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コロナで移動ができなくなった僕たちが、オンラインで地域とのつながりをどう創ったかの話

こんにちは、HLABの高田です。HLABは2011年から日本4箇所(東京・長野県小布施町・徳島県牟岐町・宮城県女川町)高校生向けサマースクールを開催してきましたが、2020年は新型コロナウイルスの影響で夏の開催は見送り冬に延期することとなりました。

オンラインで地域とのつながりをつくる?!

自分も、2011年からほぼ毎年サマースクールに関わり続け、日本全国に足を運ばせてもらっていたのに、あの熱気と地域のあたたかさを感じることができないのか...ととても残念な気持ちでした。何より、長い時間かけて準備してきた大学生チームの落胆は想像以上でした...。加えて、冬もやはり感染拡大状況を鑑みた結果、オンラインでの実施となったんです。

オンライン開催の中、そもそも4地域でやるべきなのか、という議論も勿論組織内で出ました。(例えばオンラインなら全て1つに統合することも可能なわけで...)ですが、これまで自分たちが長年お世話になってきて、町の魅力を新たな学生に伝えたいことや、このコロナ禍だからこそ現地周辺の高校生にも機会を提供できれば、という想いから現地で協力いただく方々との綿密な話しあいを経て、地域別の開催を決定しました!!

詰まるところ、与えられたお題は

「オンラインで地域らしい取組みをしよう」

ということ。果たして、町に足を運ぶこともできないのに、オンラインで、しかも限られた数日間でどうやって地域と関わる企画をつくるのでしょうか?はたまた、関係人口を創り出すことなんて、できるの...?

今日は、そんな中、HLABの大学生チームと地域の方々が全力で行ってくれた取組みを皆さんに少しだけシェアしたいと思います。読者の方が、オンラインの企画をやる際のヒントになれば幸いですし、この取組がガンガン広まれ!!と思ってるので、じゃんじゃん真似していただきたいです :)

カギは「ストーリー×オンライン×オフライン」

やはり、最大の難関は現地に全員が足を運べないこと。参加する大学生も高校生も基本的には自宅の参加になります。さて、どうしたものか...。

そこで出たアイデアは、「地域にいけないなら、自宅に地域をもってきてしまおう!」というもの。極めてロジカル・シンキングやで(笑)

具体的には、参加者の自宅に地域に関係するものやワークショップの素材を送付しました。これで、オンラインとオフラインの掛け算となります。ですが、単に送るだけなら、現地の名産品を送ればいいだけ。そんなことじゃ単なるふるさと納税の返礼品でしかありません。そこで、もう一捻り加えました。それが「ストーリーを付加する」というものです。これにより、冒頭の「ストーリー×オンライン×オフライン」の公式の出来上がり。

例えば、徳島ウィンタースクールでは、毎年お世話になっている地元のお母さんたちに教えてもらったレシピで、地元食材を使ったご飯を参加者それぞれが事前に送った食材を料理したのです。

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(↑オンラインで料理手順を教えてくれるお母さんたち!)

これがもし単に食材を送るだけなら「名産品を食べた」だけになるのですが、そこに「お母さんたちに教えてもらった料理を自分でつくった」というストーリーが付加されます。彩りよい料理だったこともあり、その後のSlackやSNSのポストでも映えたのもポイント(笑)しかしみんな上手に作ってました。すごい!!食材がなくなったあとは、どこで買えるの?といった質問がLINEなどで飛び交っていました。

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(↑ある高校生のつくった「まぜくり寿司」と「もち麦いりすまし汁」)

ちなみに現地名産の実生ゆずの果汁を使って「合わせ酢」を作って、まぜくり寿司を作りました。そのあたりの手に入れにくい食材は、以下のようにその他のグッズや町の説明資料と一緒に送付しています。

