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とりあえずキャリアの掛け算しておけばいいと思ってる人多すぎ問題

こんにちは、HLABの高田です。高校生・大学生向けの国際的なサマースクールなど、グローバルな教育に携わり続けてなんだかんだで9年目になりました。これまで、将来のキャリア相談をそれなりの数受けてきたのですが、先日も似たような相談を受けた際に「おや...?」という違和感があったので、今日はそれについて筆を取りました。

3つのキャリアを掛け算して100万分の1の人材になる

藤原和博先生の有名なキャリア理論、「3つのキャリアを掛け算して100万分の1の人材になる」というものは、非常に説得力もあり、パワフルなものです。この記事で詳しく説明するつもりはありませんが、ご本人の講演録がGlobisさんのwebサイトにありましたので、是非ご覧ください。

この藤原先生のキャリア理論にはじまり、市場価値を高めるには「掛け算」というキーワードが多くのメディアで散見されるのは、就活中の学生や転職活動中の方にはおなじみかと思います。

先日もキャリア相談をされた際、この「掛け算」の話を知っている転職中の方がいらしたのですが、結構大事なことを見落としているのではないか?と気付きました。なんか、話していると、「とりあえず掛け算しておけばいい」と思っている感がすごいのです。

上記のリンクで登場する掛け算理論の解説図をここで見てみましょう。

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「努力」、そして「1万時間」というキーワードを忘れてないか

上記の図を見てもらえばわかる通り、藤原先生は「1万時間」の努力を前提に、3つのキャリアの掛け算をせよ、と言っています。1万時間ですよ、1万時間。今、自分の頭の中に浮かんでいる掛け算の候補、果たして何時間かけていますか?という話です。

勿論、本質的なことは時間じゃないことはわかっていますし、時間をかけても意義ある学びをしていなければ意味はありません。とはいえ、大切なのはしっかりと意識して努力しているのか?一人前になっているのか?というところがポイントです。

昨今のキャリアについてのメディアの影響なのか、表層的な部分だけ取り繕って、「3つの要素の掛け算」を取り入れようとする人が増えている印象があります。ですが、果たしてそこに努力は伴っているのか。そして、それによりそれなりに一人前になっているのか?という部分に疑問を呈したい。

とはいえ、そんなん無理や!と絶望する必要はないと思っています。というのも、藤原先生も講演で以下のように言っていますね:

リクルートに入ったら営業に突っ込まれたわけです。僕だって学生の頃は青臭かったから企画開発とかの希望を出していたと思いますよ。皆さんもそうじゃないかと思うんだけど(笑)。それでも営業ということになって、「えー、営業かよ」なんて思いながら、それでも営業とプレゼンを1万時間、一生懸命やりました。そうしたら5年ぐらいで、まあ、プロとはいませんが、他の会社にも営業で売ることのできる技術は身に付きました。

「プロ」じゃなくても、それなりの一人前の技術にさえなればいい、と。これは救われる発言ですね(笑)

また、掛け算理論で、友人が担当したインタビュー記事で素晴らしい発言がありました。

かけ算ですから、「1」未満の数字を掛け合わせても積は小さくなっていく。つまり、未熟な状態でかけ算をしても、価値が下がっていく一方です。また、「2 × 2 × 2」をするくらいなら、「5 × 5」をした方が、積の総量が大きくなりますよね。中途半端なかけ算をするくらいなら、まずは土台となる基礎力を高めることに注力した方がいいでしょう。

うーん、そのとおりですね。他の部分も最高なので是非お読みください。

掛け算するなら、1つだけでも1人前(「1」以上)になっておいた方がいいのでは?、というのが、先日僕がキャリア相談した方にお伝えしたことです。

忙しい現代人ゆえ、キャリアもEasy Comeだと思ってしまうのか

現代人は忙しい。それゆえに、Easy comeな感じで、「楽して手に入れる」類のサービスが増えています。例えば、忙しい現代のビジネスパーソンの悩みを解決すべく、新刊や話題のベストセラー、名著のビジネス書の要約を提供するサービスのflierさん。僕も一時期愛用していましたが、最近売れ筋の本の要約が読めるので内容もすぐ把握できます。書籍系でいえば、「マンガでわかる」系や「エッセンシャル版」の類がまさにそれでしょうか。その他、生産性や効率化がビジネス書ではキーワードですよね。

私はマジックを15年くらいやっているのですが、最近は種明かしYouTuberなるものも出現しました。となると、僕のマジックのタネを知りたければYouTubeで検索すれば出てくる(かもしれない)。もう、なんでもすぐ手に入っちゃう状態なんですよね。

こういう現代だからなのか、何でも簡単に手に入ると思ってしまい、キャリアについても簡単に手に入る、という意識が潜在的に根付いてしまっているのかもしれません。

ただ、Easy Come, Easy Goという英語のことわざがあるように、「簡単に手に入れたものは身につかない」のではないでしょうか。

さっきの要約版を読んだ人は、たぶん1週間後には内容忘れています。マジックの種明かしYouTubeを見ても、きっと同じことはできないし、その人も1ヶ月後にはタネを忘れてるはず(実際、それYouTubeで見た!と言われたマジックを演じたら、「あれ、オレが知ってるのと違う!」と言われてすっかり楽しんでいただけました笑

なんか、ここらへんを意識しておかないと、中長期的に取り返しのつかないキャリアに足を踏み入れてしまう方が増えてしまうのでは...と思いまして、改めて筆を取った次第です。ひとつひとつ丁寧にコツコツと、がいつの時代も大事なんでしょうね。

ちなみに私、マジックは15年、教育はこれで10年目ということでやっと2つめくらいの掛け算要素を得たなと思っています。残りはどういう掛け算をしようかなー、と自分でも楽しみです。

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