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駆け出しマーケターにおすすめするマーケ本10選

マーケティングの仕事はオペレーショナルにすることが難しく、答えのない問いに向き合うことが常だ。それ故、実践から得た経験が最も自分の血肉になるが、実践以外でゼロから学ぶのであれば本が費用対効果が高い手段だと思う。僕自身、未経験から新卒でマーケターになり、多くのことを本から学んできた。本記事では、2年間で数百冊のマーケティング本やビジネス本を読んできた筆者が、かつての自分のようにこれからマーケティングの仕事を始める方にオススメする書籍を10冊ピックアップしてみた。

1. ハイパワー・マーケティング

世界一のマーケターとも言われるジェイ・エイブラハム氏が書いた本。以前、ジェイ氏の講演を1時間聞くために5万円のカンファレンスに参加したこともある。常に自分の利益よりも顧客の利益を優先させる考え方「卓越の法則」など、マーケターとしての価値観の形成に影響を受けた。マーケティング以前にどうすればビジネスで成功するかという思想を教えてくれる本であり全ビジネスマン必見。

■こんな方におすすめ
・これからマーケターとしてのキャリアを歩んでいきたいと考えている
・マーケターとしてのマインドセットを築きたい
・マーケティングとは何かを理解したい

▼新訳版はこちら。内容が若干異なる部分があるので、個人的には中古品でいいので、旧版を読んだ方がいい派だ。

2. デジタルマーケティングで売上の壁を超える方法

オイシックスのCMOを務める西井氏の本。マーケティングの中でもデジタル領域に特化していて、内容も戦術より。明日からの具体的なアクションプランに落とし込みやすい一冊。F2転換などECサービスのマーケティングで語られるワードも出てくるが、ECサービスでなくても応用できる汎用性の高い話が多い。

■こんな方におすすめ
・デジタルマーケティングについてざっくり知りたい
・新規獲得を増やしたいがどこから手をつけたらいいか分からない
・デジタルマーケティングをやっているが、本当にこのやり方でいいか不安
・新しい施策が思い浮かばず、手詰まり感がある

3. ジョブ理論

ドリルを売るには穴を掘れ、というマーケ界で有名な言葉があるが、顧客が解決したいと考えている課題のことを本書ではジョブ(=顧客の進歩)という言葉で言い表している。それはニーズともインサイトとも違う新しい概念であると。ドリルの例で言うならば、ドリルが欲しいというのは、穴を掘りたいという課題が裏に隠れていて、それを解決するために表面化したものである。つまり、穴を掘ることがジョブであり、そのための手段としてたまたまドリルを買うのだ。顧客理解の重要性に対するヒントをくれる一冊。

■こんな方におすすめ
・本質的な課題を見抜く力を磨きたい
・もっと多くの人に買われる商品にしたい
・商品のブラッシュアップや新規サービス開発のヒントを得たい

4. マーケティングとは「組織革命」である

USJをV字回復させた森岡氏による本。強いマーケティング組織は、「今ある商品を売る」ためのプロモーション部隊ではなく、「売れる商品を作る」ことを目的とした編成になっていなければならないと主張している。また、「チームメンバーが余力を残すべきではない」「自己保存本能を逆手に取った仕組みで解決すべき」といった、マネジメントに関しても独自の見解を記している。

■こんな方におすすめ
・マーケティングの役割がプロモーションのみになっていて、上手く機能していないと感じるマーケ関係者
・マーケティングの組織作りに悩んでいるマネジメント層
・生産性が高いチームを作る方法が知りたいマネジメント層

5. THE MODEL (ザ・モデル)

初期のセールスフォースに入社し、成長期を支え、今はマルケトの代表を務める福田氏の本。セールスフォースと言えばSaSSの雄であり、営業力の強さにフォーカスが当たることが多いが、その源泉となるのが優れた顧客管理体制。リード獲得から成約までのフローにおける、組織体制、担当者の役割、KPI設定など、セールスフォースの成長を支えてきた営業システムの真髄が見て取れる一冊。