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また、牟岐町の伝統工芸品「行灯」(あんどん。以下画像の通り)も作りました。といっても、自宅で行灯を作るのは、なかなか大変。木材送って、釘とトンカチでトンカンやるのは非現実的...。そこで、色々と頭を捻った結果、「行灯の紙の部分」を各自デジタルで作成してもらい事務局に送信、そしてHLAB下北沢オフィスで印刷、そしてで組み立て、貼り付けを行いました。事前に行灯の組み立て方は現地の「あんどんの会」の皆さんからオンラインで教わり、準備はバッチリ行いました。結果、写真のような行灯が下北沢に陳列され、いい感じの雰囲気に...。しばらくの間この行灯は残しておき、コロナが明けたらこれをみんなで並べてゆっくり話したいね、と思いを馳せました。ちなみに行灯のデザインを考える過程がワークショップ形式になっていて、それぞれがウィンタースクールに参加した意気込み、そして参加した数日を振り返った、そんなデザインになっています。伝統工芸品を作るだけでなく、そこに各自のストーリーを載せたことがポイントです。

それともう一つ。宮城県女川町のウィンタースクールでは、毎年女川町の商店街にある「みなとまちセラミカ工房」さんにスペインタイルのワークショップを開催していただいています。みなとまちセラミカ工房さんは、東日本震災以降「色を失くしてしまった街にスペインタイルで彩りを添えたい。」という想いで女川でお店を開かれています。今年は、現地に全員が行けない...そんな状況でも、快くセラミカ工房さんとしても初のオンラインワークショップを引き受けてくださいました!これは終了後、女川町に返送し焼付けしていただき町のシーパルピア商店街に飾られます。つまり、このあと参加者はコロナ禍が明ければ、自分のタイルを町で探すために訪問するモチベーションにもなるんです!この中でも、単に完成品を送るわけではなく、事前に材料を送り、現地の方にリアルタイムで教えてもらいつつ想いをのせて作成したことが、ポイントです。詳しくは、セラミカ工房さんのFacebookをご覧ください!

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観光資源に頼らず、「人」にフォーカスする。

地域の色を出そう、と思うとやっぱりすぐに飛びつきたくなる観光資源。その土地の文化財、自然、施設などなど...。しかしながら、やっぱり現地にいけないとそれらのものには頼れません。オンラインで頼れるのは、やはり「人」の存在です。地域の方々の経験、思いを実際に伺うことで、その人の裏側にあるストーリーを聞く。これだけで、参加者のマインドは大きく変わってきます。例えば、地元の農家さんや漁師さん、商店街の経営者さんたち、町の課題について考え続けている役場の職員さんたち、外から地域おこし協力隊として町に入ってきた方などなど。ウィンタースクールの様々なタイミングで、地域で活躍する皆様の声を伺うことができました。勿論、オンラインなので日本・世界各地から高校生も参加していて、地元の高校生もその仲間のひとりです。それぞれ、こういった地域の皆さんとの交流を通じて、その地域はもとより、自分が住んでいる場所への見方が変わった、という声ももらいました。

がっつりとした対話の時間も設けた一方、カジュアルな接点を設けたこともよかったと分析してます。例えば、毎日地域の小ネタをはさみながら海岸から中継してくれたり、地域おこし協力隊の方が企画の中で審査員になっていただいたり...。本当に、様々な点で町の皆様に多大な協力をいただきました。

なお、牟岐町のプロジェクトでは、ウィンタースクール前には、東京で徳島県公式の発信拠点ターンテーブルを会場とした、オンライン&オフラインワークショップも実施し事前に交流の場を設ける等も実施していたことも、より地域を知り、人を知ることができるカジュアルな交流になりました。詳細はHLABのnoteをご覧くださいね!

今回は初のオンライン開催、そして地域色を出す、というこだわりを実現するために、地域の皆さんに本当に信じられないほど調整やお願いを快く引き受けてくださいました。本当に頭が上がりません。牟岐町、女川町、小布施町の皆さんのご協力なしでは本当に今年のウィンタースクールは実現することはできませんでした。そして支援を続けてくださった三菱商事をはじめとするスポンサーの皆様にもこの場を借りて感謝申し上げます!何よりもこの逆境の中、難題をクリアしようともがいてくれたHLABの大学生チームには大きな拍手を贈りたいです!ありがとうございました!

次回は、オンラインツールをHLABのウィンタースクールではどう使ったか?!というのを紹介します :) しばしお待ちください!!

読んで面白かったら、是非サポートしていただけると嬉しいです!大学生との食べ語り代にします笑