設計する必要があります。
学びは報酬になる
忙しいビジネスマンにとって学びは「報酬」です。知識こそが良い自分になるための素材だからです。
わかりやすいものを作るためには
読む前に学びを得られそうな期待値を持ってもらうこと
読了後に「面白かった」と思ってもらえること
が必要です。タイトルとアイキャッチにこだわることも、壁を超える一つの手法でしょう。
書き手にとっての「学び前と学び後の対比」 を明確に示す
学びとはつまり、すでに知っていた知識と得た知識のギャップです。
学びには意外性が付き物です。そのギャップが面白さを生んでくれます。
そのためには以下が重要です。
「学び前の自分の認識や状態」を簡潔に示す
記事の中で「学び前と学び後の対比」を明確に示す
学び前と学び後の印象のギャップを明確化することで、読者にとっての記事の価値が際立ちます。
具体例: 取り組み前後の印象ギャップを明確化
具体例でいえば、この記事。
ここで「事前の予想との違い」こそが、この取り組みの中で得た学びです。
こういう意外性を前に出した記事は面白くなりやすいです。
この記事は、X 上でも 19 件の投稿、100like、はてブ 53件と、結果として SNS 上で拡散され反響をもらいました。
「文章を書くことはプログラミングに似ている。」も、私自身の学びを書いたところ[X上で37件、300like](https://twitter.com/search?q=https%3A%2F%2Ftechblog.cartaholdings.co.jp%2Fentry%2Fwrite-text-like-code&src=typed_query)、はてブ323件と好評でした。
学びは拡散を呼び、さらなる学びを生んでくれます。
以上が「学び」を生むコンテンツを編集する時に考えている 4 段階です。
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