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図解入門ビジネス 最新電力システムの基本と仕組みがよ~くわかる本[第3版](3)

最近耳にする「電力不足」や「電気代高騰」。
カーボンニュートラル宣言以降、多くの注目を集め、またライフラインとして重要な位置づけがされている電力について解説した『図解入門ビジネス 最新電力システムの基本と仕組みがよ~くわかる本[第3版]』(木舟辰平 著)から抜粋記事を5回連載でお送りします。
今回は第3回目「 1-2 現代社会と電力」です。


【 1-2 現代社会と電力 】

ほとんどの人にとって、電気のない生活はもはや現実的ではないでしょう。世の中の多くの機能は電気エネルギーによって維持されています。電力システムは現代社会を支える最重要インフラと言えます。

▶数時間の停電も大ニュース

 この原稿は、LED照明が灯り、冷房が効いた喫茶店で、ノートパソコンを使って書かれています。店内にはゆったりしたBGMが流れ、隣の人はスマートフォンで何やら楽しんでいます。これらの機器は全て電気で動いています。こうした日常の一場面からも、電気を安定的に供給するシステムが現代社会を支える最重要インフラであることは分かります。
 他のエネルギー商品と比べて電気が大きく劣っている分野は、特に家庭など民生部門では少なくなっています。家庭における調理用燃料は従来、都市ガスやLPガスの独壇場でしたが、今ではIHクッキングヒーターも多く選択されています。ガソリンなど石油系燃料の牙城だった自動車の動力も、電動化の流れが確実に進んでいます。実際、日本全体のエネルギー消費量に占める電気エネルギーの比率である電化率は右肩上がりで伸びています。1970年には12.7%でしたが、2019年度には25.8%まで高まっています。この傾向は今後も続くと考えられています。
 電気エネルギーへの依存度が高くなることは反面、電力供給が途絶えた際の社会全体への悪影響も大きくなることを意味します。例えば、18年9月の北海道胆振東部地震でブラックアウトが発生した際は、町中の信号機が使用不能になり、札幌市内の地下鉄も運休になるなど、市民生活は大きな影響を受けました。人口が密集し、社会機能が集中する大都市圏での数時間に及ぶ停電は、それだけでトップニュース級の“大事件”になります。
 そのため、高い供給安定性は電力システムの構築にあたっての最重要事項です。とはいえ、安定供給だけを追求していればいいわけではありません。市民生活や産業活動を支えるエネルギーである以上、最大限効率的であることが求められます。50年のカーボンニュートラルが目標として掲げられたことで、CO2の排出量を中長期的にゼロにすることも安定供給に劣らない重要な課題になっています。

1-2 現代社会と電力
図解入門ビジネス 最新電力システムの基本と仕組みがよ~くわかる本[第3版]

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