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パキスタン紀行⑤(おわり) 混交と衝突の国 イスラム、仏教、ガンダーラ文化、クリケット

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ハイウェイの側にはいくつか岩山に壁画がある。2〜3世紀の頃に描かれたものらしく、アイベックスや狩りの様子を描いたもの、釈迦図像やストゥーパといった仏画もある。仏画はいくつかペンキで消されていた。

岩に白いペンキが塗られている。
何世紀も前の仏教壁画が塗りつぶされていた。


スクールバス。後ろから勝手に乗っていくスタイル。左上に飾られている数珠は、イスラム教のもの。仏教徒もキリスト教徒も数珠は使う。

立ち乗り上等のスクールトラック。


タキシラ。ジョーリヤーン遺跡。
ガンダーラ文化の遺跡が集まる地域で、仏像が誕生した時代のものが今も残る。

タキシラ、仏教寺院の修行場跡地。



初期仏教では崇拝対象としての釈迦像は作られた事はなく、紀元前300年にこの地でギリシャ・ペルシャ文化と初期仏教が出会い、その影響から初めて仏像というものが作られる様になった(諸説あるが最も有力な説の一つ)。
仏像が盛んに作られる様になったのは1世紀あたりから。ここから大乗仏教も生まれていったとのこと。文化が交わるところで生まれるもの。シンボルのもつ役割や力について。そして、やはりここも多くの仏像が破壊されていた。

首が破損した仏像
ギリシャ・ペルシャ様式が混ざっている。



よく見ると、ギリシャ由来のアトラスがストゥーパの台にいたり、修行中の仏陀(ファスティング・ブッダ)もいる。

ガリガリのお釈迦さま。
ストゥーパを支えるアトラス。ギリシャと仏教の世界観が混淆されている。


タキシラ博物館。
仏像やストゥーパも多く保管展示していた中、紀元前の土偶的なものや玩具なども展示していて、ふんふんと観ていたら、おや、これは九州でよく見るきじ車では?という造形が。
まさかなー。いや、まさか。でも、こうしてシルクロードを経由して伝播する形状はあるのかも知れない。

可愛らしい遺跡発掘のオブジェ
九州でみられる「きじ車」にも似た形状。


パキスタンの国民的スポーツ、クリケット。イギリス植民地時代に導入され、独立しても人気は衰えず。子どもにも大人気。日本の野球も近い構図かもなぁ。

今の首相は、かつて世界一になったクリケットパキスタン代表チームの元キャプテン。イチローが首相になるみたいなものか。

クリケットに興じる子どもたち。
三角ベースみたいな懐かしさを覚える。


おわりに、

パキスタンの山々や風景をずっと観ていると、CGみたいな風景は現実に存在するのだなあ、と間抜けな感想しか出てこなくなる。ここでも人は生きて文化を耕す。

CGみたいなパキスタンの山々。


ここにも人の営みが。



今回はパキスタンインド間のいざこざ(といっても国内与党支持率の安定などの為に定期的にやってるみたい)で飛行機が飛ばなかったり色々あったけれど、様々な出会いがあって良かった。

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