もう一つの世界線　『川内原子力発電所展示館』

鹿児島県にある、川内原子力発電所展示館へ行ったときの話。
1980年開館のこの施設、メイン展示物はオープン当初からほぼ変わっておらず、さながら科学博物館のような佇まい。神殿のような実物大原子炉模型が目玉となっている。

ここでは、チェルノブイリ原発事故と比較した安全説明や、『もんじゅ』への夢も語られている。社会見学の際に見られるであろう、発電所の紹介映像には、原発のクリーンさや最新技術の素晴らしさが延々と映し出されていた。「チェレンコフ現象」なんて、子どもの時に来ていたらきっとわくわくしたと思う。

福島原発事故前の世界か、もしくは違う世界線、つまり、「あの原発事故が起こらなかった世界」に迷い込んだような、不思議な体験だった。

もちろん、そんなSFはなく、ずーっとあの事故後の世界線にいるのだけれど。