■こんな方におすすめ
・セールスフォースの顧客管理について理解したい
・ファネルごとのKPI設計と担当者の役割について知りたい
・リードナーチャリングの仕組みを作りたいが、何から始めたらいいか分からない

THE MODELについては、こちらの記事でも詳しく書いた。

6. デジタル時代の基礎知識『ブランディング』 「顧客体験」で差がつく時代の新しいルール

初心者向けにブランディングの全体像が非常に分かりやすくまとまっている一冊。顧客に好かれるブランドになるために大切なことは、一貫性を保つこととし、そのためにどのターゲットに対してどんな体験を提供するのか、という方針を定める必要がある。方針を定めることが判断基準の統一を促し、一貫性につながっていく。また、ここでいう一貫性とは単にサイトの訴求だけでなく、セールストークからCS・現場の対応までサービスに関わる全ての人の言動にまで及ぶ。

■こんな方におすすめ
・ブランディングについて全体像を理解したい
・他社と差別化し、突き抜けたサービスにしたい
・自社サービスのブランド認知を上げたい

7. アイデアのつくり方

今回紹介する本の中で圧倒的に古い本。しかし、名著であることは間違いない。アマゾンが選ぶこれだけは読んでおきたいオールタイムベストビジネス書100にも選ばれている。驚きなのが全体で102ページしかなく、訳者のあとがきを除けば、実質60ページくらいしかない薄さ。

本書が主張していることは、「アイデアの作成は一定の明確な過程である」ということ。そして、アイデアを作る能力は後天的に鍛えることが出来るということ。そのプロセスを鮮やかに言語化して説明しており、納得感がある。すぐ使える実践本と言うよりは、メカニズムを理解することに主眼を置いた科学本に近い。

■こんな方におすすめ
・企画立案能力を磨きたい
・アイデアの作り方を知りたい

アイデアのつくり方については、こちらの記事にもまとめている。

8. 人生は運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている

セミナー講師の経歴、サービスの実績、溢れるNo.1証明、これらの権威付けをサービスサイトやLPでは良く目にするだろう。この権威付けが持つ影響のことを本書では「錯覚資産」と定義し、錯覚資産が果たす影響について見事に言語化している。マーケティングというよりは心理学的な要素が強い一冊。

■こんな方におすすめ
・訴求力のあるサイト、LPを作りたい
・なぜ権威付けが重要なのかいまいち腹落ちしていない
・これからSNS運用に力を入れていきたいと考えている

9. イシューからはじめよーー知的生産の「シンプルな本質」

マッキンゼーを経て、YahooのCSOを務めた安宅氏による仕事の本質を学べる良書。特に仮説を立てる能力が重要になるマーケ担当者は必読。イシューとは「本当に解くべき課題」を指し、良いイシューであればあるほど取り組むべき優先順位が高い、ということになる。

▼本書で示す良いイシューの見極め方
①本質的な選択肢であること
②深い仮説があること
③答えを出せること

■こんな方におすすめ
・仕事の優先順位付けが苦手
・時間をかけている割には成果が出ておらず悩んでいる
・タスク過多の時に軽いパニックに陥ってしまう

10. USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門

元USJ森岡氏2冊目の登場。この本の見どころは、マーケティングの戦略的思考が学べること。戦略って何?といった人でも明快なフレームワークを用いて分かりやすく説明されているので、挫折せずに読み終えられるはず。未経験でもマーケティングの考え方を理解できる初心者にオススメの1冊。

■こんな方におすすめ
・戦略的思考を身に付けたい
・戦略を考える際のフレームワークを知りたい
・マーケティングの考え方について理解したい


いかがだっただろうか。

他にも推薦したいマーケティング・ビジネス書はたくさんあるが、今回は初心者の方に特にオススメしたい10冊を取り上げた。また、1回では全てを理解することが難しかったり、自分のその時々の能力に応じて得られるものも変わってくるので、何度も読み返すのが効果的。私もここに挙げた本は全て複数回は読破しており、毎回違った学びを得ることが出来ている。

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